「木」と医療ジョイントシステムデザインの目木工

1945年敗戦直前の「陸軍衛生材料廠木箱」 アーミィメディカルウッドボックス 赤松板青色腐朽菌もまだ生きている2018年夏

阿部蔵之|木とジョイントの専門家

赤松荒板釘打ち、平蝶番・鍵締まり木ネジ止め、縄結び。工業化スタンダードにはほど遠く、戦時医療物資のコンテナ配送専用システムとしては考えないまま終わりました。因みに、この梱包輸送木箱は、収納系最小限材料構成の基本構造としても着目、平和利用板します。

陸軍衛生材料廠「松本市東部第五十部隊 医務室 高野軍医少尉行」

輸送用木箱最小限の部材で取り出し易い上蓋2/3開き箱構造は、丈夫で戦場では踏み台・テーブルデスク・収納・腰掛けにも転用されたのです。

 

中央の縄柱を外すか、地摺りを足すと、立てて収納家具としても使えます。

外形寸法: 幅 605mm x 奥行 400mm x 高さ323mm  板材厚:13mm 縦枠材:15 x 55mm 中央柱材厚(縄掛け) 23mm 手掛け:シュロ縄径 12mm  

木裏に赤松青色腐朽がそのまま残存し消えません。ブルーステインではなく青黴です。

中には、カンフルブドウ糖液剤ガラスアンプル二箱。中外製薬株式会社製 紙箱には英字ロゴ印刷 医療品は英文字を並記しています。( 2012年10月 市中の商家土蔵解体現場にて廃棄物を譲り受け )

弾薬ケース、医薬品・衛生材料用箱は、金属資源が払底していた日本軍需は粗末な木製手工業品でしたが、USA軍用品は、アルミ・鉄製の量産工業パッケージデザインの Army Box が使われていました。長い間、上野アメ横では衣料や家具類の米軍払い下げ放出品が売られていましたが、カーキ色弾倉ケースは機能的でバイクや機械の工具箱、キャンプ用品に利用でき、人気がありました。

現代の医薬・医療材料の技術進歩はめざましく、パッケージは量産システム化されて流通産業は無人自動Ai化へとシフトしていきます。

敗戦73年、また暑い夏がめぐりきたりました。後始末できない無謀な戦略とともに、医療薬品・衛生材料の実態、当時の物質力の圧倒的違いに改めて愕きます。エイキュウ保存したい稀少な戦時メヂカルメモリーです。

ⓒ2018 , Kurayuki Abe

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木の総合学研究 2018  「軍用医薬衛生材料木箱 1945年」「洋釘・平蝶板・木ネジ・折れ鍵金具・縄付 昭和20年のハードウエアージョイント材料」「木箱の転用」

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