MT マテリアルトリートメント「木歴・木録」フルーツウッド木の内科自然の造形

梨(白)フルーツウッド一期一得(会)  天燃絞目グレイン・淡い人肌ピンク材の美質 内部応力が造るゆらぎ波目紋木理  美麗な木肌はリッチ&ノーブル  セクシーで清潔感が漂い糖質に虫さんたちも歓ぶ フルーツウッドー2 木の内科−45

阿部蔵之|木とジョイントの専門家

自然乾燥20年余り ゆっくり水分を下げ、柿渋+割れ止めで黴・虫・フケを抑え、熟成した材色は鮮明で美しく安定します。緻密で堅い自然材は、長い時間で造りあげた樹体のもつ抗体や耐久性を損ないません。人工乾燥では内部応力・歪みクラック・色変を起こし、焼き殺しに近い。強引なドライはダメージを残留し傷みます。樹木の時間を尊重して果木の挙動や材質の変化をとらえ、木守り・木録は続きます。

淡い肌色ピンクの辺材には、幹の天然絞入りでゆらぎ・ウエーブができ、独特の白波木理や木肌、ソリッド材質感に魅了されます。フルーツウッドは、果実を味わい、木目の自然造形に親しみ、モノつくり材料に利用してきました。

樹齢74 yrs. 元口 74 x 64  末口径 54cm ( 枝下3m・原木丸太 長さ6.2m)の太木は、挽き割り、シーズニングするにも大変な重量級。 得がたい稀少な研究サンプル材です。

 

幹の絞目凹凸のうねりは、複雑な幾何模様のグレイン「白波杢」となります。

果樹の代表格「梨」 魅了されるノーブルな材色・清潔な材質感・天然絞目のゆらぎ

「木目のゆらぎ」倒れまいとする樹体がつくりだす構造的なかたちを読み取る

この梨木は、平地に生え、周囲に被圧される競争木がなかったので胴丸。枝節も陽表のほか腹・裏にも枝残り、枝下はすんなりのびて肥大成長が大きくバランスがよい樹勢です。

枝張りが大きくゆれが大きくなると内部の拮抗応力が働き、ボデイに絞目撚り肌をつけて折れ曲がりに耐えるように強化、内部にはバイアスの逆目組織が連続して現れています。天然絞入りの樹体は、地表で風でゆすられ倒れまいとする生体適応のかたちです。

元木ストレートボディ3mは良材です。周囲に被圧される樹木がなく、畑地に近く栄養状態がよい素直な肥大成長であることが判ります。

現場の原木製材データ

年輪幅が広い目粗、肥大成長が早い里木です。髙枝がのびると収穫出来ず、ボデイに養分を貯え立派な果実はならないのではようなし。春先水揚げ期に伐倒。平成7年 春伐、6月(1995 ) 岐阜木材市場丸太原木購入。

果樹特有の糖質や春伐採で養分が多く、樹皮辺縁に糖質を多く含みます。木悔い虫・小蜂の寄りつきが激しい。見事に穴明け巣作り喰い荒らされ手に負えません。虫さんファミリーも暮らせる、有害物質が含まれていないという証明でもあります。自然乾燥での虫入りで材料価値は暴落、ガックリ泣きの土場シーン度々。

黴・虫喰いを抑える柿渋割れ止め

内部へのダメージがほとんどなく綺麗なまま。マテリアルトリートメント効果が高い。

2番玉は「背」陽表に枝節が太く張り出し、樹勢を感じさせます。

桟木積み後の重ね置き 木は伐られても内部細胞組織は生きており、抗体色素が治癒ガードのため滲み出し、材色の移動がおきる。自然乾燥状態では数十年以上も動きます。

樹形・肥大、枝振りからみると里木・畑地近隣の立ち木ですが、初めての太い梨の木は今後は出会うことがないサンプル材として見納めです。

枝上二股の厚板 樹勢が強い木理

長く太く、余りにも重いので動かせないうちに乾燥、樹体内の酵素や抗体の動きで色変がおき、美しい自然の木肌はフケてしまいそうでした。

塗装してしまうと淡い肌色ピンクの色調は濃色濡れ色になり、テクスチャーも変わります。成長年輪、材密度比重は、トネリコ、シデ・アサダに近い。芯央からの抗菌・抗体の動きはなくおとなしい。薬理効果やメヂカルな部分も感じられ、ヘルシー素材ですが、素性もはっきり詳しくわかりません。因みに、野生樹は高くなると目立ち、太くなる前にバッサリ。スックリ真っ直ぐな梨木は少なく、専門書に実際の有用樹材の知見もなし。

 

フルーツウッドの美質や優れた医食親和性、装飾性、メンタル薬理作用も明らかに

「梨」は、韓法では医食同源。梨花はめでたい図案で尊ばれ、材は吉祥をもたらす家具用として珍重されます。緻密で美麗な木目材色となるものが多い。抗菌抗体・セルフキュア、生命力がつよく、日本産樹種はノーブルで洋風の雰囲気があります。フルーツウッドは美質だけでなく、バイオ、メディカルの効能が見出される可能性も感じさせる一期一会、貴重なマテリアルです。

梨と竹柄「蟻差し・竹釘打ち」杓子ブチ木のジョイント

「山梨」材の利用 梨木杓子(20150321 朝日村熊出)

近年まで、山形県鶴岡地方では梨の木の杓子ブチが続いていました。梨の木は庄内山系に多くあったそうです。

白太辺材は軟質で鉈・銑で抉り、整形削りやすく、竹の柄をつけ、生地に漆をかけます。おしゃもじは地場食生活の必需品でした。最後の伝統細工職を訪ねて制作見本をいただき、道具・治具を記録しました。

近畿地方では栗、飛騨・岩手では朴、関東・東北ではブナ柾、山形では山梨が使われています。木製の杓子は野菜煮物が崩れず、鍋・汁ものを美味しく食べることができるので自然素材の優れものは伝承されていきます。「杓子ブチ」は、檜枝岐・雫石の2003年当時の工房実作記録を制作しました。(後日、掲載予定)

 

自然林の梨(湿潤な河畔燐地で撮影)陽アタリ水気を好みます、

太い梨木は、木材市場にでることが極めて稀です。小径木しか見当たりません。梨(白)自然乾燥材のイメージは「清潔・高貴・美麗」ですが、別途自然乾燥している梨(赤)も明らかに板します。

ⓒ2018 , Kurayuki Abe

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木の総合学研究 2018 「野生フルーツウッド・梨木の材質」「マテリアルトリートメント効果と用材トレーサビリティ」「梨木の杓子ブチ山形」

 

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