サミットワークジョイントシステム木工

Pierluigi Ghianda「木」のジョイント-02 ミラノの井桁組 KYOTO

阿部蔵之|木とジョイントの専門家

Woodwork Summit 1991  レビュー、Ghianda(ドングリ)親方健在です。

ウッドワークサミット参加各位

Dear Participants of the Woodwork Summit 1991,

Master Pierluigi Ghianda is wellbeing in Milano 2013.

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ウッドワークサミット1991 をプロデュースした相棒 平田哲生(名古屋芸術大学デザイン学科教授)から招聘ゲストPierluigi Ghiandaと工房が雑誌 「BRUTUS」 2014年1月号に掲載されているので送るとの知らせ。このイベントは、自分たちが楽しむため、マスコミには全く取材・公開しませんでしたので、知る人ぞ—でした。スイス・ドイツ・イタリー、日本のゲストにお出ましいただき、若手参加者と共に大変楽しい充実した国際交流でした。「木工の世界サミット」が開催されれば、いろいろな影響・薫陶を受け、次世代は大きく飛躍できます。長い木の伝統生活文化、木と人間の関わりが濃密な日本でこそウッドワークサミットを始めたいと考えプランを実行。準備期間は2年ほどかけ、友人・知人の助力で何とかこぎつけました。3日間のサミットスケジュールの後、一週間の木曽・飛騨高山・岐阜・三木・神戸・京都周遊エキスカーションは、いろいろな手仕事の現場を訪問する事が出来、大変勉強になりました。経済乱狂バブルの崩壊前に開催でき,時代に余裕がありましたね。専門職能・作品、地場の逸品食材・労力・器材に奥様方の料理腕等々、皆で持ち寄るサミットをまたやりましょう。5963
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KYOTOテーブル 組手サンプル(モジュール)Ghianda工房制作
江戸指し物技法「四方木口」をやさしくした組手 矢筥、枡がけ、井桁ともいう
直交・矩交差構造ではなく、この手法だけが相互半分切り込み、差し込み固定。蓋や底板をつけない枠にすると組み立て囲う箱状になり、分解移動が簡便な嵌合ジョイント。内接する面をVカットし、ダブルエンドの機械加工が出来るように変形させた接合構造です。木口切りっぱなしでは寂しく凡様、未了感が残るので黒檀細材を挽込み、エンドを加飾、整装しています。
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マエストロ の説明によれば、日本の組手・組子をヒントにしたもので、今までの木目を見せる甲板ではなく、組子のような立体的な連続格子形で斬新な立体構造イメージと木の質感を強調するアイデア。はじめはガラス厚板を載せました。デザインモチーフは、京都碁盤の目の街路からの命名、日本のイメージを高揚するクールジャパンデザインを先取り。
四方木口-3
*四方木口(國政流 ):板厚五分 実際の仕事では、両木口枘先に欠損割れ止めの薄板をハナ付け、組上げ後に突出部分を鉋で削り込み仕上げる。上図では組上がりの最終枘型を表現するため木口先の板貼りを省き線画で描きました。
当初、KYOTOはEbony (真黒檀)と西洋梨(Pear wood)のサンドイッチ板のハイコントラストで重厚な超高級作品を手がけ、溝突き専用自動加工機を開発。ある程度の量産ボリュームを見込むため欧州ブナと木口スリットに黒檀材を埋め込むデザインバリエーションも製品化。欧州ブナの代わりに洋梨もラインナップされています。仕様の異なるモデルが3タイプありました。エルメス・ティファニーなどのブティック、王族・VIPクラスのニーズに適合するには、無比の特選材ストックが不可欠。デザイン・制作仕上げ技術は、その次の課題なのです。材料力は、財力です。超優良材は、腕優秀でリッチな作り手・至高へと流れる。Pearとエボニーのマテリアルコーディネーションは、貴族的センスです。サミットでいただいたGhianda作品の一部をご紹介します。
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三角定規 蟻がけ  Pear wood     ペーパーナイフ栞 Pear wood
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携帯折りたたみ式書見台 Pear wood+ピアノ線・平蝶番
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手彫りピルケース 35 x 25 mm  2.8 – 2,5g  Uoce  /Pear  シンボルマークOak leaf ロゴタイプ
広い工房地下のマテリアルプールには、洋梨材、スリランカ産出のエボニー材が山積み。極上ものは、貴重材で楽器材にも使われますので高価で入手が難しいが、コンスタントに購入していればルートで集まると。材料業者は、あてになる買い手を意識して買付け手配しているわけですから、真っ先に連絡が入るようにするのも木工職能の一つです。嘗て、パイプオルガン制作者(岐阜県白川町辻オルガン)の辻 宏さんから「最高の楢材が作品の仕上がり、作業能率に大きく影響するので、優良材は先に連絡が入る様に心がけています。歳暮は業者からもらうのでは無く、自分から送る」と伺いました。そういう気配り・スタンスが作品を高め、人と仕事を集めていると感じました。仕事が来てから探すのでは無く、クライアントがオーダーに来訪する際には魅力的な素材が準備されている、選び抜いた生地を揃えているテーラーと同じです。ミラノ郊外、3代前からの貴重材ストックがモノをいいます。工房作品は現在なお制作・継続販売。
・作品集 Pierluigi Ghianda by L.Bergo and P.peracchio
280 x 240 mm , p.160  Hard cover , 2006
 再版予定:The publisher – 5 Continents – is planning a reprint in 2014.
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木の総合学研究2013 – 2019   「木のジョイント」「ウッドワークサミットゲスト作品」
「木のクラフトミュージアム収蔵未定作品」

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