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木の大学特別講座 2019 フィールドレクチャー 「姫子プリンセスパイン木の内科」飛騨高山一之宮 受講案内

阿部蔵之|木とジョイントの専門家

木の大学特別講座 2019 フィールドレクチャー ・飛騨高山一之宮

受講ご案内

「木の内科はじまり-2|飛騨の姫子 処方とトレーサビリティー | 原木見立てから製材・マテリアルトリートメントへ」

工業生産された化粧合板や人工ボードには、木材本来の調湿作用やテクスチャー・風合いはなく、有害な化学物質で固められ、擬装したイメージ的商品が氾濫しています。ソリッド材の優れた性質は、人体や環境を護るものでした。樹木の生命力や遮蔽プロテクト、抗菌性をいかし、安全で再生できる自然素材の物性を尊重するには、樹体内部の動きを知る内科的アプローチが必要となります。

 ヒメコ(五葉)は、芳香テルペンを発散、軽軟質で狂い暴れず、深山のレディ地上の美質。木型・彫物、建具・楽器針葉樹良材として重用されてきました。木曽・飛騨・会津山口は、3大産出地でしたが、伐り尽くして飛騨地方にわずかに大樹が残されています。

 素性の良い厳冬期伐採原木に巡り合い、研究オペには格好のモデルですから、ドクトルキコルは疼きます。芯央赤身には抗菌性があり、オーガニック天然ソリッド材は、清潔で人体を護る修援材。心地よいメディカルマテリアルとして再評価されるでしょう。

オペ原木準備: マキノウッドワークス 20190406 Photo. by Yoshiyuki Makino

●秋田産 姫子巨木 の目詰み材質感

元口:径90cm x 長さ5.2m|約270 yrs.風倒木・ 秋田県 2002年搬出 |製材:20021206 鹿沼木材センター|中杢五寸厚板は仏師光背彫刻材使用|耳落とし柿渋・割れ止めMT 20040321  桟木積み自然乾燥200406  テントハウス収蔵2015 05  プレーナー切削201803(トレーサビリティー記録2002 – 2019 )

■会津山口産 木型良材:追柾目詰み / NS20年経過しても乾燥収縮バンドは少し緩む程度 痩せないソリッド材

■木曽地方のヒメコマツ:芯材赤身で止まる青・虫入り/肥大成長脂ツボ

 

「朴の木」から「姫子松」へ  樹木の生命力に潜む回復・修援作用を見出す

昨年の講座では、保存額装フレーミングから「保寶の木」のもつ抗菌性、刃物の防錆についてふれました。今回は、ヒメコ五葉の狂いにくく、型物・彫刻用材として共通の性質に注目。耐久性を新たなフレーミングアーキテクチュア・修複保存にも活路を見出します。朴と同様の特性は、針葉樹材の固定観念を変えます。

動けない立ち木は、害傷ダメージへ抗体となるタンニンや色素、樹脂を分泌してガードしたり、治癒しています。菌や昆虫類、微生物の侵入から防衛するケミカル成分は、有史以来、人間も自然薬や染料、モノつくりに利用し様々な恩恵をうけてきました。

姫子の木理は、軽軟質で昆虫や菌の侵入を抑止する芯央赤身が張り、風に揺さぶられ倒れまいとする樹体成長では、衝撃を緩和する枝幹伸ばしがスリム、いわゆる「ふところの深い」樹体組織。ユニークな生存戦略を秘めています。目詰まり年輪は、繊維管の詰まった細胞壁ラミネート多層構造であり、マイクロバリアーそのもの。既往に学説・コモンセンスを覆します。

人工乾燥によるヒメコ抗体ロジンの節・木口溶出ダメージ

KD人工乾燥材では、樹体の抗体ロジンを炉高熱で分解し、節・木口から樹脂成分が焼成され濡れ出しています。自然乾燥材の穏やかで優れた木の抗菌・抗体性は損なわれ、本来生物素材のもつ樹性「木味」は失われています。人乾処理すると、甘い芳香が充満し、独特のロジン成分であることが判ります。木の生命力を活かしたNSナチュラルシーズニング、MTマテリアルトリートメントがまとうな使い方であり、樹体を高熱炉で焼く人乾は、内部応力を残し材質にダメージを与え、劣化を早め、樹脂性分・木香はお焦げ状態です。Killing Dry。

「プリンセスパイン Princess Pine 」固有種に美名をつけて

 ヒメコの 学名は、Pinus pentaphylla   松科五葉 ですが「姫」のイメージはありません。植生や性質、木理に関する知見も少なく、優しいノーブルな独特の樹性を表すため、木の内科では、「Himeko Pine」「Princess Pine(E)」と名付けて使います。ドイツ語では、「Kleine Prinzessin-Kiefer(G)」「Mädchen-Kiefer」(女子松)という訳語もあり、日本からの導入樹種。深山峰筋のレディをリスペクし、優美な樹形、甘い芳香と美麗で気品のある木肌にふさわしい素敵なネーミングをつけました。

壮齢元口二尺の大径木は、現場作業を通じてプロのリアルな手法を相伝するベストタイミングです。木を読み、切り分け、素材の処方を体得するウッドワークショップで得られる新たな「木の内科」の知見は、総合的な学識と高度な技能をもつ「木の専門職」をめざす人に道を拓きます。

「原木元口はトレーサビリティーのはじまり」

樹体内の素性・来歴は木口に現れ、ウッドワークはキコル製材所からはじまります。先進のマテリアルトリートメント、シーズニング処方、トレーサビリティーの実際を体感できる初の現場講座です。

唯一の飛騨ヒメコ松の専門製材所で行う、またとない木の国現場オペレーションですので、ご参加いただきますよう、お知らせいたします。

□日時:2019年5月18日 (土曜日) 午後1時から5時まで

□塲所:岐阜県高山市一之宮 位山飛騨文化交流館研修室 及び (有) 坂本製材所

□講座内容:ヒメコ樹性・原木の見立てと製材現場ワーク、マテリアルトリートメント・トレーサビリティーの実学

□先導役プレゼンテーション:阿部蔵之 木の総合学研究所

□現場解説:坂本英樹氏 姫子松専門製材職 (有) 坂本製材所代表

□配布資料:原木材質のガイダンス・木口割り製材パターン・木材購入受発注フォーム等

□受講費用 :  3500 円  (会場使用・資料代・運営経費)

□受講人数:20名 (個人参加)

□申込み締め切り:5月11日

□申し込み方法:エントリーフォーム記載の上、電送してください。

木の大学講座申込書B6_

2019木の大学V:Binf_A_2

2019木の大学V:Binf_B_2

 

尚、受講費支払い方法、交通アクセス、宿泊、その他詳細事項は、受講者へお知らせします。夕方は、交流会予定(自由参加・実費負担)

□協力:有限会社坂本製材所(高山市一之宮町宮川)|マキノウッドワークス(高山市一之宮町クルミ谷)|工房悠 杉山裕次郎 (焼津市中新田)|工房ブレス 須藤崇文(松本市入山辺)

2019年4月8日

■木の大学講座運営委員会 阿部藏之・平田哲生・須藤崇文

390-0222  松本市入山辺8961-2088  AQ デザイン開発研究所内

TEL:0263 -31 -2088  FAX: 0263 – 87- 8911

E-Mail : kurayuki@abeshoten.jp     WEB :http://kurayuki.abeshoten.jp

 

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