ジョイントシステム修複・保存

嵌め締めツッコミ・密着アセンブリー | 柔軟なゴムチューブ、プラスチックパーツの交換修理|ソフトな材質をハードに仕立てるプロの妙技|インサートジョイントソリューション

阿部蔵之|木とジョイントの専門家

閑話休題

草刈り機の珍しいトラブル「燃料チューブ破裂」で修理をはじめました。手際良いパーツ交換修理にはちょっと手間取り、メーカーアセンブリーの手順やツールをイメージしてしばし。

装着するグロメットより直径が太いのでスンナリ入らず、四苦八苦。柔軟な材質のチューブを挿入するには、グロメット穴を拡げつつ貫通させ、密着するアセンブリーの賢いコツがあるはず。

硬軟ジョイントソリューション

チューブ内径と同じフックツールを挿入して剛性をもたせ、差し込むと母材(グロメット)を押し広げながら挿入できます。片方が太目のソフトな材質のパーツ同志を合体させるには、一方をハードにする逆の発想で解決、専門修理に出すほどでもなく完了。微妙な嵌合度で納まるジョイントテクノロジーの原理がピンときました。フレキシブルな燃料パイプとキャブレターの金属端末のジョイント部分が振動で劣化していました。接続チューブ割れ目からガソリンが噴き出すトラブルは稀ですが。

ガソリン燃料が漏れず密着、激しい振動にも耐える防振性素材パーツの組み立てには、木工技術とも共通した素材変性を利用しています。

大八車(車大工仕事)の鉄輪嵌めでは、鉄輪を真っ赤に加熱、膨張した外輪を木輪に嵌める焼き締めが行われ、車輪の保護・損耗を防ぎます。また、止め枘や木釘を炭火で直善に炙り、収縮させ、挿入。下穴にきつく嵌まる技法が使われてきました。

ウッドワーク分野では、「組手・継手」がクリティカルテクノロジーであり、建築や工業製品全て構造体の接合部分が最も傷み易いのです。

梅雨があける前が草刈りのタイミング。遅れると草藪は茂り、夏の紫外線を浴び、アブやハチ、蚋が襲来します。

ⓒ2019 , Kurayuki Abe

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木の総合学研究 2019 「チューブインサートジョイントのコツ」「嵌合・締めつけ・固着ジョイントパーツのアセンブリー手順」「焼き締め・炙り素材変性、弾性固定、塑性変形の応用」

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