峰サクラ バラ科サクラ属の抗菌リアクション -2 |フルーツウッドの生命維持治癒機能|メディカルウッドワークのイニシエーション insight 木の内科-49

サクラ属の樹種は多く、樹皮に含まれるサクラニン等には抗菌性があり、炎症を抑え漢方医療に使われる。樹体内で生成されている抗体物質は、医薬・染料・釉薬になる天然のケミカル。芯央色素は、華やかな花色や旺盛な生命維持力を秘め、伐採時に短時間観ることのできる生命活動シーンは、ダイナミックで鮮烈。医食同源、安全と美質は、かけがえのない生存持続のプラットホームであることに気がつきはじめます。

　樹皮や芯央に畜積される色素は、ダメージ損傷が起きると抗菌アクションを起こし、組織をスルーして動きます。セルフキュアー治癒の生体反応は全体に伝わり素速い。薬理成分を食品、漢方本草の処方、工芸材・染め織りに利用してきましたが、現代では、サクラ由来の有機合成化学色材や香り成分、工業添加剤にもなります。

■峰サクラ　バラ科サクラ属 | 厳冬期新月伐採2018 | 45yrs. 大木には成らず山の賑わい

この材色は淡紅色でもなく、人肌にちかい肉感イメージ。「さくらピンク」と名づけたい。前稿の杏子芯材色とほぼ同じで見分けしにくく、生育地も直ぐ隣です。白太辺材境界のグリーン帯は、損傷ダメージEM移動の先導バリアを受けもち。杏子の芯央、楓属の抗菌防衛色グリーン同様です。

サクラ属伴立ち　左：杏子50yrs.    右. ：峰サクラ45 yrs. 伐採後15日

240日後　抗菌リアクション

玉切り樹皮から若芽が出る生命力は旺盛

「メディカルウッド」ソリッド素材力の重視・生命維持機能材として

　多くの樹体内生成物質は、素材に特有の生命維持機能が備わり、人体にも良い影響を与える医食住同源のメディカルマテリアルになり得ると考えます。江戸彼岸サクラからパン酵母が発見されて実用化されたり、自然由来の穏やかな抗菌性能、酵母など、生きているものから様々な有効成分や生物機能を利用してきたからです。

生木材色　伐採後8ヶ月

サクラ属杏子と峰サクラ　自然乾燥の材色

「木味・木心」は、生育履歴や素性を熟知するとると木界の扉が開きます。

　樹木を伐り、刻み削る時に「大人しい」とか、暴れる」とか「育ちが良い」「木味が善い」「木心が良い」というプロの言い方がありました。木理や色調、材質感から樹木の優れた性質や品格を総合的に言い当てるのです。木目プラス色相だけではなく、刃物アタリ、木肌触感に加えて匂いを味覚として判断しています。材色素や樹脂成分は微量で穏やかな物性ですが、感染予防、健康維持・癒やし・医療性能がはっきりすれば、活きている素材の魅力や利用価値が高まります。ハイインテリジェントワークスに変わります。

サクラ属の用途ハイライト

・葉：和菓子包み　香り色成分（クマリン、ゲラニオール ) 　工業色材・芳香剤

・花：桜湯　図案装飾モチーフ

・果実：サクランボ　食材

・枝・花：染め織り

・樹皮：風邪薬・消炎（サクラニン他）医薬 | 工芸細工物・わっぱ接合ジョイント材

・木灰：陶芸釉薬

・板材：木工・版木・アテ板・打ち木 | 和菓子落雁木型 ・定規

・イメージ：文芸詩歌の題材、イラストレーション画題

　etc.　好感度の高いサクラ木とのかかわりは、広範囲で身近で使われています。

人工乾燥をしないナチュラルシーズニングソリッドNS材「ライブウッド」の経年変化や特長は、ケーススタディが進捗するに従い順次明らかになります。更に多くのサンプルを検証しながらブレークしていきます。

自然乾燥「ライブウッド」の品質トレーサビリティー、「メディカルウッド」の知見を拡げる。

　高度工業化社会では、電磁波・放射光線を浴び、合成化学人工材料に囲まれるようになりました。調湿・電磁波遮断、ノイズ遮音・熱遮蔽など、人体を護り、良い環境を恒常的に持続できるソリッド材の素材力は「環境維持装置」として重要な働きも担います。ストレスを低減し休め、活きている材料で人を囲い護るような使い方へ導くべきでしょう。「メディカルウッドワーク」の本領なのです。

「木の色」「香り」は、生命力そのもの。古代より抗菌性がある芳香精油・樹脂は、細菌や虫除け防腐にも使われました。生命力を保持する自然素材の抗体バリアをつくるパワー、治癒メカニズムや修援作用にも注目していきます。

ⓒ2019 , Kurayuki Abe

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木の総合学研究 2019 「峰桜の損傷ダメージ治癒、抗菌・抗体」「芯央色素の生成移動、ケミカル成分」｢漢方薬用有用樹種のメディカルウッドへの活用」「メディカルウッドワークのはじまり」

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