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高熱人乾で失われる木香・樹脂、オーガニック成分、微細放散物質、艶木味 | ステップヒートで心央材色は溶出し白太辺材へ拡散色付け硬化 /歩留まりアップ | 生來の樹性を尊重するメディカルウッドワークスの注視点 | 気が付かないことを、見えないものを明らかに Insight 木の内科-58
「人乾」は人を乾かすのではなく、木材の「人工強制乾燥」。工業材料化し経済性を優先、活きている繊細な木材を残酷に傷めてしまう「Killing dry」に等しい。天乾(自然乾燥)ナチュラルシーズニングは、マテリアルトリートメントによる熟成・富貴化をはかり、生命擁護やダメージを修援するメディカルケアー機能を活かせることが明らかになります。
人類が初め樹体の内部木目見たのがおおよそ一万年前、 kiln dry = kill dry。物質構造のみを利用しているマテリアルだった.と気付くのが遅かった。
ソリッド材を人体に触れる道具や家具・室内環境装置として捉え、コモンセンスを覆し、有用な自然循環素材を価値ある扱い方へシフトさせる先駆的ガイダンスを記載します。
「人工乾燥」は、直火・高温熱風や高周波レンジなどで強制脱水し、板材角材の反り捩れを防ぎ、安定均質化させる。大量に経済的に使うために開発されてきました。 人工乾燥炉処理は、「Kiln Drying」「Artificial Seasoning」と呼ばれ、乾燥炉に木材を桟木積みにして熱風で強制的に水分を蒸発させ含水率を下げます。
乾燥ステップヒート・煮沸状態では、水分だけでなく樹脂成分・精油・樹体組織を構成する抗体色素や微細放散物質も高熱で壊れ、変質。活きている細胞組織を殺し、活動を止め腐蝕や変形を抑えるオペレーション。伐採で深手を負い、さらに高熱で焦がされるのは残酷です。「木殺し」というのは、材面を叩き圧縮する別の意味で使われますが、木材の狂いを少なくした「均質で安定した工業材料」商材として販売されています。
活きた自然素材の感触、艶や香り、吸湿・抗菌抗体作用、室内温湿度緩衝などの優れた固有の性質は棄損されてしまう。樹体温は、周囲環境に順応し、通常12 ~18℃程の変温性ですが、人乾炉内温度設定は60℃から80℃を超え、白焼きこがし状態寸前にして水分を飛ばし、含水率を下げます。この時、繊維細胞セルロース・リグニンの軟化が起き、樹体内は熱変形して灰分となり、細胞組織全体の躯体をマテリアルとして利用します。
■高熱人工乾燥で棄損するもの
テルペン類、タンニン、抗菌抗体、色素、精油・樹脂、デンプン・多糖類、ポリフェノール、酢酸ボルニル、アルカロイド、酵素、微少放散物質、油気・艶・木味 etc.
表面硬化や内部応力歪みが残り、木口割れ、組織の陥没収縮がおきます。心地良い、しっとり感がなくなり、パサパサで「木味」が損なわれると言います。
A ブラックウォールナットの人乾材(KD) 芯央色素の溶出・白太辺材への拡散・色変と長期自然乾燥材(NS)の比較
芯材色が滲み出し拡がると10-20% も歩留まりアップ。木材資源の有効利用と収益アップを狙う建材加工USA製品。
心材色は、白太辺材へ滲み流れて薄くなり、材質は重く堅く締まる。繊維組織は高温で傷み脆くなります。色付け幅広建材に化ける。10% ~ 20% の材色拡張で高級品化。歩留まり・収益もアップします。
ブラックウォールナット突き板 0.6mm 原木煮沸による材色移り スライス後のヒートプレスで材色固定(1970年北三製造)
B 真樺人工乾燥材と長期自然乾燥材の識別
人乾後の色素移動焼け痕跡「人乾おこげライン」
人乾による心材色移動 白太辺材へ滲み出し。色差はぼやけて帯状にでる。
長期天乾では、心央色は熟成して鮮明ですが白太辺材に黴の拡散があります。従来、用材は原則「白太落とし」でした。大径良質材が枯渇してくると、商材は白太辺材混じりも材積として使うようになり、建築基準法でも人工乾燥材がスタンダードになりました。
人工乾燥では、心央色素や脂成分が高熱で溶け出し、白太辺材境に凝集して濃く焼け色がつきます。自然乾燥とは違うコントラストがつき、水分を抜いた組織内空隙でカンカン響くので(甲高い音域)識別できます。
長期天乾ナチュラルシーズニングNSでは、雨被りや割れ止め剤未塗布部分の白太辺材に黴が拡散することがあります。無理をさせず、ゆっくり自然のリズムで乾燥するのは、本来の材質を活かせるのですが、蟲喰い・黴リスクも高い。昔から、「白太落とし・心赤身使い」が原則でした。樹皮をつけたまま桟木積みするのは、虫さんたちのマンションになります。
天乾と人乾材の材質イメージを例えると、
「生ハムとビーフジャーキー」「スルメの浜干しとガスヒータ乾燥」肉汁が出て硬くなってしまう「焼き肉メディアムとウエルダン」の違いといえばわかりやすいでしょうか。
※ 熱変形・材質への影響については、次稿に続きます。
ⓒ2019 , Kurayuki Abe
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木の総合学研究 2019 「樹木の生命維持機能、抗体防衛・治癒力を住まいに活かすメディカルWW」「人乾材色変動と天乾材の品質性能の違い」