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オニグルミの抗菌抗体・セルフキュアー | 切断面から吹き出す樹液の 異様なフルーツウッド オレンジ樹液の多糖類ゲル化 | 株元基底部_中枢のバイタルサイン・伐採後のダイナミックな経時変化を具に Insight 木の内科-57

阿部蔵之|木とジョイントの専門家

林学・木材学専門教科では、心材赤身は「活動をやめ、若しくは、死んだ組織である」と教えてきました。

実際はそんなことはないョ_心材は、辺材(白太)より後から出来る。水揚げ期には、伐採すると心央からも水を吹き出す樹体も多いのです。抗体・防御の芯央色素分泌や派出、ダメージ受創を受けると治癒オペレーションも始まります。

 実際、色素が蓄積しない無地のもの、芯割れで抗体色素が現れるもの、心央色素が赤くない樹種も多いのです。では、伐採された切り口は、活きているままどうなるのか。実生林縁、キコル株その後の樹体内記録です。

鬼胡桃(白)樹齢 25yrs.  20191028 新月前日に伐採 伐採直後は、末口から水を吹き出し、滴り落ちる。

一週間後、樹皮内皮・芯央からの色素滲み出し、タンニン成分の黒色変化。(樹皮にはタンニンを多く含有)

3週間後、白太辺材部からオレンジ色樹液吹きだし切断木口面を被覆します。

セルフキュアーの動きは激しく、はじめは透明の樹液が噴き出し、芯央は黒くなり。ゼラチン_ゲル状のオレンジカラーが目立ちます。空気にさらされ、空気中の酵素などで分解されるようにみえますが、株元基底部・中枢から分泌される抗体・材色は、発出する赤班があり、酵素やタンニン成分も関与して一時的に変色がみられます。

数日後に乾燥して固まり、虫や細菌がより付かないので、この樹液成分には忌避成分、抗菌メディカル作用があるはず。バイタルサインは、しばらくして消えました。

株下基底にある中枢部

内部組織の抗体・治癒の動き_その分泌派出やバイタルサインが鮮明です。

 実際に立木を伐り、原木を挽き、切り削る。香りや発散物質を捉え、樹体全体の動きを知ることも重要です。年輪層や樹皮の様子から、材質の由来や活きている固有の性質が備わってきた過程のストリーも読み取れるようになります。

例えば、樹皮が厚い方が材質の良質なものに、桂・オニグルミがあり、薄い外皮のホウの木や樺、アオハダは、抗菌性・耐性が高く落葉も早い。枯葉を早く落とし、冬に成長を止める樹種は、年輪が際立たない緻密な材質となります。逆に、山桑は一番遅く芽吹き、最後に落葉。遅くまで光合成を続け、冬目が発達しています。つまり、早く寝るほうが木肌に潤いがあるようなイメージです。中枢部組織には、ミクロの生命維持機構が伺え、いくつかの異形細胞が繋がっていました。経脈・機序は明らかにないましたが、まだ名称はありません。

因みに、小職はこの40年間、伐採現場、木材市場、製材所やチップ工場、木工の現場で研究者には出会いませんでした。夏、原木丸太樹皮に取りつく昆虫採取家はいましたが。

 春夏秋冬の違い、抗菌・抗体活動の様子、ダメージ損傷の手当治癒、伐り倒されて数年間の樹体内変化は、観たことの無い樹体内のミクロコスモス。未知の生命相を伺うことが出来ます。

水木の樹皮切傷治癒

春先、日本鹿の角で樹皮に傷がつくと、内皮から樹液を出して塞ぎます。樹液には糖分が含まれ、オニグルミ芯央のように空気にふれて、酵素によるオレンジ色のゲル状被覆が現れます。追記 2024/05/16  Kurayuki Abe, 2004

 

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木の総合学研究2019 「 オニグルミの受創治癒・生命維持反応バイタルサイン」「樹液分泌・生命兆候」

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