「木」と医療「木識・木学」フルーツウッドメディカルウッド木の内科木界木香

天然檜とフルーツウッドオニグルミの芯材色分泌をつきとめるオペレーション | 枝節・株根切りからの幹芯央へのトレーサビリティー | 自然素材の抗体・修復機能、オーガニック成分を活かすメディカルウッドワークスへ | 気が付かないことを、見えないものを明らかに  Insight 木の内科 – 62

阿部蔵之|木とジョイントの専門家

針葉樹と広葉樹の「芯材赤身」材色は、どこから出てくるのか。どのように樹体内部で分泌し移動するのか、肥大成長に伴い色素を造り出し、持続供給する生成組織があるはず。このオーガニック成分は、抗菌・抗体、治癒にダイナミックに動きます。生命維持の仕組みと機能は、メディカルウッドワークスへ多くの知見と方向性を導いてくれます。

 芯材(赤身)は、辺材白太より後からできます。専門教科では、「芯材は活動をやめ、生きていない組織」と教えてきました。どのように色つき、芯央材色「赤身」は成長肥大するのか。現場のオペレーションでは、大径木になっても生命活動は盛んで木理・芯材色の動きを見ることができ、トレーサビリティーは鮮明です。

地上で存立する樹木に自律機能や中枢があり、治癒・抗体の分泌・派出、防御に動き、生命維持をはかる仕組みを知らないまま一万年_古生代から数百万年経ち樹性が明らかになります。

A.針葉樹 ヒノキの根系・枝節の色素放出と材色

枝節部に芯色素の生成、蓄積、送り出し吸収が行われる。

枝節から生成蓄積された赤身(抗体・治癒物質)の送り出し

天然檜の根元・根系の機能、材色の動き

 倒れまいと上体を支え、地中から水分・養分を吸い上げ、樹界のコミニケーションを担います。立木を支え、土壌からの養分や水分を吸収する重要な役割を担いますが、成分・太根の材質の動きは未知の領域です。

株・根元、及び太根芯央材色には、色素の生成・送り出しはみられない。太根は地上の外皮にソックリ、「地中の枝」の拡がり。

B.広葉樹 オニクルミの株・根元の色素放出と材色

伐採されると、直後に芯央からタンニン、株・根元からオレンジ樹液が吹きだし、損傷ダメージを治癒する被覆。芯材色は辺材白太へ尖出しセルフキュアに動きます。20191028 朔前日伐採

 

抗体治癒樹液被覆 は1ヶ月後

 

切り口の材色分泌呈色  2ケ月後

 

根切り後に辺材白太の材色素が消滅、材色変化は多段階です。株・根元の色素移動、治癒リアクションの微妙な経時変化が続き、赤班がでたり、酸化による色変など複雑な動静ががあります。

太根は幹外皮にソックリ。薄い表皮に縞がはいり、若木の樹肌に似ています。黄色体はタンニンを多く含み空気に触れると内皮・芯央は黒色に変わり、株下は紫から茶褐色に。太根は、切断直後は淡黄色に放射状に淡緑色が現れ、次第に固有の茶褐色を帯びて固定されます。

抗体治癒物質・芯材色の分泌放出 株下根元にある生成組織

 

株地上部ではなく、根元地下15cmあたりから芯央・白太辺材、及び根に抗体・治癒物質を分泌し拡がる。源となる組織が根元芯央に位置していました。

色素生成組織が針葉樹は枝節にあり、後から進化した広葉樹は、根元地中に抗体ガード・治癒物質の芯央色素を集中的、効率的に分泌供給し、生存機能を高めているという解釈もできそうです。地下ならばダメージも受けにくく、株根基底部ならば安全。常緑葉を落とさない樹種とどちらが有利なのか、生息地分布、樹勢からみれば明らかです。株下・根元の抗体・治癒・芯央材色の生成源組織のデティールは、次稿に掲載します。

 根切り鋸

檜とオニクルミの材色生成、蓄積、放出移動の違い(ケーススタディ)。

 芯材色(赤身)は、辺材白太が生きている間は肥大成長とともに持続して拡がります。樹体を護る生命維持物質を継続して造り出し、サプライする構造的な組織が働いているのですが、その芯材色成分を生み出す部位は、針葉樹ヒノキでは枝節から、広葉樹オニクルミでは、株根元から樹液色素が放出されています。

因みに、芯材色のない無地プレーンの樹種の枝幹は、蟲・黴ガードや抗菌・抗体の働きをする芯色素を造らず、樹皮や基幹組織で抗体成分を造り出し、防衛機能を身につけます。芯割れが起きるとタンニンを析出して色変が起きることも確認しています。

「枝節」「根元」結合組織は、生命維持の中枢

 心央材色は、枝節や株下・根元から連続して供給されていることが明らかになりました。更に太根の内部でも生成されるのか、太根にも年輪層と芯部ができので色素移動がおこるのか。最も注目されるのは、抗菌・抗体をコントロールする生命活動の仕組みです。

更に、天然木の伐採・挽き材と連続して根っ子まで掘り、根張りを調べ、太根切りまでは皆無でした。樹種ごとの事例、経時変化を追いつつ、抗菌抗体の動きや治癒反応を見極めめ、記録していきます。人類が木の内部木目を初めてみてかおおよそ一万年、木の内科の考究は、抗体治癒・防衛反応を注視して、ようやく枝節と株根系へと辿りつきます。

「食は命」生きたければ活きている物を食べなさい。生き続けるために、活きている自然の材料で暮らしなさい。人工合成化学物質に囲まれていては、未来の世代はとても危ういからです。日本の暮らしは、マイクロプラスチックを食べ、ポリビニール袋の中で寝ているようになりました。

人工乾燥KD材は、高熱炉で焼きこがして水分を抜き、同時に重要なオーガニック成分も棄損してしまう。表面硬化、内部応力歪みを残した活きていないマテリアルとなります。木の優れた性質である室内温度・湿気の調整、香り・艶は消えてしまうので。自然乾燥のソリッド材を推奨します。

根系 既往の研究

専門図書:「樹木根系図説」苅住 曻著 誠文堂新光社  2010    ISBN-13: 978-4416410059 (主要樹木の根の精緻な形態や活動を詳述した調査研究書)

 

ⓒ2019 , Kurayuki Abe

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木の総合学研究 2019  「針葉樹・広葉樹の芯材色を造り出す仕組み」「抗菌抗体・治癒反応の活性と期待される修援効果」「防衛・生命維持機能、オーガニック成分のメディカルウッドワークスへの利用」

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