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テッポウ虫・弾丸が入ると樹体の治癒・抗体の分泌バイタルスイッチが入り、肥大成長・大木化につながる|損傷ダメージを修復するために生命維持力が強まり、活発な内部変化が起きる|傷つき被害を受けても耐性を造り出し樹勢を強める|大径木の元口から見えてくる樹性の逞しさ Insight 木の内科 – 70
現在までの原木購入では、オニグルミ・桂・ブナ・ホウの木・姫子松・栃、桐では、株元に虫穴が入ると急激な肥大を遂げています。損壊ショックが代謝を促し、成長肥大が進み大径木となる。多くの樹種で、大木の元口に太い木喰い虫穴と樹体内の動きを見ることが出来ます。
虫喰いダメージや樹体の損傷を受けると直ぐに治癒動き、微生物や菌類が入ると抗菌・抗体物質を送りはじめる。患部・ターゲットへの抗体治癒成分の機動は、芯央色の動きとして見ることができます。「成木責め」「梅いじめ」「枝元傷付け」や「芽欠き、剪定」は、生命危機をつくり出し、発育・代謝を増幅させる、果樹栽培のビックリ栽培技術でした。樹木をどんどん傷めつける大変な時代です。
大木になって栄養分が多いから喰いつくのではなく、若木の芯央に入り、成虫で抜け出る。年輪層を太くし、根を張り、どんどん成長して倒れない。厳しい環境に耐え、長いライフタイムを持続出来る。結果として大樹になる様子も見えてきます。
オニグルミ25yrs. 2019 年 新月前日伐採 株根元二段伐り2020年 入山辺
オニグルミ赤 77yrs. 2010年 会津坂下町州走
元口 700~900 x 末口 700~ 530 X 3 m 元口テッポウ虫入り
大径木の元口・大きな穴あけは、株元にはいることが多い。周囲は芯材色抗体バリアーで腐蝕菌が増殖しない。 腐らず傷口は虫喰い屑で塞がる。
オニグルミのテッポウ虫喰い抗体反応
テッポウ銃弾の受創 オニグルミ辺材にライフル被弾、鉄分で変色
木工職は、弾丸を鋸挽きすることがあります。
ブラックウオールナット元木被弾ダメージカバーリング、肥大成長ブレーク
Black Walnut Table 2002 Oil finish 2004年11月 730 x 2.330 x 60mmt 二枚矧ぎ
緋桂 135yrs.
岩手県宮古市産出 2007 元口:700 x 750 / 末口:680x600 4.4m 元口テッポウ虫入り
ブナブナ(赤) 227yrs. 大木のテッポウ抜け
奥会津大沼郡金山町布沢 2004年4月 根ムクリ倒木木樵カット
ブナ科では、櫟・楢・コナラも同じようにテッポウが入り肥大した原木をみかけます。
ホウの木 90yrs. 元口のテッポウ入り
奥会津大沼郡 元口 700 x 末口 600 x 2.1m x 厚み 60 – 80mm 長期保管材
ホウの木 95yrs. 末口のテッポウ虫穴
抗体分泌・治癒が派手に現れ、辺材部目摘みが肥大。末口に入るのは珍しい。 2004年 会津_新潟県境産出材
姫子松 1i9 yrs.
木曽地方 元口 800 x 末口 720 mm 倒木埋木 2004年製材
シオジ 395yrs. 稀少大径木
2007年 埼玉県秩父市産出 元口 900 x 末口840 x 4.2mm 2008年1月製材
オニグルミ、シオジや桂、栃はテッポウが入ることも多く、沢筋水脈のある地面に育つので昆虫や菌類も多いのです。材質は、やや軟質で油気あり、共に木肌・木理は美麗です。
栃(白)155yrs.
福島県大沼郡三島町浅岐入山沢コテキ沢 2010年 10月 新月前日伐採
会津桐 (畑桐)大径木 30yrs.
元口テッポウ虫入り 2ヶ所
2008年10月 福島県摩耶郡山都町産出 元口700mm x 末口600mm x 長さ2.260mmx 厚み60mm 雪曝しあくぬき 一冬
テッポウ虫 成虫
当地のカミキリ・木喰い虫には、この他8種類がいて、初夏に飛び交い、無断で交尾しています。
通常、木材市場に出品される大径原木は、品質を高く見せるため、大きな欠点・腐り、テッポウ穴部分は落とします。テッポウにより、大きく肥大成長したのですから、優良材質が自明。広葉樹では、株下芯央根元に材色分泌、抗体源があり、針葉樹では、枝節が成長と抗体源の蓄積組織となりますから欠点とみるのは間違いなのです。生物素材がもつ樹性そのもの。
果実の養分を蓄積するフルーツウッドでは、傷めつける「責め木」が、味や玉太りを促す果樹栽培の裏技です。柿は枝元を傷つけ、葡萄は枝きり、林檎・梨は摘果されます。
敗戦後、小職が疎開先で生まれた西多摩郡吉野村(現在の青梅市)では、初冬に子供達に竹棹で枝叩きの仕事をさせました。放って置き、ゆっくりさせると樹木はのんびりして子孫を増やさない。そこで実をつけないと「ぶっ切るぞ」脅かすのでした。
漆かきは、樹皮を傷付け傷を塞ぐ分泌液を採取します。果樹は、傷めつけ実りを多くおいしく、自然の性質を損ね、無理をさせるのです。危機に直面すると生命力が発揮されることが明らかです。傷をつけたり、枝を落としたり、樹皮を剥がす、穴あける残酷なストーリーは続きます。
ⓒ2020, Kurayuki Abe
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木の総合学研究 2020 「テッポウと樹体肥大成長」「天然木の抗菌・抗体・治癒作用」「樹から木材へ Vom Baum zum Holz From Tree to Wood」