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忘れられた香木 「もみ・つが」|檜より強く、秋冬目がまさり、通直に肥大成長する代表的針葉樹ツガ |狂い少なく、木理・材色を主張しないネイティブ別格。腐朽に耐え 放散微香はノーブル Insight 木の内科 -72

阿部蔵之|木とジョイントの専門家

針葉樹「つが」「こめつが」は、優れた建築構造柱材であり、香木香料増量にも秘かに。木造建築技術を支え、建具・家具・車体大工、船舶ぎ装、パルプ原料として工業製紙に大量に使われ、天然林大径木は伐り尽くされました。家屋・土蔵・城造営には、構造体の耐久力がダントツの栂普請が一番上等なのです。

 松・杉・檜・樅・栂・五葉・樟・桂など、多くの天然香木類が多く生育していた時代から、 多くの樹種が皆滅に近づいています。生存資源の保全や環境再生ができなくなる瀬戸際です。栂の大木や太角材を見たり、香りを吸い込みつつ、ウットリ削ることがありますか?

春材部:春夏の肥大に比べ秋材部:秋冬の肥大成長が大きい

 冬目の肥大が大きく、寒冷期に活発な成長します。年輪木理はハッキリして、春夏材から緩やかに冬目に移行、収縮が小さく安定していて、反りや捩れが少ない。

年輪木理を造る秋冬期の肥大は春夏と同じ程度とかなり大きく鮮明な部分が観られます。冬目に脂成分抗体を蓄積して材色は濃く堅く、軟質の細胞層が広いことは、冬に活動成長が高まり、冬に眠る広葉樹とは逆の動き。

■密度比重実測g/c㎥ A. 四方柾 0.57  B .二方柾 0.56 C. 節絡み 0,798

■気乾含水率(%) A.13.2 – 14.2 – 15.4 B.17.2 – 15.1 – 14.3 C.15.5 – 15.9 – 16.3

 「つが」は、あまり目立たない樹木です。主張しない木理や材質に加えて、富貴な微香性で市販香料の増量剤に使われ基材的な性格も特長的です。最強の喬木の部類、太く長いので挽き材の歩留まりがよい。刃物あたりよく、丈夫で商材は安値でしたから、木型や構造フレーム材にも大量につかわれました。ポピュラーな有用材として利用範囲が広く、木の文化にも大きく貢献してきました。実用材として使い、ずっと香木であることは知らないまま、有り難く感じていませんでした。

春夏の肥大は軟質 → 緩やかに秋冬の肥大 が始まり強い木理に成長

春材部:春夏の肥大 秋材部:秋冬の肥大

前稿、姫子松と同じように冬目が大きく、寒冷期に活発に肥大成長。年輪木理はハッキリして、春夏材から緩やかに冬目に移行、収縮が小さく安定し、反りや捩れが少ない。

つが材は、木理が緻密で光沢に富み、色白。清潔な木肌で水湿に耐える。年輪木理を造る秋冬期肥大は春夏と同じ幅か、やや大きく堅く締まらない。冬目に脂成分抗体を蓄積して材色は濃く堅く、軟質の細胞層が広いことは、冬に活動成長が高まり、冬に眠る広葉樹とは逆の動き。

■密度比重実測g/c㎥ A. 四方柾 0.57  B .二方柾 0.56   C. 節絡み  0.8 (0,798)

■気乾含水率(%) A.13.2 – 14.2 – 15.4 B.17.2 – 15.1 – 14.3 C.15.5 – 15.9 – 16.3

 冬目の肥大が大きく、寒冷期に活発な成長。年輪木理はハッキリして、春夏材から緩やかに冬目に移行、収縮が小さく安定して反り捩れが少ない。既刊専門書の比重数値と異なり、木目や部位がちがうと幅があります。

こめつが葉・元木株と玉切り

コメツガ270yrs. 入山辺桐原 柴宮社 20090515-16

 年輪木理を造る秋冬期肥大は春夏と同じ幅か、やや大きく鮮明。冬目に脂成分抗体を蓄積して材色は濃く堅く、軟質の細胞層が広いことは、冬に活動成長が高まり、冬に眠る広葉樹とは逆の動き。氷河期を乗り越えて来た樹種は、寒冷期に強い。

 

針葉樹は、枝節に抗菌・抗体成分を蓄積します。芯央材色も動き、冬目・年輪樹脂の供給が続き、活節が残ります。

木香・薬理作用はまだよく知られていないまま。

 防虫作用について「もみとつが」の資料に、原生動物は死滅するという説明があります。材質自体に防虫・抗菌微細成分を含有しており、微香成分は、キュア・メディカルウッド材に入る可能性がありますね。

香木には針葉樹が多く、国内にはまだ知られていないキュア・メディカルウッドがあります。もみ・つがが香木だった江戸中期

 氷河期を乗り越えて来た樹種は、寒冷期に強い。檜属・松柏類は、脂細胞が発達して、精油・木香 微細放散成分を多く含みます。

虫・菌類を防衛する分泌脂成分で芳香を放散するものは、圧倒的に針葉樹が多く、分泌成分(主に脂・油分)そのものが香木樹体を造り出しています。

「香木 54種」

 松、姫子(五葉松)、柏・樟・檜・杉・椹・栂・樅など多数 広葉樹は桂、楠、樟等を記載。「和漢三才図絵」巻第八十二 「香木」 図入り事典(江戸期正徳年間)に出版されたものに詳しく解説され、現在では知り得ない特徴などがわかります。

松柏類は、脂細胞が発達して、木香や精油・微細放散成分を多く含みます。虫・菌類から防衛する分泌脂成分で芳香を放散するものは、圧倒的に針葉樹が多いことからも、分泌成分そのものが香木樹体を造り出しています。

森林の多様性を潰し、稀少樹種は残さず。自然の再生力をとめ、成長できない異種幼木。現代林業の現場は邪魔者扱い。

 檜・杉人工林下草刈りでは、赤松・姫子松・栂はじめ、他の幼木は刈り払いされてしまうのですが、拡大造林・有用樹の考え方は変わらず、杉・檜主体の林産政策が続きます。多様性を引き継ぐ自然林へ移行させる考えがないため、侵入してやっと生えてきた段階で無残にちょん切るのが森林整備、施業とされています。

中信地方では、栂普請が上等、土蔵・城郭はツガ造りが本流。

総バラシ移築 1999年・ツガ柱組み  明治41年上棟(旧小原呉服店座敷土蔵)

松本城 つが通し柱

 1956年(昭和27年)ころまで、山々に自生していた「つが」大木は高知県と長野県が主産地でした。通直で枝下が長く、大径木は、安いために伐り出され、繊維が長く白く上質紙工原料などの工業利用が続き、とうとう国内の天然林大木が消えてしまいました。栂といえば輸入製品材木「米ツガ」を意味するようになり、国内太材は捜してもありません。自然環境を重視する時代になり、北米輸出国も高樹齢大木を保護するため禁伐、目摘み栂材はとても稀少なものになりました。

 本稿では、活き節から冬目へサプライされる樹脂成分の動きを捉えています。針葉樹の生命維持・抗体源で材色となる基幹部が枝節にあり、抗体や材色素の発出組織が株下にある広葉樹と防衛・治癒の仕組みが全く違う。冬に眠る樹木と元気に成長する針葉樹体内の大きな違いです。

つがや姫子五葉松は、冬に眠らないで肥大成長し続けて木香成分も多く、夏よりも肥大成長が多い姿が明らかになりました。

また、樹体が腐朽しても節は元気で残るので、木材本来の生命力オーガニック成分を活かすには、節部分を取り込み、長期自然乾燥による熟成・富貴化も可能であることもわかりました。

 

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木の総合学研究2020  「香木もみ・つが」の抗菌・抗体、樹脂・香り成分、微細放散物質と枝節の樹脂蓄積と分泌移出」「木材加工からオーガニック成分の生命維持力・木の見えない力を活かせるキュア・メディカルウッドワークスへ」

 

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