「木」と建築「木識・木学」メディカルウッド木の内科木香

忘れられた香木「もみ・つが」-続  最大級の香木類「樅 毛美」木香放散・耐寒不凍 氷河期を超えてきた針葉樹体の冬目肥大|虫・黴つかず、構造材並物、抗菌性櫃箱材に活躍|際立たない材質は尊重されず、生命維持力・微細放散成分は未知の領域|もみ・つが材の性質と用途資料探しあて Insight 木の内科-73

阿部蔵之|木とジョイントの専門家

 

芯央から重層に盛り上がる芯材年輪は、樹体の重さや風圧に耐えるように変形肥大し、倒れまいとする生命維持の姿そのもの。重さを受けとめ、圧縮・剪断_捩れ応力に耐える動きが自ら構造組織を造り、木目や材色となって現れます。

樅105年生の大木の内部は、成長した時間変化とナチュラルヒストリーそのもの。 元口径 900 x 840mm 末口径 700 x 660mm    長さ 4.3m  / 傾斜地に育ち陽表肥大 芯ズレ良質材 製材作業協力:柏木工房 柏木 圭(2003年12月)

脂ツボから冬目に抗体色素を分泌

 

 高樹齢・大径木になると、脂・油気が増え、脂ツボ・脂溜まりがポツポチと出来てきます。節や脂ツボから冬目に抗体色素を分泌、乾燥すると辺材_芯材のコントラストはなくなり、所謂「白木」になります。

春夏_   秋冬肥大成長は同等

冬目は堅くならず、脂ツボから抗体・材色成分が冬目に分泌されています。冬寒冷期に肥大成長が進み、冬に眠る広葉樹と逆の冬目まさり。常緑針葉樹は、寒冷期に活発な動きをします。稲は夜に育ち、広葉樹は冬に眠り、針葉樹は冬に活発な肥大成長している。

 アテ・逆目・バイヤス・捩れ・ゆらぎ変形

樹体の自重、風圧による揺れは、辺材部から芯央に圧縮あて_逆目・バイヤス、ゆらぎ変形をおこし、イレギュラーな木理や色変が内部に現れます。高樹齢・大木は、倒れまいとする二次補強や緩衝組織を造り出し、ストレスがかかる部分に圧縮あてやムクリ逆目などの変異が観られる。

大径木は、樹体へかかる外力応力や自重に耐えるように木理を造り変えています。倒れまいとする生命活動が木目に現れてくるのです。

杢理と材色 柾目 / 木表・木裏

 

木表と木裏

桟木積み自然乾燥17年の積み替え

板材の収縮_反りが少なくフラット。材質は、やや軟質で加工しやすく、夏目_冬目がほぼ平均に肥大し均衡。硬軟・変形はすくなく通直で安定しています。

鉋仕上げは、艶やテクスチャーを美しく感じさせ、魅了される。素木ソリッド材の木肌感触は、適度の湿り気、温もりがあり心地良いのです。真夏には室温より低くひんやり、厳冬期には凍り付かないで「平衡温度」域を保ち、温もりを感じます。繊維質と細胞空隙の塊からできており、熱が適度に遮断され、外部気温変動にそのまま追随しないのです。自然乾燥ソリッド材は、そのオーニック成分が長く持続します。

 

長期自然乾燥により熟成・富貴化した削り華・木肌は、水分を含むと甘い官能的な香気が香り立つ。

素木の視触感は安らぎ、目にも快適ですが、濡れると香り立つ水溶性の木香成分にも注目しています。

甘く官能的な木香で虫や黴菌がとりつかない抗菌性は知られてない

脂質や油分が少なく肥大成長し、大径木になると通直で素性がよい穏やかな木理欠点が少ない優れた樹体となる針葉樹でした。材部に脂ツボがサティライト的に造り、抗体色素は冬目にサプライされ年輪を形成します。木香放散成分は乾燥状態では、微かに芳香を発散。長い自然乾燥では熟成・富貴化も進みます。さらに、削り華は濡れると香り立ちます。

「樅の木は残っていない」

「樅」縦にのびる、高く聳える樹木。大木になり、通直で強く均質な加工しやすい木材は、建築・建具・家具・梱包材、車両・船舶ぎ装、下駄履物、パルプ原料などの安い産業資材に大量に使われてきました。山中谷沿い至る処に生育し、膨大な天然林がありましたが、皆伐されて現在では木材市場で見ることは稀になりました。

専門図書に「材質がよくない、狂い易い、無臭に近い」という記述もありますが、生育地環境や個体差があり、伐期、長期の自然乾燥、マテリアルトリートメント次第では材質は損なわれません。

香木の次席は「樅」 香木類には、針葉樹種が圧倒的に多い。

香木類 には、① 柏 コノテカシワ ② 樅 ③ 檜 ④ 木右 ビャクシン ⑤ 檜柏イブキ ⑥ 檉 ムロノキ ⑦ 加羅木 → ⑪ 椹 ⑫ 栂 ⑬ 松 ⑭ 五葉松(姫子松)と続きます。

松柏類・樟・檜・杉・椹・栂など54種あり、針葉樹種が圧倒的です。「和漢三才圖會 巻第八十二 (江戸期正徳年間編纂版本)

「樅」の名称 起源・ルーツ

938年の源順による編纂 「和名類聚抄」では「毛美」、「妙義抄」では「もむのき」「字鏡集」に「もみ、ものき」 S;新大漢和辞典

他に、表皮が揉み肌というイメージという説があります。和漢三才圖會には、「その材は板とし、櫃箱をつくる」という記載があり、保存箱、フレーミング材に適しているものの、すでに天然の原木は、伐り尽くされありません。少ないサンプルから微放成分を究明してキュア・メディカルウッドワークスに活用します。

 森林地帯どこにでもあった樅栂は、並物として尊重されず、長年、安い商材として扱われてきました。記録や研究資料は少なく、知見は限られています。本来は、木香を蓄え抗菌力があり、しかも耐寒性も備える良材でした。現材料は、市場から無くなると関心も消え、人工高熱乾燥処理の輸入材になり、木の生命力を支えたオーガニック成分も損なわれてしまう。人乾材は、焼き焦がすのです。

 

 割れ止め剤塗布、桟木積みは、数年間隔で積み替え、天日曝しなど点検を行います。移動することで、林場や桟木積みを空気を入れ換え、蜘蛛や付着物、昆虫の穴あけ、変色や割れ動きをチェック。指物専門職は「木守り」といい、大切な保管材料の養生作業をしてきました。熟成させ、「枯れ具合」や「木味」が十分になる使い時を知るのです。

ハリモミ 樹齢 約250年生の葉枝・樹幹

もみ・つが材の資料 1952

長野県、及び高知県産出材について、詳しい性質・用途をまとめた木材利用PR冊子が発行されています。当時は豊富な天然林があり、産業資材として多量に伐り出されました。高度成長期には、枯渇するようになり、輸入北米材へとシフトしました。この「信州のもみ・つが材」に編纂された小冊子の内容は、産業需要や現場の様子が具にわかり、専門書には掲載されていない貴重な現場の記録です。木材利用PRで業界向けに配布されたもの。

もみ・つが材の用途の記録

①「和漢三才づ圖會巻第八十二 (江戸期正徳年間編纂版本 イラスト入り図鑑)香木類に記載。

② 木具「折り」神仏葬祭具、経木、蒲鉾板などの産業用材は、「木材之工藝的利用」1991年(明治44年)に記載があります。

「もみ・つが」は、どこにもあって、目立たない性質で並物でしたから、高級材として扱われず、何時しか無くなってしまい、生育地による違いも明らかにすることが難しくなりました。濡れると強まる芳香成分は、キュア・メディカルウッドとして注目するとともに、その有効成分は、これから明らかになりますが、粗末に使い果たしてしまったのです。

 放散される香気成分を研究したり、キュアー・メディカル利用を教える専門学科もありません。素木を鉋で削ることも遠のいて、芳香の放散を嗅ぎ、美しい木肌、清潔感も体験出来ない。大木は、宮社・神域に残ります。

見えない芳香微細放散成分が、人体や収納物にどのように影響をするのか、抽出される精油や環境調整装置として扱える自然生物素材の力は、研究テーマとしても重要な方向となります。

 

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木の総合学研究2020  「香木もみ・つが」の抗菌・抗体、樹脂・香り成分、微細放散物質と枝節の樹脂蓄積と分泌移出」「木材加工からオーガニック成分の生命維持力・木の見えない力を活かせるキュア・メディカルウッドワークスへ」「もみ・つが材の用途」

 

 

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