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Aboriginal wooden machete was enchanted by spirits.|アボリジニの精霊が宿る「木鉈」ネイティブコレクション|An old native collection in Sydeny 1970 | Museum-class important folk art before it was noticed and widely known around the world. | 世界に注目され、広く知られる前に収蔵していたミュージアムクラスの重要先住民族アートの出番
オーストラリア先住民アボリジニの「彩色木鉈」_ブッシュ伐り・枝落し硬木の片刃。精霊が宿る原始感覚が活きづくネイティブ意匠にみる自然造形は、一級の民俗木器遺産であり、傑作美術品・重要ザイン資料です。実物本物のリアリティには、タッチや制作時の息つかいに迫力があり、時空を超えて多くの語りかけが始まります。
峯の造りは、砂漠蜥蜴など爬虫類の背模様を彷彿させる_動き出しそうな精霊のイメージが浮かび上がります。
■刃身の彩色意匠_見えない威力をもつ原始感覚の装飾
刃身に描かれた線画模様は、4色自然顔料の斜方交差の重ね塗り_クロスした空隙に白色の点描が反射光でキラリ_浮かび上がります。有隣ユウリン模様が鮮明に見え、峯を見ると爬虫類の体の特徴にも見えてきます。
厄除け守護を祈願し、見えない力を与える精霊のイメージが形象されているのではないかと考えてきました。
Aladdin Gallery _Studio Collection, Sydney 1970
刃型の成形削りは、整ったブレードに仕上げ、彩色も見事で損耗変色がない_握り手部分のみ歳月で古色磨きあがり、制作された時代はかなり古いと見うけます。枝打ち鉈と同じ左片刃ですが、実際に切り鉈に使われたものではなく、無傷で祭事儀礼の特別なものだったと思われます。
「木の鉈・斧」は、枝の打ち払い・切断に使うだけではなく、叩き割り・武具防備具にもなり、実際は打撃死傷させる威力もすごい。
刃物になるほどの硬木ですが、赤鉄刀木樹種や現地の呼称等は、まだわかりません。既にアボリジニの民俗文化に関する研究も進み、民俗学域から収集され、コレクションも多いのです。木の刃物として重要な文化遺産記録になるでしょう。
このアボリジニの彩色木鉈が送られてきたのは、1972年の夏。李朝民芸窯 Korean porcelain manufacturing 現地調査レポを「Aladdin Gallery」へ送り、韓国内窯元事情を紹介しました。その返礼として、SOUL青葉洞の下宿へ送られてきたものなのです。当時、小職は「木の刃物」の知見も少なく、先住民文化の重要な意味は理解出来ませんでした。日本国内やオーストラリアでも「Fork-Arts and Crafts」が上げ潮だったのです。
半世紀前、独自の先住民文化遺産としてハイライトはまだ当たりませんでした。「Arm」は美しく洗練されてくるとコレクターが現れ、やがて「Art」になり、ミュージアムに収蔵展示されます。
ⓒ2021 , Kurayuki Abe
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木の総合学研究 2021 「精霊が宿る木の鉈_アボリジニの彩色装飾デザイン」「木器刃物の刃型」