「好感度自然素材」「木」と芸術「木」のコレクション「木」のミュージアム「木歴・木録」自然の造形

カエデ「縮み杢」の照り輝き_斜面で倒れまいと引張り- 圧縮ストレスで現れる天然木の造形|The shiny and shrunken KAEDE maple,it bends over to keep some balances from falling, and in the behind side, it shrinks. An aesthetic and formative beauty. Curious and romantic, likable and comfortable materials| モミジ鶏冠木の華麗・富貴_ロマンチックな好感度・快適素材_感応する地上の美質/木理考・続 木の内科-86

阿部蔵之|木とジョイントの専門家

香木類カエデには、美麗な揺らぎ木理モクメが現れることが多い。緻密な芯央から白太辺材部分が急に肥大生長し、幹反り「縮み」が深く入り、素性がよい華やかでマッシブなミュージアムクラスです。

 香木類カエデには、美麗な揺らぎ木理モクメが現れることが多い。緻密な芯央から白太辺材部分が急に肥大生長すると、反りかえり内側に「縮み」が深く入ります。この美しい稀少材は、真っ直ぐで素性がよいマッシブな銘木_ミュージアムクラス。

圧縮木理が現れる樹体

圧縮力が断続してかかると、繊維のつぶれ_繊維切れ_曲がり変形・破断_逆目立ちが起きます。「ゆらぎ」は自然界のフラクタル現象として説明できます。

 

 カエデの高樹齢・大木は曲がりくねり、変形で木理が綺麗なものが多いのですが、この木は白太辺材部が肥大し、陽光をしっかり浴びて生長が健やか_幹枝下が通直_引っ張り・反りおこしのストレスで「縮み」が深く芯央へ入り、拡がっています。

樹木は、倒れまいとして様々な樹体内組織を造り出します。木材になり切削すると、美しい模様が現れます。

(針葉樹では、引張り・圧縮力が逆になり、傾斜面谷側に「圧縮アテ」ができますが、例外もあり。)

 ■ピン角 240mmx 140mm x 2.100mm    辺材白太面積比 : 約56%

自然乾燥平衡含水率:15% – 17%    気乾密度比重 : 0.60 – 0.64

黴・虫除け・割れ止め_ナチュラルシーズニング・熟成木守り22年

微生物・虫・黴の侵入やダメージ・捩れもなく、均整がとれた素性がよいもの。

山側に反り、真っ直ぐな幹の順当な生長過程をうかがうことができます。

カエデ 105yrs. トレーサビリティ_マテリアルトリートメント記録

1999年、岐阜県白鳥町以北の東海北陸自動車道路ルート工事による天然林伐採木

年末、白鳥町にて製材_黴止め柿渋塗布・割れ止め処置、自然乾燥熟成22年・長期熟成サンプル材

同期の木の内科研究サンプル材

ダイナミックな抗菌・抗体の動きは、サンプル材を多数カットして明らかになりました。外からは全く見えない樹体内侵入物への抗菌抗体派出_封じ込めバリアが激しく動き、生命維持力はかなり強いものがあります。どこでも根をはる「ヨタ」とされていました。

カエデは、香木類に分類されていますが、黄紅葉は少し芳香があり、木材の微細成分放散は、さほど強いものではありません。

カエデ縮み杢B  1973年 長期ストック材_南会津多雪地域

メープル材は、それぞれ珍しい魅力的な材質が多い。 J. クレノフ (キャビネット制作巨匠)

「Now I see the fascination of each log of mapleーevery one is sort of a curiosity and different from the nextーbut at the same time , in addition to maple, I like knowing that I can get hold of other woodsー not because they are better, but different: another mood,still another way of working .Maybe there is a little romantic story behind it. 」  by James Krenov    p.10 「A cabinet maker’s note book,  1976 」

 

■「カエデ」「モミジ」の来歴・語源

①「鶏冠木 カヘル」「黄変 モミツ 」_紅葉した裂葉は「鶏冠」にや「蛙の手」の形に見立てています。萬葉集 (奈良時代末期)

 

②「雞頭樹 _ 加比留堤乃木 カヒルノキ」和名類従抄 草木部 (931-938年 平安時代中期)

③「カエデ」の古語「雞冠カヘテ」

新撰類聚往来 中巻「具木名」慶安元年 1648  敦賀屋休兵衛板/ 京都 室町時代中期
三次市立図書館蔵・デジタルアーカイブス2020
室町時代1648年版本「新撰類聚往来」には、「具木名 」108樹種が記載されています。

④「雞冠木カヘデ」「加比留堤乃木カヒルデノキ」「蝦蟇手木 カエテノキ」毛美知「もみじ」俗称 黄変 モミツ・モミズ

和漢三才圖繪巻第八十二 香木類(江戸後期正徳二年1712)

「楓」は、別樹種の誤字です。「乎加豆良 コカズラ」「フウ」

「木理モクメ」は、木の倒れまいとする生命維持の形です。

立木は、動けないので風雪の圧縮・捩れに耐えるように自らの組織を造り変えていきます。虫・黴から護り、ダメージを修復するなど、樹体内の動きが鮮明ですが、木材になると、更に複雑な表情を現わします。環境が生長を支配し、時間が仕上げた自然の芸術作品なのです。

色調の変化や抗菌バリア・抗体の分泌派出など、様々な経時変化が起きます。樹木を見るとほっとし安らぐ_「生命の華やぎ」を美しいと感じるのは、人の本性に強く響くものがあるからでしょう。伐られてからも動いているのです。

最も相応しい造り手へ_ベストマテリアルコネクション

研究サンプル材ですが、最良の状態にあり順次譲渡板します。

ⓒ2021 , Kurayuki Abe

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木の総合学研究2021 「天然木理考_カエデ縮み杢の現れかた_養生・熟成・富貴化」「日本代表樹木の好感度・快適素材評価」

 

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