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黒檀の縞目・漆黒材色変化_抗体分泌と張力がかかる屈曲部では、堅く緻密な肥大成長で自然の美しいスジ目が現れる|Antibody-secretory effusion of ebony makes some fine striped grain of the fluctuating pattern,and changed to the aging black|ゆらぎから間道スジミチバーコードを造り出し、樹齢とともに美質を帯びて黒ずむもの_生來真黒・一部分黒柿もあり|木理考-3 木の内科 -87
この縞目は、経年変化で間隔を細め黒色部分が多くなると黒檀と呼ばれ、高樹齢木では色素が拡がり、更に黒ずみます。
■真黒 琉球黒檀 Black Ebony
芯材部_密度比重:約 1.35 g/㎤ / 平衡含水率測定 : 琉球真黒 11.2%
最も重い貴重木の一つです。(カットサンプル材の提供:比嘉幸太郎_宜野湾市)
❷ 黒檀の材色変化_若木の縞目から樹齢を重ね黒濃色・緻密・堅重材質へ
堅い材質は強靱で倒れにくく、タンニン色素抗体を分泌して細菌・微生物・虫類を防御し、損傷ダメージを治癒して肥大成長とともに拡がります。長い時間を経て到達した樹体のリアルな内部組織なのです。
縞目グレインは全体へ拡がり、幹芯央近くでは「中継組織」が増幅していることが判りました。
全身に行き渡るように中間に増強部分を配置する巧妙なジョイント防御システムですが、欅・樅にも分散した抗体分泌組織ができます。年輪とともに樹体内分泌でバーコード状の縞模様「間道ミチスジ」が現れ、柾目割りにすると「縞」柄が現れます。
❸ 樹齢とともに黒変する暗褐色の木理_旺盛な生命力が造り出す縞模様の柾目美質
「縞目」は年輪に沿って現れ、「柾目」平柾・追柾カットでは、ゆらぎ模様となります。貴重材黒檀_好感度木理は自然界の「ゆらぎ」「生命維持抗体の分泌」そのもの。
壮齢木は、抗体色素分泌が旺盛で肥大成長により、バーコード状の「間道シマスジ」を造り出し、大木老齢樹体は黒色色素が蓄積され、凝縮した黒色へ変化していきます。日本の柿は、小柿・渋柿の芯央割れ_傷部分に抗菌・治癒物質のタンニン黒斑が分泌蓄積し、「黒柿」として木理モクメを装飾材に賞用してきました。
❹ 防御・治癒に動く黒色タンニン成分の分泌
黒色は芯央から拡がり、高樹齢木では抗菌バリアとして鬱ぎ、空洞・割れ目からの腐朽菌を防御しています。
同じカキノキ科 日本渋柿の「黒柿」は株基底部芯央や空洞、枝元・入り節・損傷部分のほか
根系に現れます。
❺ 生漆塗り黒色変化 生漆と植物油ブレンド塗装比較
塗布後24時間後
生漆は、即座に木部へ浸透_樹木内部のフラボノイドに漆樹液が強く結合反応し、材部深く滲み込み、空気に触れると直ぐに黒変します。
いわゆる「烏の濡れ羽色」漆黒の色調に近づき、塗り肌が経時変化で縞目が深みを帯び、美麗な好感度仕上げになります。樹体が造り出す生命維持・防御物質の結合「親和性」は、かなり強固なもの。
黒檀や黒柿が造り出すタンニン(フラボノイド物質)は、着色や接合に敏感に影響し、漆と馴染み、強い相性があるのです。
❻ 長期ストック材の平衡含水率の測定_密度比重について
・ 長期自然乾燥材 薄板6mm 7.5% 16mm : 10%
この黒檀カットの気乾密度比重が1.11 ~1.22 あり、測定レンジ「 ⑥ 0.95 g / c㎥ 」を超えていますから、実際の含水率はさらに低い7%~8%程度の数値になります。かなり重い緻密な堅い材質。
■密度比重
・薄板 ⑪-a 厚さ6.2mm x 幅62mm x 長さ 482mm _重さ220g 気乾比重:1.16
⑪-b 厚さ6.5mm x 幅63mm x 長さ 482mm _重さ219g 気乾比重:1.11
・厚板 ⑲-a 厚さ16.3mm x 幅65mm x 長さ363mm _重さ469g 気乾比重:1.22
⑲-b 厚さ15.4mm x 幅63mm x 長さ352mm _重さ393g 気乾比重:1.12
伝聞では、灰褐色が入り黒ずみ、比重が重いのはスリランカ材の特長で、紅褐色がシマスジの入り、比重はやや軽いものはビルマ産出材と言われていました。
❼ 黒檀板材(真黒・縞黒檀)の来歴・トレーサビリティ
2004年春、佛壇制作職廃業により、転売された黒檀木取り加工材_数種全量引き取り購入。
25年以上の長期室内ストック品
・商材の品質 及びサイズ:原産国スリランカ・ビルマ国内でカットサイズ材で輸入(自動鉋盤プレーナー仕上げ刃物痕あり)
・1980年頃、現地調達・輸入し保管_平柾・追柾の良質材_荷姿はロット数量で梱包束ね 30-20 pcs.
・2004年5月に研究サンプル材として購入し、収納庫ストック17年間_途中点検、再梱包
・2021年秋、開梱し、木理・材色変化の記録_比重・含水率計測後、「最も相応しい使い手へベストマテリアルコネクション」として順次リリースする予定です。
❽ 黒檀優良カット材ストック_貴重材質の総見
木取りカット材では、木理・色差・重さのバラツキがあります。黒縞色の入り方は一様ではなく、材色も均質ではありません。
樹木は、紫外線や細菌・微生物・虫から身を護り、損傷を治癒するフラボノイド化合物(ポリフェノールやタンニンも含まれます)を分泌して生命維持をはかります。樹体の防御の仕組みは、伐り削らないと見えて来ません。木の内科的知見を得るには、生育地域が異なり樹齢肥大成長や入節変色など、一木全体でサンプルも数多く必要なのです。
❾ 黒檀縞目の材色木味変化_漆黒色は優美な雰囲気を演出し、装飾性が際立ちます。
把手・ハンドル 使用16年_黒色は滲み拡がり、深みのある質感になります。
❿「黒檀」名称の移り変わり_古代からの銘木は、絶滅保護へ
木取りカット材では、木理・色差・重さのバラツキがあります。黒縞色の入り方やなく、材色は均質ではありません。
樹木は、紫外線や細菌・微生物・虫から身を護り、損傷を治癒するフラボノイド化合物(ポリフェノールやタンニンも含まれます)を分泌して生命維持をはかります。樹体の防御の仕組みは、伐り削らないと見えて来ません。木の内科的知見を得るには、生育地域が異なり樹齢肥大成長や入節変色など、一木全体でサンプルも数多く必要なのです。
❿「黒檀」名称の移り変わり_古代からの銘木は、絶滅保護へ
「其ノ木體重ク 堅カタク緻コマヤカニ色正黒如水牛ノ角ノ如シ」
「間道ミチスジ有ル者嫰ワカ木也」「縞目」は若木で「間道ミチスジ」と表記
「和漢三才図彙 巻第八十三 喬木類(烏木:烏の羽根色)」
古代から貴重な商材として伝来し、黒木、烏木など、時代により呼称も変化してきました。「黒檀」は、樹種名ではなく、赤道近域のアフリカ、インド、スリランカ、東南アジアで生育する樹種の商材ネーミングです。
生命維持の樹体活動メモリーを縞杢・黒色材として美しく感じるのは、人も自然の「ゆらぎ」パターンに感応するので目に快適に感じられ、他の「縞柄」も同じように好まれて来ました。
現在、黒檀はワシントン条約付属書規制品_原産地証明がないものは取引禁止対象品目になっており、絶滅の恐れがある保護樹種です。楽器材や高級装飾用に使われてきましたが、良質の大径木は伐り尽くされ、高樹齢ブラックは見る事もできなくなりました。
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木の総合学研究2021 「天然木理考_黒檀の縞目・真黒の現れかた」「ブラック貴重材の好感度美質_自然のゆらぎで生まれる木理・年輪バーコード縞」