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越彦・名工二代の鑿 ベストハンドツールコネクション-2.
使うほどに刃物は、本性を現します。実用鑿の最高峰、名工「越彦」二代の鑿、構えと攻めの表情あり。秀作クラシックを越え、世界品質を伝える次世代ニューモデル開発で産業再興ソリューションに。
刃物工具は良いモノほど使われて減り、消えてなくなります。有名な鍛冶職の別注作品は、新品のまま保存してコレクションされますが、量産品は、商品として鍛冶屋から問屋へ納品され、各地の小売店で販売され職人の手にわたり使用されて消耗しなくなります。越彦ブランドは、注文がさばき切れない時期もあったようですのでかなりの製造数です。
木を削る道具として、鑿は昭和期に金属材料学の進歩を取りいれ、大きな飛躍期を迎え、数々の優れた製品が実現しました。名工の作品でも、実物を実際に使わないと本当のことはわかりません。使う人の癖や好み、材料・加工方法により刃物の性能評価は変わってきます。
刀剣鑑定と同様、極上本物を手にすることが道具を知り、目利きになる道。クラフトハウス・ミュージアムに収蔵するか、道具博物館に収まるか、錆果てる前に使ってしまうには、まだ迷い未練あり。使える次世代の手に渡したい「ツールジャパン」最高作品のひとつなのです。
・二代「越彦」作 追入鑿
名工の鑿は、伝統産業のある町に残る
2000 年、二代目越彦作鎬鑿と角鑿を飛騨高山本町の刃物店「川久」にて購入。翌年、盛岡のアーケード老舗金物店にて初代越彦作、角鑿2本、追入鑿2本、昭和10年頃の製品)を見つけてストック。本数と全サイズが揃って、親子二代の仕事を比較出来るようになりました。切れ味がよく、三条で一番有名な鑿鍛冶、価格がとびきり高価(並品の倍)、高くても問屋注文が絶えないといわれた優秀な品質。造りは、精度が高く非常に丁寧な仕事ぶり。高山では、彫刻工芸職に好評な最高級品でした。「越彦」三条ブランドは、初代越彦・高木彦治、二代目は高木會八郎、三条刃物の歴史に残る作品です。ほとんど同じ仕様にみえますが、細部に「こさえ」「刻印」の経時変化が認められます。
評判の高い逸品は、オリジナル本物、下請け代打ち、OEM、影打ち別品、ニセ・まがい物まで総揃い
注文が間に合わない時の代打ちや外註ものには刻印が判るように打ち、鋼の巻き、裏すき、柄首、冠の納まり、鑢のタッチ、ラベルの乱れは違和感を感じさせる身内しか判らないような仕上げがあります。当時の産地、販売事情が明らかになれば本人作の仕事を識別できる。インターネット上に現れる品物には、正調と細部の微妙な違いがあります。
本物は在庫が複数あり、卸・小売りの確かな仕入れ販売記録があれば間違いはなく、しかも値段は高い。ラベルは当てになりません。
新しいプロダクトデザイン、時代の要請
一時代を凌駕したトップクオリティ、綺麗なままで四半世紀の仮眠から醒めた姿ですが、包丁やナイフのように次世代プロダクトデザインの進化がこれから起きるでしょう。
完成された形は、時間とともに古びて退屈になり、新鮮な感動や使う楽しさが求めらモデルが入れ替わってきました。この二代目のイメージチェンジは、一世代約30年の更新インターバル。鑿の考古復元でモデルを残された吉川金次、白鷹幸泊の資料をもとに、鑿のデザイン発展プロセスを辿ると次の時代の技術やモデルが見えてきます。
クラシック・モダーンそれぞれ、その時代ごとのデザインセンスや最上の技術が投入されているので物づくりの発展プロセス・変貌を知ることができ面白い。木工刃物技術史の一ページです。
・初代「越彦」作 角鑿(刻印「カネ栄):3分 9mm(冠/丸型)・5分 15mm( 冠/面取型) 追入れ鑿(刻印「ヒトヤネ雄)、一寸二分 36mm(冠/丸型)」「栄」は、師匠の山田栄治の流れをくむとみられ初期の作品、「雄」は、不詳。冠(かつら)は柄に未付、 4本 赤樫柄
初代・二代目作風比較 角鑿 五分
仕 様 (安来鋼白紙)1995 – 2000年
③ 5分 15mm 59 x 218 100g
④ 6分 18mm 60 x 217 120g
⑤ 7分 21mm 60 x 218 125g
⑥ 8分 24mm 60 x 218 195g
⑦ 1寸 30mm 60 x 220 180g
⑧ 1寸2分 36mm 60 x 220 195g
⑨ 1寸4分 42mm 60 x 218 205g
鑿の地金 参考比較 初代 左 市弘+左 久作
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