「木」の道具・工具伝統文化木工

西都の大工道具工房 1984

阿部蔵之|木とジョイントの専門家

中国西都の大工道具工房は出来たて壁展示販売、まさしく「China at Work」の世界

Chinese Wooden Carpenter Hand Tools and Workshop in Chang’an西都の大工道具工房1984-1

枠付き鋸・大中小、握付き押し鉋3種、長台2種、推鉋?、墨壺、矩定規、棒鉋?

 工房の入り口外壁に掛けて展示販売。地元で使う職人と直接やりとりが出来るハンドメイドの素朴な健全さがあり、まだ量産工業商品になっていない時代の手工具です。壁に掛けると稼いでくれるスタッフが勢揃いしているような雰囲気が漂う仕事場、Work shop風景。夕方のダウンタウン。組んだ手は大きくガッチリ、逞しい。佇む客待ちの工人の姿が印象的です。一人で造りつつ販売しているとみますが、生業商いの数量は、このくらいが1ヶ月分。
よく見ると刃がついていないので台を選んだ後に買うのか、使い手が入れるのか鍛冶屋で誂える。刃物が道具の主役ではなく台造りが主体、シンプルで良い形です(名称・値段、刃形、材質は不明。)。本来鉋類は、刃物別。重ねて壁に掛けるには、刃物は邪魔。まだ加飾がなく直裁。原型に近い、古い都のハンドメイドツールディスプレイです。
 ガイド横棹付き溝鉋は、建具周り用。右中段4本は、握り片方端部に小さな刃が付いているのでしゃくり削り付き鉋でしょうか。真ん中に刃口が見えるので「棒鉋」とすると特殊な使い方がある形状です。4本あり、造りが単純で数がでるのか、消耗がはやい?
 握りハンドル付きで押し削りの中国式。鋸・鉋の使い方が逆で道具文化の大きな違いを感じます。中国では椅子・寝台生活で立位。日本式は、土間・畳床座位作業。姿勢の違いが木材加工で押す・引くの基本動作に決定的な影響を与えたようです。一枚の写真が語る様々な意味が読み取れ、手仕事のゆったりした時間が流れています。建物番号プレートの街区名は読み取れませんが、家屋番号は103。急速な近代化が起こる前の貴重な記録です。
(この写真は、高校時代の恩師(世界史)南本 宏先生が1984年、西都取材旅行中に撮影したもの。卒業してからも旅先から教示・アドバイスをいただきました。取材に行けと。)

参考比較 フィンランドの押し鉋 2種

P1120414-1

握りハンドルを前後につけた押し引きダブル型

「木と暮らす 日本の作法・フィンランドの知恵」展 1997 年7月 日本フィンランド都市セミナー
長岡大会展覧会 AQ 970725
ⓒ 2014 Kurayuki, ABE

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木の総合学研究 2014 – 2019 「木の大工道具」「ハンドツールディスプレイ」「中国の大工道具職人」

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