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門外不出の「角面取り鉋」原型_模造された市販既製品の紛いもの100年|分離・自由使い_非対称形の小鉋ボディは、真似したり常識では造れない。 |An asymmettric body of the genius chamfer plane KAKUMEN TORI is beyond common sense. Being unavailable outside,poor commercialized products are sold in a century.  見たことの無い、知りえない技能を_ ハンドツールジャパン – 42

阿部蔵之|木とジョイントの専門家

祖父吉之助が独自に造りあげた「角面取り鉋」「溝突き・作里シャクリ」等の原型は、門外不出にされ、人目に触れる機会はなく、100年眠りました。

仕事場に出入りの者に模造され、大工道具店で出回ってきた市販既製品の造りには、目をひんむく根本的な構造の違いがあります。似て非なる別物_逆の性能だったのです。

■吉之助自作「平台小鉋_角面取り嵌め枠付き」

付枠からの着脱は素速く、分離して単独で自由に使え、普段の面取り仕上げにも出番があります。使いこまれた形や細分に削り方の本質を見る事ができます。分離して単独で日常的に使いこまれて、白樫材も威厳を感じさせる古趣艶美 (Patina) になりました。

面取りは、平台小鉋ですが精密に実測すると対称ではなく、枠への嵌合着達し易くテーパーをつけ、非対称で台寸法・芯位置は微妙にズレがあります。(少しづつ削り具合を調整した様子が残る。) 頭部と台尻の V溝切り込み_刃口埋め真鍮板の減り方にも注目しています。

■ 非対称の細部寸法・台下端頭部と尻にV溝カット

 この長く使い続けられた台の形状や刃口埋め心中板のすり減りを見ると、使いながら手直しを続けて現存の形になったもの_削り方のメカニズムは複雑で、拘束工具だけでは仕上がりません。細部を計測すると、シンメトリーではない、非対称で微妙に芯ズレ_刃当たりを調節しながら、刃口を整えています。裏金は薄く、バネ鋼を成形。刃口・木っ葉返しも微妙なクリアランスです。

面取りは、いきなり仕上げ削りには入れず、粗取りしてから_鉋刃先の微妙なアタリを感じ取り、削り進みます。

 

台下の刃口周辺部や頭・台尻のV溝が刃の喰いつきをよくするとともに、削り始めから、削り止めで台尻を上げる仕上がりも綺麗になる独自の工夫でした。中抜きも加減できます。

平台鉋に定木ガイドをつけ刃物を様々な形に整えるには、明治後期に広まった木ネジやボルト・ナットでアタッチメントを装着する構造的な進化の始まりです。

 祖父吉之助は、東京市麻布で開業した發明的家な指物師でした。明治末期から、定規・製図道具・測量器具の製作を手がけ、精密木工職へ分野で活躍_ノウハウが集積した専用の刃物・道具は、門外不出にしてきたものが数多くあります。

■ 市販既製品 「角面取り鉋 赤樫台定木付き」

新品の刃口上スキ_刃先の喰いつきを改善しょうとする台直し荒スキは、今まで見たことがありません。

模造品は、強く締め付けて嵌合することで削れると考えたようです。鉋の台下刃口・頭尻までは見ることが出来ず、小鉋を付け枠に嵌めて使うと早とちり_台下にツバをつけたのでしょう。

■ 市販既製品 「角面取り鉋 赤樫台定木付き」

 独自に開発した専用道具を仕事場に出入りする者がコッソリ外部に教唆キョウサして、道具商が売り出すということが度重なり、門外不出にしたという話しを母から度々聞いていました。

専門道具の販売は、明治30年頃から始まった鉋刃台入れ専門職につづき、大工道具店の商売に繋がりました。職人が仕事にあわせて道具を自作するのではなく、出来合いを買い揃える時代へと移ります。 職人の工夫や改造が商品化されて広まりました。

模造品は同じ顔ツキをしている

市販品は、どれも同じ嵌め構造です。大工職用では、45度以外ものを「猿面」と呼んでいました。

■ 市販既製品の改造例

テーブル脚角面の削り仕上げにV溝カット_刃口真鍮板斜め入れの工夫

改造:工房ブレス 須藤崇文 (木工制作家)

■ 日本台鉋の系統図

 ※右下「紛い物_既製品モデル」イラストを入れ替えます。

際底取り、溝突き・機械作里鉋の原型は、次回に続きます。

 

ⓒ2022 , Kurayuki Abe

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木の総合学研究 2022 「角面取り鉋の考案と基本構造」「枠付き削りと木ネジ・ボルト・ナットのジョイント部品併用と合せ鉋台の開発」「日本台鉋の革新_コンビネーション刃・分結合わせ台・付け枠・アタッチメントの装置のはじまり」「大工道具の直ぐ使い出来合い品リリース_市販商品化の端緒」

 

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