溝・底ジャクリ鉋の吉之助自作原型と模造・市販既製品の紛い物100年 |The KICHINOSUKE Fillister Plane with screwed fence. Being unavailable outside,poor commercialized products are sold in a century. |細部の造りと技能完成度の違いを明らかに_ ハンドツールジャパン – 43
門外不出の専用工具には、微妙な細部の工夫がされています。溝抉りに刃幅ケガキ刃を組み合わせる「分割合わせ鉋台」を考案_重要な刃口の彫り込みは、綺麗に削り上げ、精度の高い加工を実現_生涯活躍して使い込まれた姿には、風格が備わります。
重要な技術が外部に漏れることなく、長年品質を維持することができ、受注制作が絶えず、後発類似品の出回りを防ぎました。前稿に続き、オリジナルと模造・既製品の紛い物の違いがハッキリします。
■吉之助自作 溝作里(溝抉り Sakuri kana)定規幅ネジ調節
花びら座金に蝶ナットがとまる
前稿の角面取りでは、花びら形止めネジは8山に整形_この溝作里鉋では、大きく九山になりました。
切り刃は、鍛冶職に特注し、蝶ナット・ボルトM5は市販。花びら形留めナットに蝶ナット組み合わせも洒落ています。ネジM5 蝶ナット・ボルト締め_頭・尻 2ヶ所
溝エグリ刃角: 47°(8.5分勾配) ケガキ刃刃角度65° かなり寝て材面に深く入る (刻目付け Nicker )
被削材:さくら・桂・ツゲ材等の広葉樹_主に堅木用 指物_精密木工具
■市販既製品の機械作里(歯車式)
溝エグリ刃角: 43° (8分勾配) 釘打ち止め 2ヶ所 ケガキ刃 (刻目付け Nicker )鉄板嵌め固定
特異な立刃 88°ケガキ立刃が起きあがり_刃幅左右筋ケヒキ_木片はさみ
ネジM6 蝶ナット・ボルト締め_止めネジ:歯車型 ポッカリ刃口_粗雑な造り
細部は機械加工で粗雑です。
被削材:針葉樹・軟質材向き 大工道具
定規幅調節の中間止めネジが歯車形になって、機械イメージから商品名が変わり、「機械作里」は、昭和29年の三木問屋型録に掲載されています。その後の東京大工道具店型録では、「歯車入り自動式」面取り鉋・作里鉋になりました。エグリ、シャクリ、ジャクリ、Sakuri と名称はマチマチ。
■クデ作里 溝抉り鉋の類型_市販既製品
建具組子専用作里_針葉樹用 刃先が斜め研ぎで際底まで鋭利に切削します。組手(くみて・くで)や「工手」と混同するのでカタカナで記載。
■ 日本台鉋の系統図
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木の総合学研究 2022 「溝エグリ 作里(抉り)鉋の自作原型と模造・既製品の違い」
「複合刃鉋_定規付き_木ネジ・ボルト・ナットのジョイント併用と割り合せ台の開発」「日本台鉋の革新_コンビネーション刃・分結合わせ台・定規付き・アタッチメント装置化のはじまり」「大工道具の直ぐ使い出来合い品のリリース_市販商品化の端緒」