「木」の道具・工具ハンドツールコネクション工具・刃物木工

300年余り活躍してきた「溝鉋・底鉋」の原形を引く吉之助の自作|The Sakuri Kana were rabbetting with bedded chisel blade and handed down last 300 years. Joiner KICHINOSUKE completed some fine built-in details.|鑿刃逆差し台入れ_細部の造り込みを明らかに ハンドツールジャパン – 44

阿部蔵之|木とジョイントの専門家

普通の平台鉋刃とは違い、刃口から逆差しする台入れ_刃表楔締め。細身の台に角鑿刃を貫通彫りし、鑿刃による溝ツキ_溝抉り(作里 Sakuri) が相伝されてきました。内側の掘り込みが特に難しく、細部には微妙な造り込みがあります。

刃型の包み彫り、刃表側の楔締め_刃口を狭める木っ葉返しにも性能を高める工夫が凝らされ、指あてで自然に刃先に力がかかり、実際の切削力を実感することができます。

 現在でも、この切削用手工具は、文化財の修復作業やノイズ・削り屑の飛散が許されない環境_火花が出たりせず、電動工具が使えない塲所で活躍しています。

 ■ 刃幅10mmの溝鉋・底際とり

刃物は鍛冶職に注文し、自作の台入れ刃角は、被削材(広葉樹硬木)に合わせて矩勾配 45°に起こしています。工匠(大工職)針葉樹材用では、八分勾配(約42°に寝かせます。基本の重要な切削道具でした。

■祖父 吉之助 自作の造り込み・パーソナルタッチ

 刃表に締め楔を入れると、刃頭を起こし、台に押し付けて下端を固定。楔は短く、浅い彫り込みで着脱が素速く、同時に、刃の頭部を起こし、刃表を台に密着させ、包み彫りで刃のブレを無くします。

窓空きは、指かかり・指あてが自然に刃先へ力がかかる構造になります。

❶ 刃幅 8mm (2分5厘)

 

❷ 刃幅 11mm (四分)

❸ 刃幅 14mm(五分)

❹ 刃幅 18mm(六分)

窓空きは、指先で掴みやすく、疲れず、作業性を高めます。

 指先の押さえ握りは、ちょうど刃先へ力がかかる位置にあります。刃入れ勾配は、45° 矩勾配_18mm 六分のみ 50°九分勾配です。刃を起こすと逆目をおさえますが、削り肌は艶ありではありません。鑿幅が広いと切削抵抗が大きくなるため、作里鉋の刃幅には限界があります。

 

■ 刃幅 : 3分 9mm

平刃  八分勾配  刃先角27°

■ 櫛形作里  市販品 (刃角八分勾配) 竹楔締め)

・21mm 助宗 24mm ケガキ張り付き 悦英(竹楔は仮締め)

 底際取り用の斜め拈り刃は、台に直接墨付けが出来ず、貫通する穴位置を見当で掘り進む、熟練した内彫りです。長い期間を経て到達したものを尊重し、リアルな細部の造りを明らかしました。

■文献・絵図・実物保存資料

「和漢舩用集 巻第十二 工匠之具」  宝暦11年 1761

 溝鉋_掘り削る溝鉋・底鉋、側面を削る脇鉋の違い、鉋幅四分 五分 六分の者常用、木工用二分 三分は「 起線鉋」という説明文があります。(線の様に細い溝ツキの鉋の意味でしょう)

当時、工匠(大工用)と戸工や指物師(小工)用では寸法が違うものがあったことが判ります。 挿絵やイラストでは、細部の造りが殺ぎ落とされて精確な造りが判りにくいので、実測記録と画像を残し、使い易い微妙な寸法感覚や刃研ぎのコツを把握しました。

 1820年代、シーボルト来日時では、絵師に図版を描かせ、道具類を収集して持ち帰りました。日本では、独自の木工技術が発展しており、西洋のものに比べてシンプルで洗練されたものでした。1820年頃の目を見張る道具一式がオランダのライデン博物館に所蔵されています。

 ■ 日本台鉋の系統図

ⓒ2022 , Kurayuki Abe

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木の総合学研究2022 「溝鉋_底鉋_起線鉋_脇鉋の歴史記録」「溝鉋・底鉋の構造_細部の造り込み」「工匠・大工用と指物師_戸工(小工用の違い」「締め楔の素速い圧着_刃の調節、研ぎ直し着脱が簡便にできるジョイント機構」

 

 

 

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