「木」の道具・工具工具・刃物木工

バイエルンシュヴァーベン地方の「溝作里・底とり鉋」|Long seller Plow and Router Plane are reproduced in the region of Bavarian Swabia.|基本構造は同じままロングセラー_ 改良型の製造販売が続き、培われた伝統技術が継承されていきます。「溝鉋・底鉋」ハンドツールジャパン – 44 続

阿部蔵之|木とジョイントの専門家

1985年4月吉日_友人のErich Mutschler の親父さん(Konrad Mutschler 氏)がリタイヤするので、選りすぐりの本職大工道具を息子に手渡しました。

長い間働き続け、愛着のある手練れの手工具は残したいもの_道具刃物は年季や使用頻度を語り、指係りや摩耗したところから使い方のコツを読み取ることができます。

 

文献や資料ではイラストが主体ですが、使い手や全体と細部がわかる実物の記録が再現復活を可能にします。

文献・図書・関連資料

① Plough Plane

S;LE LIVRE  DE L’OUTII  Messidor/Temps Actuels  1983  CHARRON

André Velter / Marie-josé Lamothe  ISBN 2-209-05543-1

② Plow / D-Router Germany ‘s Tooth Depthing

S;DICTIONARY OF WOODWORKING TOOLS c. 1700 – 1970 and tools of allied trades

 by R.A.SALMAN

UNWIN HYMAN Limited,London  1975  ISBN: 0 – 04 440256 2

③ French screw-arm plow / D-Router

S;The  Wooden Plane   ITS HISTORY,FORM, AND FUNCTION

by John M. Whelan  ASTRAGAL PRESS , New Jersey 1993   ISBN: 1 – 879335 – 32 – 8

西洋の溝作里ミゾジャクリ鉋_面取り鉋類には、Continental、German Plow、イギリス・フランス型、ベルギー・オランダ・スカンジナビア及び中国、日本のモデルが記載されています。 KIKAI-SHAKURI KANNAのイラストは、ケガキツメ(Chipbreaker)が垂直立刃の紛い物でした。

④ E・C・E  Web カタログ 2022と実物実測モデル

Grundhobel und Nuthobel       PRIMUS Putzhobel  ECE  Nr.711  Ulmia  W.Germany  1983

19世紀に広まったモデルとほぼ同じ仕様の製品がインターネット上で掲載されていますので Nuthobel 及びGrundhobelの製品画像を引用_右の実物は、1983年にUlmで購入したPRIMUS -REFORM-Putzhobel です。現在製造のMuthobelは、フランス型で替刃式の刃幅調節型になりました。

⑤BINDER 専門ツールカタログ Stuttgart 1858ー1990

 

 ドイツの大工職や木工界諸職の道具の詳しい記録は少なく、頑強なマイスター制度で弟子の指導・教育内容は外部の者が専門技能に関する記事を書いたり、詳細内容をつまびらかにすることができないギルド社会です。

図書・ハンドツールコレクションは、フランス・イギリスが圧倒的に多く、ドイツ勢のオリジナルツールがあまり見当たりません。形もぱっとしないのですが、職人が道具を自慢したり、見せないからかもしれません。

 日本では、明治中期以来、産地問屋支配が続き、関西と関東型の他、各地域独自の刃物がありました。昭和時代には大工道具小売店が鍛冶屋・道具製作所へ発注したり、藤四郎(素人)に解説・教唆するので道具談義から知識が広まりました。

公務員が教師となり、指導的立場に定年までいる職業技能訓練校は、本来は徒弟・工員養成目的でしたが、就職出来ない産業変動が起きて癈止科が続いています。親方筋が立ち行かない上に、若い人は修得する塲がなくなり、基本と重要な身体記憶を受け継ぐことが極めて難しい時代になりました。鍛冶屋は、火を落とし衰滅_手仕事のベテラン職人は後継ぎが出来ず、廃業してしまう御時世です。

 世界で森林樹木がドンドン無くなり、戦争がはじまり大変ですが、ポストオイル時代へと突き進む近い将来、木の仕事は再び出番を迎え、活躍する場を見出せるでしょう。長い時間を経て到達したものを尊重しつつ、時代を見据えて感受性を研ぎ澄まし、極めつきの実学を研鑽して参ります。

関連コンテンツ:

 http://kurayuki.abeshoten.jp/blog/34276

 300年余り活躍してきた「溝鉋・底鉋」の原形を引く吉之助の自作|The Sakuri Kana were rabbetting  with bedded chisel blade and handed down last 300 years. Joiner KICHINOSUKE completed some fine built-in details.|鑿刃逆差し台入れ_細部の造り込みを明らかに ハンドツールジャパン – 44

ⓒ2022 , Kurayuki Abe

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木の総合学研究2022 「バイエルンシュヴァーベン地方のロングセラー溝作里・底取り鉋の技術伝承」「Zimmermannswerkzeuge in Bayerisch Schwaben」

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