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古代から使われてきた天然の研磨材_木賊トクサ(砥草)は、自然乾燥すると茎の絞目繊維が硬くなり、擦り汚れ落とし油滲みとり|素地を傷めず植物同士の相性がよく、修復研磨材に最適な資源植物|The natural rubbing_abrasive material of TOKUSA for best conservation works|長い時間をかけて到達した生命の絶妙を伝えます。ハンドツールジャパン -53
木賊トクサは「砥ぐ草」_工業製品の研磨布・ペーパーヤスリが出回る以前は、木工芸・装身具細工物の仕上げ研磨材としてずっと使われてきました。
平擦り、縦擦り_いずれも適度に茎の繊維が起きて界面を整え、傷がついたりしない。環境を損なわず、自然に分解されます。
工業製品のサンディング研磨布(ペーパー)は、粒度が段階的に選べるので便利ですが、表面に鉱物微粒子が残り、後から鉋かけをすると刃先がこぼれてしまう_厄介ナノです。
椿油を錆出しに使いますが、大八車軸の潤滑油に粘性を高く調合した植物油を注油していましたので次第に付着し固まり、軸部周縁を保護する効果もありました。修復作業は錆出しから汚れ擦り落とし、現役時代に戻します。白樫車体とベンガラ胡粉の塗装面は、植物同士の馴染み、適度の油吸い込み汚れとりが進みます。
修復作業は錆出しから、汚れ擦り落とし_ゆっくり現役時代に戻します。
木賊_砥草自然乾燥
表面の白い斑点は、地中のケイ酸を吸収して付着したもの_土中のミネラルケイ酸を吸収して微細なザラメとなり、影干しして茎を開き、この表皮を研磨材として使います。古代から使われている有用な資源植物です。
北米カリフォルニア州の Redwood Forest 林床の二倍・三倍体
北米のScouring rusheは、長期影干しで油気が出てきました。
Redwood の森林地帯に「トクサ」の倍体が残るカリフォルニア州フンボルト海流沿いの等温線_植性図版を引きます。
約250 ~100万年間の鮮新世、洪積世、現世にいたる地層に埋もれた古代遺体生物から、各樹種の出現期を精査した唯一の研究資料があります。
S;「メタセコイヤ - 生ける化石植物 -」邦産遺體植物目録
三木 茂 著 1955 昭和30年6月 日本鑛物趣味の会発行 / 京都市
更に、過日、小山鐡夫教授(元ニューヨーク植物園長) の資源植物學講義で三倍・五倍体の植物利用の可能性について教示を受けました。
北極圏から南下して巨木の森林となった北米北部フンボルト海流沿いRedwoods生育地帶の鬱蒼とした林床には、灌木類・低層植物にも倍体が多く見うけられます。
■「木賊トクサ 砥草」 歴史資料
和漢三才圖會 巻九十四之本 江戸後期 正徳二年1712)
和漢三才圖會 巻九十四之本 濕草類「木賊」 江戸後期 正徳二年1712
目薬、止血の漢方医薬としても使う説文があります。
砥草は丹波地方に多くあり、地下の砥石層も青砥・合砥が産出しました。
地下は鉱物資源が蓄積し、地表には砥草が繁茂した丹波帶の地勢に気がつきませんでした。
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木の総合学研究 2023 「古代から使われている資源植物 木賊砥草」「汚れ・油滲み吸収擦り研磨材_修復保存技術」