「木」の道具・工具林業・森林の仕事環境

きこりが語りだす山学校2014  卓越木樵 五十嵐 馨

阿部蔵之|木とジョイントの専門家

自然と向き合う仕事、地域・森林の現場からのメッセージ 福島オペレーションー3.

木を伐り、樹を植え、見守る男のストーリーが始まる。飛来渡り旅職ではなく、ドイツの森番・森林官のように地域に住み、森林にかかわることが最も確実で基本的なオペレーションにつながります。

親しい友人の木樵が仕事と森林・山仕事について語るイベント「きこりと語る」会に参加。環境・資源・生存基盤重視、「木の時代」再来に呼応するための方策について栃の王国メンバーとも会合。その概要をレポートします。五十嵐 馨は、実際の仕事、現場からの森林・林業事業に対する意見、持論を展開。実務をマスターしたプロが木とかかわり語る、新たな一ページを開きます。エネルギー分野から総合的な視点をもつ仕事を修得希望する若手数人に出会い、久しぶりに熱気を感じた一時です。これからは、健康・快適・感動・稼げる・貢献・環境維持・格好いい・健全8K 仕事ですね。

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プレ山学校 第一回 「きこりと語る」

きこり・五十嵐 馨  x 岩淵良太・弟子
奥会津の山で、杉・広葉樹の伐採や大径木の切り出しに携わって30余年
特殊伐採を中心に山仕事にかかわってきた五十嵐 馨 氏。
埼玉から三島町に移り住み、NPO法人会津みしま自然エネルギー研究会の代表をつとめる
岩淵良太が、きこりマスターの技にせまる・
日時:平成26年2月23日(日)午後1:30 ~ 3:30
場所:三島交流センターやまびこ
主催:会津自然エネルギー機構
当日参加30名
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概 要

親方に弟子が聞く進行で自己紹介と伐採現場作業や道具について説明
五十嵐 馨 ( 1954年 福島県大沼郡宮下村生まれ、現在、三島町) 弟子:岩淵良太(1985年  埼玉県富士見市生まれ)三島町在住
主な仕事:建設工事支障木や民家大木伐採、杉・広葉樹・巨木等特殊伐採が専門。仕事のやりがい、面白さは、安全に速く安くかたずけ、施主に喜ばれることで達成感が大きい。 木を切る始まりは、椎茸栽培でほだ木を山から切り出すことだったが、当時、中国モノと競合し、採算がとれず転業。親戚の伐採手伝いから自分で技術経験を積み専門職となる。失敗・危ないと思う事は、あまりない。実際の経験、現場の対処で裏付けられた自信があり、あくまで安全・確実な仕事をベースにしている。
実務紹介映像 栃の王国の見学会、伐採・製材見学会の説明、林業現場作業について解説、桐の育成林地 等を画像紹介VTRほか
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*会津インターネットTV局の取材録画あり、9ヶ国語で放映される。 YouTube:www.youtube.com/watch?v=ceQGm2fcqY0
現在の林業技術についての所感
伐採作業マニアルに記載されているチェーンソーカット方法指導内容はあまり当てにならない。
・切り倒す側切り込み「受け口」:「30度 – 40度 小径木は1/3,大径木は1/4 ・芯を突っ込み切り」としているが、実際の木は千差万別、ケースバイケース。地形・樹形が異なるので、現場の状況を判断して作業するのがベスト。現業の立場からは、指導基準の根拠やなぜ必要かなどが解説がないので文字に頼らず自分の感覚を身につけることが大事。
・安全ロープ命綱(林業用はワイヤー入り):労働安全基準では、直径1mがMax.  実際には1m以上の木があるが、規約では「登らないで伐れ」となる。自分で工夫しているが、実技が出来る指導研究者がいないので本の知識を鵜呑みにしてはいけない。海外では、1m以上の木登りロープがあり、技術の進歩もある。国内は建築工事・電気工事分野の安全基準を寄せ集めてしまった結果、日本では不備が否めない。これからどんな木でもを伐れるプロが各地域で必要、仕事は山に沢山あるが後継者育成を急ぎたい。近隣町村では、クレーン作業が出来る所の伐採仕事をする人はいますが、樹に上がる「空師」の仕事が出来る職人がいなくなりました。他地域への出張仕事も請負います。日常使う道具類の一部を展示
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ブロック:ワイヤーを引張る方向変換用
チルホール: (万能携帯手動ウインチ) ワイヤーロープの牽引
虎ロープ:引っ張りには突然切断するので絶対不可 (結び目サンプル)
スチールワイヤー:立木を引っ張る、集材用

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安全ベルト:命綱装着・手鋸(チェーンソーが噛まれた時や小枝払い)
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チェーンソー 大型・中型・小型 ガイドバー長さ2 – 3 種類
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スパイク爪:木登り用(電工用3本・4本爪などがある)現在は、電柱がコンクリート化したので使う人が少ない。

会場質問・応答 略

YouTube に文字おこし掲載があります。

(以下は補足です)
奥会津三島町と周辺地域は会津桐の名産地。
音響特性・収納保存、人体に優しい素材が再評価される
桐箪笥や桐下駄、琴の素材生産・製品加工で繁栄、現在も良質桐材産出。杢目の上等材が出るとその日のうちに全国の専門業者に知れ渡る狭い業界です。桐の内装材、特に床貼りが人体に優しく転んでも怪我がなく、寒い部屋で断熱・保温効果が高いので養護施設に導入されています。
赤桐・縮緬・ラクダ、材質について 桐には、自然山桐、畑桐(畑や民家周辺部植林、肥沃地)太い、杉植林内は細い、広葉樹混交林は中間の太さ、桐の育ちに違いがでます。材質含有成分を分析すると畑桐には、リン・カリウムが多く含まれ肥料の吸収が認められました。タンニン含有は、畑桐との比較では山桐が特に多く、自然林の地質・気象条件などで山桐は年輪が緻密で杢目の幾何模様がダイナミックです。杢目の優れた大径木は稀少、貴重な琴工芸材として高値で取引されます。桐の未知未開部分があり、バイオ分野では新しい用途の可能性も見えています。
会津桐 縮緬20080423-1
桐樹皮「縮緬」20080423AQ
会津桐 ラクダ20080423-1
「ラクダ」20080423AQ
畑桐山桐比較20080506-1
桐樹皮比較「畑桐と山自然桐」 20080506AQ
会津桐は、「会津の赤桐」と言われ赤みのある茶褐色が特長。材料として優れていますが、最近の桐は白いものが多くなっているのです。「縮緬」:杉林などの中に育つ桐は樹肌が縮緬のような緻密肌で綺麗。風雨にさらされている場所に育つ「ラクダと呼ばれる個体がある。ラクダの言われは、樹肌が荒れてガサガサしている(バラ粉になり剥がれやすい)からでしょう。日光に良く当たり風の強い場所の木は太く樹皮は厚く年輪がしっかりしている。杉林の中の桐は、周囲の木立で強風に当たらず、ペェロ虫(かみ切り)などの昆虫から守られてている。生育場所により材質が変わります。杉林と桐の相性が良いのかも。

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「モモンガおばさんのきこり見学 」20080312
アイキャッチ画像・桐伐採写真:五十嵐善徳 Photo.by Yoshinori Igarashi   *現場写真追補20140306AQ

 会津の赤桐・赤ブナ・紫朴 材色変化

ブナの木にも赤と白が有ります。(同じようにドイツのヨーロッパブナには赤・白が有ります。)会津地方のブナ材は、赤みがあり材質が良く、加工性が優れている。岩手・秋田地方の白ブナは、柔らかく変色が入りやすい。「会津の赤ブナ」と言って分別し木材業者間で取引されてきました。現在、福島県内国有林のブナは、禁伐。木材市場に出回りません。また、ホオノキは、40年ほど前には芯材部が紫色でしたが、現在産出する丸太は、濃緑色です。希に紫色も濃いバイオレットもあり、DNAの違いか土壌・環境変化によるものと考えます。研究サンプル材は収集ストック。雌雄の違いも考えられますが、今後の研究課題です。日本刀の白鞘に使う朴の木は、芯材部の色素移動がはっきり出るので鞘師の材料管理に独自の工夫をしています。木の材色も時代の変化があるのです。豚同様、ブナも昔の「ぶな」ならず。

The KIKORI  五十嵐  馨の知見 20140224

①  キコリ・林業の仕事には、鉄の知識・加工技術が有ると「楽」。ワイヤー操作・道具刃物メンテ、機械操作や修理に何かと便利で安全作業につながり、臨機応変に対処できる。木の仕事は、鉄を知ることが大事。

② 林務作業道の計画・森林管理はデスク上ではなく、現地地形・地質、環境を熟知している地元のベテランの知見を反映していけば更に的確な業務になり将来のためにも連携が必要。

③ 後継・若手が生活していける技能を修得するには、付随する仕事を先達から相対でマスターするのが早道。技術・技能を学ぶ教室は現場実務にある。一緒に行動することが感じる・見抜き・嗅ぎ分ける力をつける。

きこりの親方はマルチワークマン

五十嵐林業は、木材伐採・搬出、製材、重機運転、高所作業、夜回り、消防団、スキー場管理・森林ガイドなど地域の安全を多々サポートしています。嘗ての鳶職の頭ように。子供が減り年寄りが増えるこれから先、地域社会にはコアとなる複合技術をマスターした彼のようなパワー職人の存在が有用。伐倒技能士のカテゴリーを超える山里の卓越職人が活躍しています。
第二回 プレ山の学校 案内
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五十嵐林業   TEL. 0241-52-2799  福島県三島町大字大谷地区
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木の総合学2014 – 2019  「きこり・林業の仕事」「木と環境」「桐の樹」「木の仕事・技能伝承」

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