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墨壷・朱壺・白糸_数寄屋大工の才覚カンバセ_卓越技能の証し・誇り|SUMITSUBO line marker were Identified the possession of SUKIYA carpenter’s skiil and carved the authentic and auspicious signs, working in awe of the soul of tree.|プロのたしなみ、千年の洗練_ハンドツールジャパン -57

阿部蔵之|木とジョイントの専門家

格調高く洗練された正統の彫りは、秀逸な技倆の証し_素晴らしい仕事振りと別格の道具を見ると現場監督は一歩さがり、職人衆・施主一同に感動しました。道具を見れば、職人の腕、経験・資質が即座に判るのです。

卓越数寄屋大工_川崎寅之介大正末期自作_1977年引退の時に揃いで拝受し、使うには位負けして手許に置いています。達人の経験知識と技倆は、直伝により口頭伝承から身体記憶も蘇ります。

墨壷糸は墨池を潜り、朱壺は池面を走る。すぐち雲間から降りる清浄白糸。

墨壺・大

墨壺は、綿に墨汁を染み込ませた池中を通し、墨糸を張ります。

この他に短尺用途の小墨壺があります。

 

朱壺 アカツボ

 朱アカ墨は、紅殻ベンガラ(酸化第二鉄を主成分とする赤色顔料)を刻み綿にまぶして水溶きし、墨池を潜らせないで表面で墨差しでおさえながら糸に色を絡ませる。巻き取りは、朱糸が浮いて飛散被りを少なくし、水拭きで落ちるので化粧材に墨打ち。

 

糸番の子猫は、眠らず働きもの_現場でいつもお供する相棒がいて仕事は捗り、遊び心に和みます。

糸車を回す「回手」カエデは、江戸時代には「搔手」カイテと云う_糸を引き出し、所定の位置に止める先端は、「指錐サシキリ」、「かるこ」と云う。和漢船用集 「大工道具之部」 工匠之」具 巻十二  文政10年 1827

白糸 シライト

 

白糸シライトは、墨付け出来ない部位_ 猿子サルコを刺し、糸張りしながら「すぐち」先端の小錐に絹糸を絡め、水平度・返り墨、反りむくりを視る。絹撚り糸: 10間 18m 山桑彫り

瑞雲形

墨池渕取り_マタギ交會部の意匠

  

 墨壺の材質は、桑彫りが最高で欅が次席とされていました。使い続けると深い飴色に変わり、気品が出てくるのです。樹木は、紫外線から身を守るフラボノイドを体内に蓄積しています。

抗体反応が進むと材色変化が進み、熟成・富貴化をみることができます。この「フラボン反応」は、広葉樹に顕著ですが、樹種により経年変化速度が違います。(フラボノイドは、別名Polyphenol ポリへノール、タンニン化合物と同じで抗酸化作用が有ります。)

 多くの古物をみると、墨池周りの彫り上げは、木の神霊を形象化した「巴・あらみたま」を彫りつけています。山桑幹の枝分岐に現れる浮き上がり_交會コウカイ組織が身近なイメージです。

彫物には、魔性を鎮め、瑞兆幸運・災渦厄除け、繁栄縁起を強調するものが取り込まれています。神聖な気配を所持することで、仕事の成就と加護を祈願したのです。使い込まれた古艶色は、パティナ(Patina )という英語がありますが、長い時間を経て到達したもの、先達から引き継ぎ、使用感が放つ美しい重要なものをご紹介しています。

■ 関連コンテンツ:あらみたま飛翔_木挽き巴紋染め抜き図象事例


・飛来する「あらみたま」双頭対体の出現 | –無生物のかんばせ_見えない異界の動きを明らかに。森林飛翔体の調査研究続行          http://kurayuki.abeshoten.jp/blog/33578

次稿に続きます。Continued in next.

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木の総合学研究 2023  「墨掛け道具1000年の由来・モデルチェンジ」「数寄屋大工の墨壺・朱壺・白糸_彫物の形象」

 

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