「木」と産業ジョイントシステムデザイン産業イノベーション

木材原料のセルロース粘着テープは、装着のまま 20年間ズレ動き続けて樹脂化し琥珀調_卓上セロハン・テープ・カッター 傑作デザイン開発ストーリー |The cellulose tape pyron ROTARY DISPENSER 1967| 半世紀前のオリジナル蝸牛カタツムリは綺麗なまま寝ている. ハンドツールジャパン -71 

阿部蔵之|木とジョイントの専門家

木材からできるセロハン粘着透明テープ_セットしたままでも巻き取り時のテンションでズレ動き、20年も経つと樹脂化して琥珀のようになり、最早剥がれません。

セルロース粘着テープ 回転式カッター pyron  ROTARY DISPENSER  1967

回転軸ジョイント

柳宗理工業デザイン研究会 / 製造:協和ゴム株式会社

本体重量;2.06kg    当時ではかなり高値でしたが、 1970年 デザイン事務所開設のため奮発して柳デザイン研究会・東光堂書店で二台購入_白い蝸牛は、オフイスを活き活きさせるオブジェでした。

 2002年 5月、Kurt Neaf (スイス玩具デザイン・製造)Internet Museum Archives 準備作業のおり、歓送迎会で柳 宗理さんから「このロータリーテープディスペンサーを復刻してくれる人がいれば有り難い_デザイン料はいらいないから….」とお話がありました。

当時の販売価格は 10,000-_高価な文房具でしたから販売が滞り、継続生産されず途絶えます。現在は、別社で復刻販売されています。オリジナルのユリア成形型は、ハンドモデルリングで微妙なタッチが残ります。

「卓上セロハン・テープ・カッター」 デザイン開発

「工芸ニュース」Vol. 34, 1967   産業工芸試験所編集・丸善株式会社発行

柳 宗理

すでに市場にあるもの、また一応完成された商品を追い抜くデザインはななかむずかしい。

”アイデアはセンスに先行しなければならない”。

 このデザインの依頼があったときは、すでにこの種の商品がいろいろ出ていたので、何とか今までにない新しいアイデアが出ないものかと頭を捻ること半年余り、ついに写真にあるような機構の卓上カッターの基本アイデアがまとまった。

すなわち、ベース(アイロン・キャスト)の上に本体(ユレア)が回転し、どの方向からもテープが切り取れるというシステムである。

私の研究会ではアイデア・スケッチなるものは一切しない。そのようなものはただ単にスタイルの夢だけで、製品の本質的改良には何等役立たないと思うからである。

材質、技術、生産性、機能性、経済性などアイデアはそのようなものと格闘の末生まれる。デザインするには物を形造ることになるがゆえに、実際に模型を造って検討したり、また試作実験して工夫するところに、新しいアイデア発想の可能性が出る塲合が多い。

特にプラスチックのような金型より取り出す製品は、実際模型を造ってみると生産性の機能形態が明瞭にわかってきて、その工夫考察に大層役立つことが多い。造形性の上からも、立体のものは立体的に実際造って追求する必要があるだろう。

このカッターは回転するために、ベースと本体の間にボール・ベアリングが入れてあり、ベース裏の中央からナットで締め付けてあるのだが、このボールを収める箇所の機構に一番苦労した。

ボールの内臓、テープのリールの落とし込み機構、 カッターの刃の取り付けなどにより肉厚が不均等になるので、熱硬化性(ユレア)のコンプレッション成形にした。

メーカー:協和ゴム株式会社  (柳宗理工業デザイン研究会)

セロハン粘着テープの輸入と普及

1930年 3M USAの開発製品「Scotch tape 」は、工業塗装マスキング用だったと記憶しています。

敗戦後の占領軍GHQから広まり、国内生産されて現在まで産業用テープとして活躍してきました。現在では、様々な機能性テープ、フィルム類があり、石油プラスチック製品がわんさか溢れていますが、木材原料のものが再評価されてきました。

チーズに使われる結着防止剤セルロース

最近、食品加工用に使われており、人体は昆虫のようにセルロースを食べて分解吸収できません。微細コンパウンドが内臓にくっつくのか、排出されるのか判りません。「植物由来だから栄養になる」という検索記事がありますが間違い。粘着・結着性は、木の生命組織のジョイント能力そのもの_このメーカー製品は不使用表示ですが、食品加工添加物として大丈夫なのでしょうか?

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木の総合学研究 2024 「セルロース粘着材工業製品の由来」「粘着テープ接合技術の始まり」「チーズ加工のセルロース結着剤利用」

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