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鬼のような異相の樹性「槐エンジュの木」_異界の生命力を感じさせる樹皮・木理_抗体の分泌・菌類虫喰い防御力など和漢方医薬・染料に使われてきた自然木が造り出す化学物質や驚異的な属性が潜みます。|The Deformity tree nature of ENJU used for meditations、 unbelievable and marvellous orges lives in ENJU wood grain. 特異な焦げ茶材色の樹性・材質・醫構を明らかに 木の内科−122

阿部蔵之|木とジョイントの専門家

 槐の原木を伐り、挽き材から自然乾燥を経て削ったことはなく、木理・材質感だけでなく、木香の微細放散、樹性・物性についてリアルな調査研究、樹種に関する詳しい知識も見当たりません。

室町時代の史料に「具木名」有用樹種名に記載あり、古代から存立してきた樹体ですが、木材学では中国からの伝来とされてきました。

では、木に鬼がついている樹体内はどうなのか、実物を見れば良くわかります。鬼さんは人間が創り出した異界の怖いイメージがあります。槐は、木理模様が他の樹種と著しく異なり、挽き材には特異な木理・材質感が漂います。

原木数本の切り分けから、入節・端節・抗体の分泌、菌類防御の動き、材質の経時変化をみると人知を越えたものがあります。

本稿のコンテンツ:

① 槐材木理「鬼目」顕れた「橒文モクモン」

② 鬼さんの居所「鬼局ツボ」「鬼杢」

③ 芯央の抗体色素蓄積・腐朽菌バリア

④ 入節元・端節  _中間抗体分泌増幅

⑤ 樹皮・芯央材質の違い

⑥「槐」人家の「醫絞イコウ」

⑦  槐 絞目 割り子箸入れ

⑧  槐史料「具木名」「喬木類」薬用樹による処方「醫構」

⑨ 槐の樹性・物性 評価チャートダイアグラム

❶ 槐材木理「鬼目」顕れた「橒文モクモン」

鬼面ガ出てきました。

❷ 鬼さんの居所「鬼局ツボ」「鬼杢」

シンメトリーに顕れる芯央を良く見ると、目玉・口・角が浮かび上がります。

木表の木理結節に鬼さんが潜んでいました。虫眼鏡でみると家族の詰め所みたいにみえます。なんだか嬉しくなりました。

「鬼」は人間が造り出したイメージですが、異様な怖いものを形象して「鬼目・鬼肌・鬼柄」_強いもの、厳つい突起・割れ目の形状を表現する言葉は沢山あり、鬼婆、鬼籍は宿命ですが、鬼百合、鬼霰アラレ、鬼蜻蜓ヤンマなど身近なものです。

「鬼役」も民俗学ではおなじみでした。傳説、寓話や民俗世界だけでなく、世間にも「鬼」がいるので大変困ります。現代の「鬼人」新字体はこんなイメージになります。

自然樹の樹体内に鬼さんの姿が顕れたのは、お初でしょうか。この「鬼杢」は、削りとるのがおしいのでこのまま残します。

❸ 芯央の抗体色素蓄積・腐朽菌バリア

腐朽菌バリア

鉈割りでは木香の微細放散はわずか_匂わない木材で割裂性があります。

❹ 入節元・端節  _中間抗体分泌増幅

 ❺ 樹皮・芯央材質の違い

焦げ茶濃色材の日本産広葉樹は類例がなく、堅いものと軟質材があり特異な芯央です。外皮は薄く、割裂し、剥がれ、内皮とともに防御層が厚くなり、黄色有機酸を蓄える頑強な樹体と見えます。

花をつけ実種ができるものと雌雄の違いや生育地による異質の樹体がありました。槐には、異種があるという記述が和漢三才圖繪にあります。

❻「槐」人家の「醫絞イコウ」

藥用樹による家人の護り_無病息災や疫病治癒を実感でき、「醫構・醫護木」は、経験知による言い伝えでした。なんと江戸時代中期の和漢薬用樹利用から医術として流布していたことが判ります。

❼ 槐 絞目 割り子箸入れ

柏木工房 柏木 圭 作  槐・青竹・皮籐の抗菌組合わせ

 ❽ 槐史料 「具木名」 「喬木類」

「鬼」の古字には、角がありません。頭部に上下肢がつく象形でした。

室町時代1648年 筆記本「新撰類聚往来」108樹種を「具木名」記載

 

和漢三才圖繪 喬木類 槐

和漢三才圖繪 巻八十三 喬木類

正徳2 (1712) 年 寺島 良安、江戸時代前期から中期の医師による編纂

「槐花」は蕾みから止血薬、「槐実」は痔薬、血流治癒に特別な薬用樹として古代から重用されてきました。開花有無、雌雄あり_槐花は、有用黄色染料となり、薬理成分「ルチン」を含有し、気力を増し、高血圧などにも薬巧が多い

読み下すと「血流を改善し、内臓循環が良くなり、気力を回復する肝径気分を治す薬」「材は堅実で紋様木理が美しく器物盆になる」、人家庭院門近に植えると緑陰が快適で、古今、「醫紋」とされてきた… 云々」

この記載は、「和漢三才圖繪」編者 寺島良安が大坂の医師だったことから、江戸初期から中期に処方として巷間に伝わり、専門的な学識に成っていた事も納得できます。

薬用樹による処方「醫構」

この医療樹木を植える「醫紋」という記述は、当時の和漢方医療が寄与してくれる薬樹を植栽することを推奨していたという史実が浮かび上がります。メデイカルツリーの治癒力を活かす処方がすでにあり、当時、医者は「薬師クスシ」だった来歴を物語ります。江戸時代は、「免許制度」がありませんでした。

薬用樹による「醫構」は、病状を回復し体調を良くするもので、当時は、ウイルス・細菌類が判らず、殺菌になるというレベルではありませんが、「病疾」を呼ばない環境樹に思慮が届き、和方「醫術」の先触れでした。

この旧知は、小職が提唱してきました「キュアー・メディカルウッドワーク」が生命維持を確かにし、実践に繋げる手立てとなります。

「醫」で縛る「紋コウ」は、薬理成分が放散され、バリア的な防御域を形成し、医療、ヒーリング作用がある薬用樹「護木」に辿りついていたことは、現在の感染症対策からみても先見の処方です。中世の修道院中庭にあったHealing Garden の樹木植栽と同じ成り立ちでしょう。( コロナパンデミックの始まりでは、ウイルスが短時間に死滅する木材表面は、自然物の抗菌作用を示しました。自然界の抗菌・抗体作用を無視した防疫医療政策がまかり通ります。)

槐の立木がアメニティ、防疫・医療効果がある庭木景観樹として特筆されいますが、和漢方薬用樹として黄蘗キハダ(ベルベリン )、苦木(結晶性苦味質クワツシン)と同じ黄色素が共通します。

 芳香薬「辛夷コブシ・シンイ」は、鼻孔奥から頭が重いときに気分を晴らし、花弁は蓄膿特効薬。朴の木厚朴は、共にモクレン科でマグノール蒼鶯色素で樹木が自らを護るために生成する抗体色素です。固有の材色には、菌類昆虫を防ぐ作用があり、動物の体に生理的反応を起こす強いケミカル成分があることを印象づけます。

医薬の八割は、樹木由来です。暮らしの環境を良く整え、疫病を防ぐメディカルツリーとして注目します。嘗て自然の森林は、疾患を治癒するファーマシーでした。樹木による庇護・治癒は、樹恩として民間伝承されてきましたが、体の自然を取り戻す処方が既にあったのです。

樹木に寄り添うことが医療回復にも繋がるという叡智を更に深堀りします。

❾ 槐の樹性・物性 評価チャートダイアグラム

ⓒ Kurayuki Abe, 2004

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木の総合学研究2024「槐の抗体分泌と菌類昆虫防御_薬理成分の医薬利用」「健康維持・医療樹木」

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