デザイン伝統文化木工

戒厳令下の李朝室内装飾展1971 李朝古木工家具立体展示記録

阿部蔵之|木とジョイントの専門家

戦乱と西洋化で失われかけてきた文化財の価値を再発見する現物を集め、初めての李朝様式室内装飾展が開かれました。買い集め、展示企画、収蔵先を手当する地道なミュージアムキュレーションのはじまり

 李朝終焉から60年の開化を経て外来文化混濁を伝統美から見直す契機と提唱、「傳統文化・生活情緒・風土的個性・単純美・質素美・近代美・木工家具主軸」を見出しています。シンプルモダーンが行き過ぎた現代にナチュラル・情緒的な造形要素を与えることが多くなりました。四方卓子など棚物は現代でも健在、地震のほとんどない国の家具造形です。
李朝室内装飾 徳寿宮1971001-A-1李朝室内装飾展徳寿宮1971-01-B-1 李朝室内装飾展徳寿宮1971-01-C-1

第一回李朝家具室内装飾展 1971年1月  徳寿宮国立博物館

李朝室内装飾展新世界百貨店1971-02-A-1李朝室内装飾展新世界百貨店1971-02-B-1
文士の部屋               居 間

李朝室内装飾立体展示會 「李朝古木工家具立体展示」 新世界百貨店 1971年2月

李朝室内装飾展徳寿宮1971-01- C-1
・BAN-DAD-I 半開き櫃 松 530W x 450H x 290D   組手:石畳 710205 ABE
李朝室内装飾展新世界百貨店197102-D-1
・BAN-DAD-I 半開き櫃 欅 530W x 450H x 290D   組手:霰 710205 ABE
李朝室内装飾展新世界百貨店1971-01-E-1
・ I-CHEUN -JANG・二層蔵  柿・他
李朝室内装飾展新世界百貨店1971-02-F-1
・脇置き 黒柿 下台192W x 325 L x 125 H
 李朝時代の伝統的生活文化財を再評価し、海外流失が目立ち始めた家具類を国内保存する動きがでて、初めての国立博物館展示と連動したデパート催事・頒布が開かれ重要文化財クラスが並びました。
室礼は由緒正しき家具・調度品・文房具・軸物を選び、正調・典型的な構成です。パンフレットは、印刷部数も少なく稀少でしたので研究資料に掲載。(展示企画・指導は、徳寿宮国立博物館美術課長 崔淳雨先生)
李朝室内装飾展1971-1 李朝室内装飾展1971-b -1 李朝室内装飾展1971-c-1
パンフレットのメッセージは漢字とハングルですので読解できます。
「開化○近  六十年○批判○外来文化○現代生活文化○國際社會○生活文化寄與○各其 民族 固有 傳統美○生活 情緒○多幸○韓国○室内意匠○李朝時代○風土的個性○洗錬○李朝木工家具○美 方向○單純美○質素美○傳統○現代生活空間○調和○近代美要素○木工家具主軸○李朝室内意匠健全○現代的○千萬光○」
集められた家具・調度は優品ばかりで直ぐに完売・赤リボン。家具・文房具は、重文クラスです。 (掲載画像は実測時の撮影記録です。文化財・美術品はネイティブの地にあるから意味があり、海外に持ち出さずに継承していくべきと教えられました。舟ダンスをはじめ、江戸時代の箱物家具に大きな影響を与えています。)
李朝家具の本は沢山出版されてきましたので解説はつけませんが、個性的な意匠は日本やドイツでもコレクターの人気が高い様式家具です。前面の装飾金具がユニークで造形要素の主役、欅・松・モミ・桐・梨・朝鮮五葉松・クルミ・黒柿・桜・桑・ナツメ・柳・栗・銀杏・カエデが使われています。

平和で安定した社會、ゆったり生活時間が工芸を発展させてきました。

 200年の李朝の歳月が創り出した造形をみると安定した政治・経済が続くと工芸は発展することが判ります。江戸300年は、アート・クラフト文化の爛熟が起きた一面も否定出来ません。

争い戦うことが無ければ、人は自然にモノつくりにいそしみ、文化の花を咲かせて面白い楽しいコトに専念できますから。「工芸の五月クラフトフェア」が世界的に評価される出展作品に溢れるには、まだまだ時間がかかります。タイムレスな秀作逸品を創作するには、このネット時代は忙しすぎますね。

SEOUL 1970-1
龍山區青波洞からソウル駅・南山を望む 19700825 ABE
SEOUL 1985-1
ソウル高層ビルラッシュ始まる 19850826 ABE
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木の総合学研究 2014 – 2019 「李朝の木工家具・室礼・室内装飾」

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