「木」の文化クラフトフェアジョイントシステムデザイン工芸

クラフトフェア 屋外グッド展示の見所-続き

阿部蔵之|木とジョイントの専門家

作品のカテゴリーで展示の仕方に共通したパターン・傾向が見られ、デザインや手のかけ方にも制作者自身の造形センスが現れます。展示装備・什器も一体表現に。

組立分解・ノックダウン式の展示棚は、狭いスペースに展示量が大きく、視認・装飾効果が高いので次第に増えてきました。作品を引き立てる様々なフォルム・仕様を観ることが出来ます。実際の屋外設置では、安定重量バランスを確認する必要がありますが、畳むとフラット・板状になり搬送に便利な構造が主流。屋外での組み立ては素速くアセンブリーできるものがよく、安定強度・剛性があり、転倒防止構造であること。ネジ型ジョイント・楔が操作・パーツ流用、互換性などの作業性もよく一番便利です。
(以下、2009 -2014  グッド展示設営事例です。 尚、エントリー審査写真(作品名簿)と当日展示が照合できないものは、年号のみ記載。展示什器も作品発表と一体としてとらえています。)

*ご注意:作品展示什器・演出器材は、制作者の作品ですのでデザイン等をそのまま使うことはできません。
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                                 2009/2011,(連続構成・拡張可能なフォールディングシェルフ)
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酒井芳邦 木・漆工房「邦」2011,手練高質      酒井隆司 2014, 軽量小物作品を魅せる開放棚
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小峰美省 AM 陶工房 2014,ロング型         藤倉奈菜江 2011,奥行を重視した三角帆立
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福田陽平 2010,木の多目的棚                                           2011,構造安定T型設置・脚伸張式
梯子帆立、脚立フレームスタンド多段棚は、使い勝手が良く、陶器・ガラス、漆器などの小間で多用
この方式は、構造パーツは全て畳めてフラットになり、組み立ても早く展示効果が高い。木構造は、家具的に見えるので器にフィットします。 公園の樹木・芝生環境ではマイルドな什器が似合います。
鉄パイプ・鉄棒フレームは剛性強度あり頑丈ですが、ビジュアルインパクトが強く、テクスチャーが硬質なものに向いています。
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    2013,ガードバックパネル付き       清岡幸道 2011,ヒンジ機構ロックに工夫
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        2013,三本足両側支持・上部厚板ウエイト     砂田政美  沙鷗窯 2014, 脚+棚板幅弾性固定
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沖原紗耶   工房竹と暮らす  2013/2014, 軽快な脚立型ロッド材展示ケース架台、収納兼用
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塩崎めぐみ  kamome works 2014, 二段折脚        水野智路  寿窯 2011、ヒンジ開閉組立て棚ユニット
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 澤田幸一  工房 凛 2007/2010, 細割り材エコノミー活用、スマートな組立構造

陶芸・焼き物は、雨にも強く屋外展示でも大丈夫。作品をガードするため、箱・コンテナにいれて梱包収納、搬送しますので箱をベースにし板を載せて展示台にするケースが一般的。ユニットボックスを組み合わせて小物を納め、パーティション使いするアレンジも見うけます。デティールを見ると独自の工夫が多く、展示の仕方も一定の構造方式に次第に収斂してきました。
 クラフトフェア開催当初から現在まで、会場小間の展示棚が倒壊して作品が損傷したことは見ませんでした。特に、陶器・ガラス作品は出展者が傍についているので安全確保されているようです。覧る側のゲストもクラフトに関心、心得のある人がほとんどですから、トラブルが起きないのでしょう。
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クメマイコ 2010,展示棚・梱包箱兼用          モリス ゾイ 2010,楔固定棚+ユニット連結
桐の入れ子ユニット箱棚は、嵌合構造の脚とともにコンパクトで和風野点の洗練を感じる構成です。梱包・荷造りから輸送、展示設営までとてもスマートで見栄えもします。
右のBlack and White カラーコーディネーションの小間は、収納ボックスを収納兼置き台ベースに使い、腰回りを布でカバーして作品とのテクスチャーを対比させて好印象を与える完成度の高いセッティング。組立式ラック棚をのせ、小物から大きな作品まで全体を見渡せる工夫が場数を踏んだプロの仕事に見えました。ギャラリーや美術館展示とは異なり、展示構成にも作者の経験や力量がはっきり現れてきます。

染め織り・衣料作品は、ハンガー・吊り下げスタイルが展示の基本形です。

吊るし・重ね置きが衣類の収納姿ですから、自然とつり下げスタイルになります。
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富樫由紀子 2014                                                    高見由香 2009
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新藤佳子ホームスパンアトリエ  2014 、      谷口みかさ no+ah 2013、ハンギングが一般的です。
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宇田千恵子 brun – roux  2009/2010,伸張布棚はフェルト作品を更に引き立てます
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                        2009                                                       土屋美恵子 土屋織物所 2011
(現在まで、なぜか糸偏の男物作品はほとんどありません。)

作品展示を引き立てる演出事例

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単なる陳列ではなく、使い方・仕舞い方、コーデイネイト提案もあると素敵にみえます。センスを活かし、花・添え物で最小限の空間演出で小間の雰囲気が訪問客を心地よく迎えます。(柏木工房 柏木 圭+小高千繪2010/2014)

Q :難問ですが、クラフト作品の場合、既製パーツをどこまで使うことが許容されるのか?既製品を使ったり外注加工しても自分のオリジナル作品として発表展示できるか。外註を自作にして発表するのはあざとい。

 工芸品の本質的な性格は「生活で実際に使われる」ものですが、クラフト作品は「作者自身の仕事であること」すべて自作であることが基本です。また、一品制作ではなく、複数・再現性、リピートできることも要件です。流用・転用という手法もあるのですが、古布・古材などは、原型をとどめず、材料として一部分ならばクリアーできますけれど、量産パーツ・デバイスとなると怪しい。画像イメージによる造形ワークなど、無形のものは工芸分野ではなくデザイン・アートとして仕分け、既製品を利用して作品にする場合は、コンテンポラリーアートのカテゴリーに入ります。新素材が増えてきましたので、クラフト作品の範囲、区別も揺れ動くようです。

本来、クラフトは実作が基本。外注加工・分業は? オリジナリティ・自作率や作家性について

 「工人の手から生み出され、生活のなかで実用に使われるもの。再現制作できる同一性があり、創作または、伝承されてきた工作物」と定義してみます。素材を二次加工する場合やビーズ等の装飾パーツ、工業機械生産の塗料・接着材・金具類は原形が見えない場合には受認できそうです。木工や織物の場合、専門工に依頼する中間分業システムが有ります。例えば、家具の構造部材加工は、材料を揃えて自作加工見本を専門職人に渡して発注、仕上げを自分の工房で行い完成する場合には制作物にでき、自身で素材・品質をコントロール出来ないものは、外注者の仕事に帰属します。
同じ塗料でも漆は自然物・手仕事ですが、ウレタンを沢山入れるウルシ系塗料は量産化学工業材料になる?難しい判断。成分組成まで解りません。本質的な問題ですが、自作率・作品のオリジナリティで判断したいと思います。現在では、「自分が制作したことにして」発表・販売するのは詐称・不法行為、危ない演技性人格障害に。従来、伝統工芸分野では影打ちや下職に出して完成品を自作としてきた歴史が有りますので、曖昧な商慣習が残っています。自分で作れず、コストを下げるために外注したり、受注がさばき切れないほどになると危険です。実際に起きた事案ですが、外注先の作家的職人の工房に行って「デザイン図面をみせ、制作は自分の名前で出すから」と作らせるのには驚きます。作家ではなく「サッカク」、著作発表権侵害や偽称・演技性人格障害にあたります。作品制作中に来客があれば、必ず人目につきます。友人の工房では、アイデア漏洩にも苦慮していますが、ネット時代になり創作と同時に類似先例や工業意匠権などにも注意したいと思います。創作するだけではなく、作品にまつわる関連資料の収集ストックと活用は、これからの大きな課題の一つです。

世界的水準に来ているJAPANクラフツ作品

 今年も海外ゲストを多く迎えました。出会ったゲストの評価は、一様にクオリティが高いという印象です。フレッシュな展示作品を観てきた後に海外雑誌をめくると、このクラフトフェア会場に編集者がきたら特集を組めるの内容ではないかと感じる昨今です。プレスインフォーメイションが必要になる時期は近いようですね。それぞれの展示小間には、造形作家のセンスや工夫が反映していますので、素材に対する専門的な知見、技法アイデアや実際の工房実作過程でのエピソードなども伺っていきたい。買うだけでは楽しみ味わい半分。
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      倉澤  聡 + 大島健一
*表にいて駆けずりまわるも姿を記録されないフェア運営トップ実務VIP。どこかに登場しないと本事案は完了しません。素晴らしいステージを作る人は、目立たないのが運命です。時代を創るプロフェッショナルを大事にしたい。
ⓒ 2014 Kurayuki, ABE
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木の総合学研究 2014 – 2019 「クラフトフェア展示小間構成」「ウッドワークとディスプレイ什器」「組立・架構、ジョイント機構」「工芸作品と展示美術」

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