「木」と医療工芸木と人間の関わり木の総合学薬用樹木

柿渋 – 伝統文化を支え、多用される自然エコマテリアル・蜂・蛇毒消し中和、黴よけ・撥水・染め塗り・漆下地。

阿部蔵之|木とジョイントの専門家

「蛇・蜂・ムカデ」蛋白毒の中和用柿渋。蜂刺されに柿渋がベスト体験でした。多用途で優れたナチュラルメディカルプロダクツを使いこなします。

 

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柿渋は、清酒・染色・防虫・防水・コーティング剤、痛風治療になど、昔からいろいろな用途に使われてきた自然素材です、現在は、さらに高度な活用技術が進み、化粧品や自然塗料にも拡がりました。お盆の頃になると蜂さんが巣作り・子育てにはいり、刺される危険が増えてきますので、先ず「毒消し」から入ります。蛋白結合・中和剤としての特効作用を記載しました。柿渋を携帯する人は、奥会津・五十嵐林業とキコルABE、ほか二名です。

 合成薬とは違い、蛋白毒を即座に中和する作用で昔からの特効処置剤
 通常、日本酒の醸造につかわれ、発酵後の蛋白質降り下げ清澄に使われますので安全です。また。木への浸透性が良く、木口面に塗布すると内部の材質組織変化を呈色反応でチェック出来ます。私は、木材厚板の防黴・木喰い虫よけ、防湿箱などマテリアルトリートメントに長年つかっていますので常備。紙・木材着色を綺麗に仕上げる場合は、2 – 3倍に薄めたものを重ね塗りします。乾燥するまでは独特の発酵臭がありますが、馴れれば気になりません。
 柿渋は、水溶性で即座に蛋白質と結合反応します。
 蛇に噛まれたり、蜂に刺された場合、即座にすり込み毒を中和します。(可能ならば、傷口に入った毒を吸い込み用具で吸引)
五分程度しっかりすり込み、炎症が抑えられていれば処置完了。洗浄して一応ドクターの事後診断を受けてください。(蛇に噛まれた経験はありませんが、蛇の場合は血清の手配が必要。地元の医療ネットワークが有ります。)尚、黒い衣服は蜂の天敵・熊さんに間違われ、攻撃されますのでご用心。カチカチ鳴く時は攻撃態勢です。
虫刺されの医薬として販売はできないので、あくまで伝承民間薬の転用スペシャル。衣服に付着すると取れません。染料として強力です。道具に塗布し、染色型紙・製茶道具・漁具の防腐、撥水防水処理をします。木材や和紙に塗り、耐久保護など、職人の世界では便利な使いこなしが続いています。
 持ち歩き小瓶 皮膚にすり込みが出来る2mm小穴付きが最適。原液を使用
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 この夏は、例年より赤雀蜂が多く、刺され応急対策に古渋5年物を取り寄せましたので、実際の使用法を掲載しました。携帯用に小瓶にいれますが、柿渋の保存は独特。小さな容器に小分けして入れると重合反応してゲル化が進行します。大きな容器で2月程度は大丈夫ですが長期保管するには2倍に希釈し冷暗所に。自然の有機成分が酵素で反応が進みますから一年毎に入れ替えます。
 柿渋マテリアルトリートメント

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貴重サンプル材は、木口面・周囲・天乾桟木部に塗布して黴・虫喰いを抑えています。表面浸透は、0.5mm弱。写真は、水目400年樹厚板。
 「柿の総合学」について
 柿の実・和菓子・食品(茶・柿の葉鮨・柿酢・ソース)、俳句詩歌・絵本・木工・ウッド、柿渋利用(和紙強化・撥水、染色工芸・塗料・薬品)万能樹等の事例、実物サンプル材・資料が揃いましたので伝承・民俗、文化全般にわたる柿の総合的な知見がまとめられそうです。20年間使用。後日、再編集します。
「柿渋」については、木の大学講座 第8期 1993年 開講
「木」と技術「日本人と柿渋 〜伝統文化の基底から〜」講師:吉村幸一 (株)トミヤマ代表取締役
・近年、重金属・蛋白の吸着、化粧用・除菌剤など 高分子タンニンの新素材利用が拡がりつつあります
・柿渋産地:熊本・兵庫・京都・滋賀・岐阜・福島、他 栽培生産者・渋製造・販売店があります。
・専門図書「柿渋」ものと人間の文化史 No.115 今井敬潤 2003  法政大学出版会  他
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木の総合学研究 2014 – 2019 「柿渋利用の現在」「木と人のかかわり・医療・産業」「樹木の高度利用」

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