「木」とともに生きる「木」の人名・地名「木」の文化木と人間の関わり木の総合学

「木」の人名研究  樹木の名字・名前-2 木の文化圏の親御ネーミング感性

阿部蔵之|木とジョイントの専門家

木を見て親しみを抱く。護られて休み、触れて安らぐ。人間本来の生理的・心理的・本能的な反応です。樹の人名は素晴らしい自然一体のリッチネーミング

 木・樹「キ Ki」は、同音に気・貴・生・季・希・祈・基・喜・輝・規・季・紀・器・来・機・姫・稀・企・起・揮・利などがあり、大事な有用なものという基本的なイメージがあります。樹木を嫌いな人はいないので、「木」の語感は良い印象と共にクリヤーに聞こえます。

樹木の連想イメージ

 自然な・素朴な・豊かな・快適な・静かな・清潔な・爽やかな・暖かい・優しい・美しい・目出度い・楽しい・確かな・信頼できる・役立つ・生きている・懐かしい・荘厳な・神聖な・真誠さ・安らか・おおらかな・丈夫な・ぬくもり・心地よい・香りよい・クリーンな・素晴らしい・幸福な・ロマンチック・エコ・満たされる・しっかりした 等とても良いイメージがあります。
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名付けの本質的な役割り
 名前は本人が意識すると、自分自身で感化され、イメージへ導かれるようになります。次第に人柄に影響してきますから「名は体を表す」ことになるのです。また、自分の氏名漢字は好感度が高く、直ぐに目に入り親密なものに。名前と実体が合わさるように行動するだけでなく、他人も名前に込められた意味や役割、メッセージを受け止めることになります。人物理解の手掛かりや評価が名前から結びつくことも多いのでは。名前が人格を育て導き、名は体を顕す。

樹人名 194 

 漢字名の呼び方は複数あり、同音異字が多く似た広範囲の用例が見られます。樹を人と見立て、個性・人となりを表現。 樹は立つので一字で「たつる」と読む人が有りますが、人は立っているので樹体イメージに投影して人と見立て、パーソナルネームに使われてきました。良い意味を持つ漢字(感じ)を結び付けた人名組字です。

・季節では、冬樹・春樹・夏樹があり、秋がないのはKi音が重複し「飽き・空き」の音感が重なるため。(四季が揃わないのが微妙です)
・秀才兄弟樹名例:小川芳樹・貝塚茂樹・湯川秀樹・小川環樹・小川滋樹
・樹種との組合わせ例:藤樹・松樹・杉樹・桂樹
・女性名では美樹・由樹・亜樹・麻樹・夏樹の5例があります。
・数字は、一、三、百の三例、十千がなくて万が使われています。

「樹下美人」樹の下に立つと心身が静まる。なぜか、目に美しく映ります。

樹木に近づくと安心感やくつろぎを感じるものですが、緑の樹景は爽快な気分になります。作業には、床を板敷きにしますと足裏の疲労が少なく楽です。木に寄り添って生きてきた自然な姿に戻ると痛感します。庭園・障壁画などに樹木がモチーフに使われ、造形・芸術作品が生まれました。樹木との親密な関係、親和性が息づく味わいを大切にしたいものです。人も木に寄り添い、囲まれている空間が居心地よく、和風の室内装飾にも取り入れられてきました。

性格・人柄を表現する樹木のIDイメージ

 優れた・立派な・元気な・大きい・丈夫な・素速い・広い・真面目な・素直な・逞しい・勇ましい・輝く・伸びる・聡明な・厚い・栄える・強い・豊かな・役立つ・持続する・神聖な・親しい・堅能な・目出度い・規範となる・美しい 等。 漢字は、感じと言われますが、「樹」を組字にして人物の性格を特長づける思いが込められています。樹木人名は、人の心に響く好感度・独特の力がありそうです。
さらに、ファミリーネームと個人名両方にまたがり複数使われているケースに注目しました。

木の氏名 -2 blog 20150419

樹人氏名の典例
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浜野保樹  浜・野を保全、環境エコ人
森  護  森番人 森林官
森 豊樹  森の中の豊かな人物
木見教樹  森林ガイド・木の教授
森中直樹  森の中に立つ直な人
井上茂樹  水源の上に茂る人
川上茂樹  川の上流に繁る人
杉山茂樹  杉山に立ち茂る人
林 繁樹  樹林で繁る元気人
深山重樹  深い山に重要な人
高木直樹  高く真っ直ぐな人
森泉保男  森と泉を保つ人物
森西真弓  森の西にあるマユミ
美木良介  美しい木で良い存在
・氏名全木字例:松森果林 (松の森は松の実のなる林)
・樹名一字例:樹生・樹男・松男・松栄・有松・杉人・柊人・樫男・樫彦・桐吾・桂吾・藤人・樹範・樹基・松子・梅子・藤子・桂子・桃子・栗子・槇子・柚実・千樫・桜・椿・樹・柊 等
木の属性を表す言葉
 自然・繊細・高貴・素朴・荘厳・基本・風雅・詩情・健康・伝統・正統・純粋・個性・豊穣・富裕・静穏・感触・快適・気品・暖味・馴染み・格調・成長・落着き・安らぎ・粋・生き・審美・楽しい・有為・有用・神秘・不思議・繁栄・クリーン・養育・守護・安全・ECO

竹も木のうち

「竹」の名字は、竹中・竹下・竹田・大竹・竹島・佐竹 ほか
竹は日本の生活文化に欠かせない有用な植物です。樹木は「幹が生長肥大する」という基本性質で分類されますが、竹は樹が進化したものとして扱います。実際に出会い、人物を知って氏名を理解することから樹人名の本質がつかめそうです。

樹木人名をもつ「木」の仕事職
 友人の木工家具・造形家に本人が自分の名字・名前にどのようなイメージや感覚・意識をいだいてきたかをインタビューしてみました。柏木 圭は、木工家になるべくして誕生したという先人の評価があり、樹名を強く受け止めています。「圭」は象徴図像学的には龍とセットになっている玉、漢字三文字を寄せると柏桂となります。杉山裕次郎は、平凡なファミリーネームとしながら、杉のもつ美質や素材の有用性、純良な素材感に愛着を呼び、潜在意識下の思いが木の仕事に高揚するものをうけとめてきたことを述懐していました。この他、林業経営では、「小杉胤樹」、杉林舎「森屋杉人」など杉氏が最多です。各位の樹木人名が木の国の素晴らしい自然の名付け方を語っています。名前の研究では、名付けた人とご本人のコメントが大事ですね。
 樹人名の今後
 現代のネット・デジタル化社会では、人が顔を合わせることが急に減りました。顔無き匿名化が進むと人格や人柄を尊重することが稀薄になり、次第に記号化されて名前自体が変質すると予想。人工環境に居住し、樹木の知識や実体験がない世代には、どんどん自然から遠ざかるようになりました。
コミニケーション方法が変わり、フェイス ツウ フェイスの出会いが少なくなると、キャラクター的な存在が増え、次世代の親は命名を音感から漢字を当てはめる方向へシフトして行きそうです。
実例から記録した樹人名を総覧すると、世に出て偉業・才能を発揮した人物が多い事に気づきました。ノーベル賞人物研究で少年期に木登りを良くしたという人が60%おられたというコラム記事がありました。木にかかわると頭脳が活性化し、木に寄り添っていると能力が発達するのかもしれません。名前は、人生を動かしますので特に重要です。
木の国名

「ブラジル」の名前の由来となった「Pau Brazil」 赤色の染料とバイオリンの弓材に使われ、150年間で枯渇。現在は伐採・輸出禁止、国家管理保護樹です。

ベストネーミング例  樹人名 歴史上の人物
「柳楢悦」百樹のコレクター
幕末の和算家でオランダに留学、数学(洋算)を学び帰国後、海軍に入り、日本近海水路測量、日本海溝を発見。オランダから多量の球根や種類の違う100本の樹を持ち帰り屋敷に植え「百樹庵」をつくる。柳宗悦の父。呼ぶ度に「柳なら良し」と響き、「悦」は嬉しく喜ばしい人物という優れたG評価がつく。柳は、しなやかで折れにくく、風雨困難に耐え、護岸土壌に根をはり、樹勢が活発。柳筥のように神聖な器物をつくる白木の有用素材です。民芸運動の源は「柳楢」からはじまり、ルーツは音韻・語感も最上です。
「木づくし」 エッセイ「日本の樹木」
 「うわ木、まんび木、すとらい木、エネル木、らんち木、にん木、はい木、ホウガンびい木、いい木、おそま木、ももひ木、にっ木、が木、ふけい木、かせ木、ぎせ木、なんのこれし木、しめこのうさ木、おおぜ木、おまつりさわ木、つよ木、うそつ木、いんんち木、とりひ木、わるあが木。なお絶滅を噂される木には、かやぶ木、いたぶ木、くさぶ木、きばたら木、こころい木、しょくにんかた木、しょうじ木、おちつ木、ながつづ木、おとこ木、りょうしんて木、しんぽて木、げたば木、こしま木、すりこ木、のぎくのごときキミなり木、わがたにはミドリなり木- – – 」 S: 「にっぽん博物誌 連載13  日本の樹木  井上ひさし 週間朝日 810403  P.40−41 」(アンブローズ・ビアス著「悪魔の辞典」を江戸の地口もじりで)

樹木地名について

 日本地名研究所所長の谷川健一先生に木の大学講座講師依頼をした際、「地名に樹木漢字が使われていても、全く違う裏の意味に使う場合が多い。例えば大阪の「梅田」は「埋め田」場所で、木とのかかわりはない。当て字が多く、講義内容が木から離れ、確かなものが少ない。」と説明を受けました。地名は、文化財として研究されています。地名と樹木、生業についての関連性については歴史的な知見が必要です、

悲劇の地名「梨」は、無し・亡し

 7月に発生しました南木曽町の「梨子沢 ナシザワ」土石流災害は、「蛇抜け」と呼ばれ、歴史的に伝承されてきた自然災害でした。
(木の大学講座10期 1995 「木」と歴史学 『蛇抜・木霊 〜木曽山系の歴史災害と伝承〜』
講師:笹本正治 信州大学人文学部教授。 歴史は繰り返され、講義から19年後に蛇抜けが発生したのです。)
「梨」は「亡し」を意味し、子供が犠牲になった過去の災害を警告して「梨子」という地名にしてきたのでした。地名研究は、昔からの伝承が秘められていますので改名されるとその地域にまつわる記憶が消されてしまいます。災害などを伝えるためにその土地の性格や由来が地名に記憶されているのです。近くの「大滝」は「滝のような出水」など。「坂梨」は坂無し。江戸時代には、縁起をかついで梨を「ありの実」と言い替えていました。 また、「桐原」は、桐の木が多いという景観意外に「切り」土して造成した場所、囲んだ地形の端を意味する事例があります。
樹木地名の研究は、言い伝えを記録して調べないと樹木とは関係の無い話しになることもあるのです。

ランドマーク地名

六本木、柳ヶ瀬、一ツ木通り、二本松等、歓楽街が多い。地名はランドマークとして身近に沢山あります。各地の実例を集録し、ネーミングについても考究してみたいと思います。ハリウッド・スカイツリーも新たに加えて。

*これから音感や樹木イメージなどについてもネーミングの効果を検証、見解を開示していきます。「環境が動物に与える影響や意味: Affordance (ギブソン)」からも新しい見方が出来そうです。日本文化論に木の豊かな様相を補強したい。

森林文化圏の樹木人名

各地に樹木人名が使われていますので、実際に出会った事例をこつこつ収録中。Boston Red socksには、BuchHolzブナの木(材)というピッチャーがいますが、Buchは、紙のない時代にブナを薄くスライスして綴本にしたBookの語源です。
 国により、樹木名を使う地域には生活に密着した樹種が使われています。松杉檜は日本に多く、ブナ木さんにはまだお目にかかりません。また、名前が人物に投映し性格をつくるという一面もありますので、実際にお会い出来ることを願っております。名前・ネーミングは「命」そのものです。
* 「名前、それは燃える命」S:ビューティフルネイム 作詞:奈良橋陽子・伊藤あきら
*20160917 氏名追補
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木の総合学2014 – 2019  「木」の人名・地名」「木の民俗文化」「樹木ネーミング」Tree and Wood Personal Names in Japan – Culture of Wood,

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