MT マテリアルトリートメント | 「木歴・木録」 | 木の内科
白樺内科 白と牡丹(赤) の識別・芯央のダメージ治癒反応バイタルサイン 木の内科-6
白樺には、木部がプレーン(白)と芯材赤身部に軸周りボタン模様がはっきり出るものがあります。
専門書には記載されていませんが、白樺にも生体組織・性質の異なる個体があり、芯から白いプレーンな木部と芯材部が赤褐色の牡丹状色素帯がでるものが存在します。20本に一本程度の混じりでした。白樺も「白」「赤・牡丹」があり識別できます。樹幹に切傷・打撲を受けると、命を守るため内部組織が自ら感知して治癒する動きを起こします。
「芯材(赤身)は、死んだ組織で生き物として機能をすべて停止している」と学説で教えてきましたが、実際は違うことが多く単純ではない。伐採されたり、樹幹にダメージを受けると、切断面では、芯材部から水を噴き上げたり、年輪を透過して色素が素速く移動。芯材部から抗菌・治癒防御物質が代謝され、切り口に向かう鮮明な動きを観察できます。
木の命の不思議 自己治療バイオメディカル能力
樹は傷ついた時、生体反応として傷口に向かって芯材部の有色物質を浸送(代謝)しキュアーする活発な動きをはじめます。伐採時からしばらくの間、このセルフキュアー現象は芯材部がはっきりしている樹種で見ることが出来ます。芯材部は水分移動保持・色素移動など動いていますから死んだ部位ではないのです。これが止まると徐々に死斑が放射状に拡がり枯れる経時変化が起きます。そのまま放置すると、黴・菌がとりつき内部へ入って腐食し組織が壊れていきます。樹木は、切られてからもしばらくの間、音も無く、内部でダイナミックな生命活動を続け、芯材部は成長を止めていても樹体を維持するための機能を保持しているとみえます。傷ふさぎ防御の色素移動(代謝)は、真樺・ブナ(赤)・柏・ケンポ梨・みやまさくら・イヌサクラ・栃(白)・朴・辛夷・青樫・小柿などにありますが、各樹種毎に内科的精査が必要です。秋、紅葉した葉に含まれるタンニンを枯れ葉が枝から離れる直前に吸収する樹の生理作用もさらに不思議な現象です。
玉切り材の自然乾燥と黴入り芯材部経時変化比較 2011→2014
白 (芯材部がはっきり分かれない)
赤(ボタン)辺材白太は芯材部とはっきり分かれる
枕木材木口 黴入り比較 AQ930812
木口黴止め生漆塗布 MTマテリアルトリートメント効果
生漆刷り込み(ガムテレピン油30%希釈)をした両木口カット面には黴が入りませんでしたが、樹皮付き両耳にはしっかり木喰い虫が穴あけ中。漆の殺菌力・抗菌持続性能はすごい。
日本では優良木が多く、有史以来、使いこなす技術・文化がなかったので白樺を雑木扱いで粗末な扱いをしてきました。白樺は、伐採後の二次林で成長が早く、その林相・景観も美しいので北欧の様に多目的で使われれば評価が高くなる樹種です。自然有用エコ素材としてあらためて注目したい白樺さんです。
樹木の内部メカニズムは、伐らないと判りません。サンプル原木はそれぞれ個性があり全て同じではありません。
*サンプル材カット作業協力:柏木工房 柏木 圭 20110204 – 20110221
白樺樹皮が剥離しない伐採葉枯し_マテリアルトリートメント工芸材利用
内皮の水分が抜けて樹皮は剥離しないが、自然乾燥による収縮割れはおきる。
(大和合地区羽山木彫工房・羽山良樹 20160429 )
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