「木」の道具・工具 | ハンドツールコネクション | 木工
三ツ目、四方錐 指物用和錐 ハンドツールコネクション-7
阿部蔵之|木とジョイントの専門家
江戸から昭和50年代時代まで続いた手作り錐(並もの)。打釘(木釘・つの釘)を合わせ、下穴手揉みがかなりの重労働でした。電動ドリル、ハンドルータに主役の座をうばわれ、わずか桐箪笥・桐箱職人の道具箱の片隅で密かに生息
錐は、東京近郊 川口(旧青木村)が産地でしたが、接着剤の発達で木釘とともに需要が無くなり衰滅。刃先(穂)は、研ぎ出し、鉛筆削りが出来るほど鋭利に仕上げます。回転ドリルによる穴あけとは違い、木釘が木部に食い込んで一体接合になる。桐や檜、朴・欅無垢材の手仕事は、鉋かけ仕上げができて、削り直しや修復が可能。和釘鍛冶・錺金具職が再現出来るように 現物をストック。
① 四方錐 (角) 「ケサ」印 鍛造 並品 (1990 )
・桐箪笥「足釘用」 3寸 150mm L 首元 4.2 x 4.4 x 95 16 – 17g @ 1,700-
・桐箱、掛け軸用 2寸 120mm L 首元 3.2 x 3.3 x 70 7g @ 920-
3寸5 分 105mm L 首元 2.6 x 2.7 x 60 3g @ 820-
「秀行」銘が一本、この他 小釘・軸釘用 一寸五分 など
*サイズ別名
寸五= 小々、二寸= 小、二寸五分 =中、三寸 =相、三寸五分= 大
② 三ツ目(三方)「ケサ」印 ピアノ線使用 並品(1994)
・大 142 mm L 首上 85 mm 軸元 5 x 3.6 先端切り刃 4.4 x 14.2 軸径 3.4 10g @ 1,700-
・小 98 mm L 首上 50 mm 軸元 3.2 x 2.5 先端切り刃 2.7 x 10.0 軸径 2.2 3g @ 820-
サイズ別名
小、中、大、小通、中通、相通、大通
*購入:浅草橋「森平」他 1991-19940629 ABE
壺錐:丸穴あけ用
サイズ:一分、一分半、二分、二分半、三分
釘頭隠し化粧、金具取り付け等に使用。この他、木ネジ用などに「鼠錐」があり、安価で小さな刃物は著名な鍛冶作品になりにくいものの、産地に錐鍛冶職の記録が残されているとので詳細が判ると思います。
最上物:手揉み錐といえば東京では、「あらい」銘が最高品でした。
錐鍛冶新井行雄作品 掲載印刷物:
「手作りの錐」道具曼荼羅 毎日グラフ(毎日新聞社)連載記事 文 .村松貞次郎 / 写真. 岡本茂男
書籍化 昭和53年(1978)発行本「続・道具曼荼羅 錐 p.50 – p.53 」
桐箱物・和家具の制作・修復には、この和錐と木釘、続飯が必要です。錐寸法仕様は、木釘サイズに合わせた規格です。和錐は専門職人がいなくなり残念至極。現在、伊勢地方に若い和釘職がいますので再現可能です。「キリ」のない話しになりました。
錐を使う打木「木釘・空木」などについては次回に、
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木の総合学研究 2015 – 2019 「打木用ハンドメイド和錐」「日本の木工道具・刃物」
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