「木」と環境木の内科薬用樹木

ヤマネ冬眠所となった朴の木板材・木屑乾燥テストボックス

阿部蔵之|木とジョイントの専門家

「朴生板材一寸厚・4尺を冬期オガ屑乾燥、芯材鶯色の褪色や水分抜けはどうなるか」テストは、3シーズン後から想定外の天然記念動物ヤマネに侵入占拠されてしまい、ヤマネ営巣・生活行動観察記録に。

 ホウノキの目詰み優良材(115 yrs.)を製材、深鶯色の上等材質を綺麗なまま自然乾燥するために、おが屑初期乾燥を試みました。結果は、ヤマネさんのベットルーム・トイレ付き冬眠ハウスになり、テストは中断となりました。

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 日本固有種のホオノキ・辛夷は、黴や木喰い虫がとりつきにくく、材色変動が少ない。乾燥干割れや収縮も少ない、緻密で安定した材質が特徴です。
朴樹皮片耳付きで初期自然乾燥を促進するため、辛夷製材後の自動鉋盤木屑を特注段ボール箱に詰めて自然乾燥テストをしてみましたが、いつの間にかヤマネが侵入。
段ボールABF : 300W x 550H x 1,300L mm   朴:115 yrs. 佐久地方産出、三郷木材センター出品原木丸太 20031124、製材20031208
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ヤマネ排泄物により黴・変色が発生して自然乾燥MTは、中断オジャン

 天然記念動物ヤマネの冬眠実生活は、人気があっても見つからない安全な塲所を選びます。掃除や荷物の移動時以外は発見できず、その生態は詳しく分かりません。始めて段ボール乾燥の中に見つけました。
蓋を開けると寝室とトイレを両隅に離して使用。出入口位置と穴サイズをかえ、自然換気孔を使い別ける工夫。テープシール二個所の穴空けは避難口兼換気用でした。小さな穴から枯れ葉を丁寧に運び込み、壁際に集め重ね布団の寝所。朴のフロア無垢材と辛夷削り屑敷き詰めは、抗菌作用があり暖かく、衛生的なワンルームという居心地が抜群の理想的な住環境でした。
毎年、冬眠にため林縁の人家に入り込み、同じ塲所には居ないのですが、この段ボールハウスは連続使用で例外。ヤマネの人里接近理由、きれい好きが分かりましたので、よかよか無罪としませう。
 MT=Material Treatment
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 5年4ヶ月のおが屑乾燥の結果:
・自動鉋盤木屑は、オガコに比べて粗く間隙空気が多く、2年ほどで黴臭くなる
・芯材部は綺麗な青味鶯色を保持、白太は褐色に変化
・シール段ボールボックスから取り出し、外気に触れると10-15分で収縮芯割れ。湿気感度は鋭敏でした
・MT:芯央には割れ止め塗布し、耳はカットしておく。樹皮付き自然乾燥は、白太周縁層への色素移動が起きる
・朴葉には抗菌成分があり、食物を包むが、木材部の青色色素にも同じ成分が含まれ黴や木喰い虫がつきにくい。震央部+木口割れ止め処理(刷毛薄塗り)屋外平積みよりは、立て掛け室内乾燥がベスト
・柔らかく緻密な材質で刃物当たりがよい。収縮・反りや捩れ変形は少ない

ホウノキの香り・芯材色素成分の高度利用、色は薬理化学成分

朴葉や樹皮には、抗菌成分があり食物包み、漢方薬成分として利用されてきました。抗腫瘍作用、消化器疾患や精神神経症薬に使われ、更に中枢神経に作用し筋弛緩作用もあるという研究レポートがあります。

芯材色の違い_個体差、生育地環境の影響

鶯緑色の芯材部は、広葉樹の中でも珍しい固有色。会津地方の先輩職人から聞くと、戦前までは紫色系がほとんどでした。

戦争軍需で高齢樹大木が無くなり、戦後出材の鶯緑色変化には生育地の環境要因などが考えられます。キコリの友人は、紫芯材の伐採経験あり。
(樹皮や芯材部色素は、樹木自身が持つ損傷治癒・感染防御の代謝薬理成分です。箱・抽斗などの収納保存適性、刃物のガードには、微量の香油成分が持続作用する効能があります。
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*ホウ油(精油75%)は、重厚な揮発香気が強く抗菌効果・防腐性があり、香料メーカーから入手できます。最近、ホウオイルを混ぜた防カビを謳う化粧品がでてきました。(女肌に憑く黴?あるんですね。)
それからは材料の間や収納家具の中で過ごしています。
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もくれん科ホオノキと辛夷の木の内科について、材色組織変化・刃物当たり・収納保存性能などは別の機会に掲載。
© Kurayuki Abe, 2015

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木の総合学研究 2015 – 2019 「ホウノキ材の辛夷おが屑乾燥」「山鼠の冬眠」「ホウの木の芯央材色違い」

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