「木」と食「木」の道具・工具ジョイントシステム木工

古代製塩木具が現代に活きる仁江 揚ヶ浜 食を繫ぐ循環自然素材と割楔 木工ジョイント-13.

阿部蔵之|木とジョイントの専門家

海水を汲み上げ担いで塩田に撒き、釜で塩木を焚いて製塩する古来からの木の道具一式。木の柄を篦に接合固定する方法は祖型をどどめ、カイ桶(汲み桶)・打桶(撒き桶)・柄振(攫い)・コミ(掬い)・舟枠と濾し藁、燃料薪 すべてに人力・地場自然素材が使われていました。海から人、森林大地まで繫がる副作用のない食材と素材循環のシンプルなネットワーク・枘留め技法を観ることが出来ます。

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釜焚き屋の壁際に灌水を濾す組立式の濾し舟と海水溜め引桶、塩木(薪)    940818 ABE
塩田浜人 南さんに伺った話。1994年(平成6年)盛夏
「古式塩田・木の道具 桶は杉、砂攫い・掬具(自作)には欅かサクラの堅木が良い
 ・塩砂を掬うコミ(鍬)は薄平、柄の角度・使い勝手が少し違う
・篦固定は裏面割り楔留め、篦の首(蟻型)にかけて藤蔓で柄にかがる昔のままの形
・柄の接合固定に割り楔を使うのは、裏面突出部は砂かぶり程度で痛んでも据え替え簡単 あり合わせの材を有効活用し、原初的でシンプルな加工・構法で造り込み過ぎず使いこなす「かろみ」に注目
・灌砂水濾しは藁編み 煮釜の焚物は、近くの山林から集め、地元の人も持ってきてくれる他に木造建築解体材を
・木灰は畑に
・塩販売だけでは生計が立たないので民宿兼業。古代のままの貴重な浜揚げ天日製塩を続ける」
潮流の綺麗な先端天然塩の味はまろやか。天気任せの手仕事は、現在も引き継がれ、活きている歴史の大事な原風景です。
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 この日は灌水撒き直後、夏休み家族キャンプ旅途中の見学取材です。当時は訪れる人も多くなく、静かな能登先端海岸に自然のリズムで循環的暮らしがありました。今月から、奥能登半島を舞台に朝ドラがはじまり、見ると釜焚き小屋が改築されています。藁葺き屋根の形、煙出しはもう見ることが出来ないプリミティブな姿ですが、藁を押さえる縄を見ると韓国伝統農家建築の「草家ソトン」と同じよう。21年間の変化は、浜士の衣装・工業建材の建物と商品パックに会社化です。

 古代、能登半島先端に諏訪族が上陸し、薙刀鎌打儀礼や「お舟」が伝わる諏訪神社などの習俗が色濃く刻まれている地域ですが、内陸信州諏訪までの伝播・ルーツが共通の祭具・遺構に見られます。
狼煙町から黒川へ入り、優れた手仕事を取材。豪壮な上時国家住宅・家具調度、能登天領黒川中谷家の漆工品遺産・漆塗り蔵、山間部の民家集落に素朴な建物が多く里山景観が秀逸でした。
*柄付き耕作道具「鍬さし(木柄・篦造り)ブナ柾・楢材農具木工」ジョイント機構の実測図面化中ですが、木の大学講座用の写真・図面資料を準備しています。
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木の総合学研究 2015 – 2019   「木の天然製塩道具」「割り楔・蟻頸 木のジョイント構造」「塩木と食の生活文化」

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