動けない樹木は、樹皮の臭い発散で接近回避、美味しく見えない装いへチェンジ。すべる舌触りと黴擬装で非攻撃、嫌忌専守防衛。群生林地では危害発生が樹間伝達され一斉に抗体反応でダメージ回避。非攻撃、受動的、静かな逞しい生存防衛。動植物レジストを繰り広げる林相フィールド
当地では野生日本鹿が増え過ぎて餌がなくなり、2007年冬から、自然林内樹木の幹を囓り出しました。檜・杉・落葉松を植えすぎて野生鹿も減らず、現在では、僅かな自然林縁の幼木・若木を喰い尽くす勢いです。
水木は一番早く喰害にあい、続いて天然檜、マユミ、ズイカズラ、山桑、唐桧、そしてニセアカシアや栗まで角で傷を入れ、樹皮喰いあらし拡大。白樺・山桜・楡・タモ・サワシバ・オニグルミ・楢類は囓らず。白装束は、樹皮が柔く、割裂して厚く硬くなる前の若木ばかりですが、高樹齢の樹体は、厚い内皮コルク層をごっそり剥がされてました。水木・赤は濁オレンジ色、(青)は、緑褐色の樹液を分泌して傷口を塗り外気晒されを防いで假樹皮を形成、傷肌が深いと黴枯れ。更に、弱ると木喰い虫が取り憑く。15年程の小径若樹は、深手でダウン。
70- 50年生の水木(赤)樹液分泌 20140513AQ
落葉松人工林に侵入して広がった水木の群生林の樹齢20-30年生が樹皮を角で突き裂かれて囓られはじめ、数ヶ月すると元から枝下まで白樺のように白化粧してきました。
2014 春・秋・冬の対囓ホワイトガード
白装束は、樹皮が柔く、割裂して厚く硬くなる前の若木ばかりですが、高樹齢の樹体は、厚い内皮コルク層をごっそり剥がされていました。水木・赤は濁オレンジ色、水木・青は、緑褐色の樹液を分泌して傷口を塗り外気晒されを防いで假樹皮を形成、傷肌が深いと黴枯れ。更に、弱ると木喰い虫が取り憑く。15年程の小径若木は、ダウン。
一見、黴のように微細。柔らかな産毛繊維状(1.5 – 2mm)が樹皮から吹き出し、指触りはビロードのようにしっとりしなやか。粉だけを集めて嗅ぐと、青苦い臭い渋味。鹿は、このホワイト吹きだし部は囓らず、水木の樹皮防衛分泌物でした。日本植物病害事典にはなく、病班・糸状菌や衣病ではないようです。(アルコール・有機溶剤に溶けず、臭木物質)何かの薬理作用が期待できます。
樹皮害傷をうけるとダメージ部をカバーする樹液を分泌しつつ、二年目の春に表皮治癒・リカバー。若葉が繁り回復すると、瘡蓋もでき、分泌したガードパウダーは次第に消えていきます。この粉末は苦い匂いを放散。
2年目の樹皮治癒
この春、此の樹下で子鹿が倒れ餓死。山烏が食べ尽くしました。
3年目には樹皮のキュアが完了 内皮コルク層のリカバーも進捗 樹皮表面の白班もほぼ消えました。20150725 – 20151110追記
4年目の春 快復が進行しています。20160428
水木の樹皮切傷治癒
春先、日本鹿の角で樹皮に傷がつくと、内皮から樹液を出して塞ぎます。樹液には糖分が含まれ、オニグルミ芯央のように空気にふれて、酵素によるオレンジ色のゲル状被覆が現れます。追記 2024/05/16 Kurayuki Abe, 2004
健常な樹皮と枝葉
伐採後の芯材色素移動
水木20040817 田島町荒海近在産出・チップ原木丸太:3本口 – MT – 材面カット20150521AQ
水木は、木部が白く年輪があまり目立たない均一材質で、こけしなど工芸品細工に多用されてきました。樹皮損傷は、木部の劣化変色を起こし、傷病は、成長とともに樹体内へ痕跡を残します。大径木が少なく、材色は無地の白木(素木)で清潔な質感があり、節元芯央に赤身が入ります。材質細部の特長は、別稿で記載します。
森林樹木を荒らせば、人心が荒廃。川や森を見れば、住人の資質が判る。
県内全山、杉・檜・落葉松植林。キコリの姿はなく、間伐手入れは行き届かず。広葉樹種は狭い空白・傾斜地でニッチ混生し生き残ります。地勢を無視して、経済性優先の偏種過植林の影響が目立ち、補助菌、向腐菌も拡がりました。「施業は背業」となり、此の国には生涯勤務の森番がいないのです。
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木の総合学研究 2015 – 2019 「樹木の生体防衛反応」「木の内科・皮膚科」
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