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緋桂優撰・青桂嫌棄「桂」赤青・固有の材質とクオリティ | 香木・メディカルツリー Insight 木の内科-14
阿部蔵之|木とジョイントの専門家
葉・花・実・種・樹皮の「外観・外相分類学」ではなく、樹体内に入り、カット後の生体経時変化、クオリティ、固有の性質を診る樹の内科は、まだ未明・不明・未開。日本オリジナル種「桂」の専門書はなく、樹木の内相は「ナイカ」。ミクロ細胞観察やDNAに跳ぶ前に、空白・未開のフィールドに踏入ります。
明るい赤身を帯びる「ヒ桂」は、見た目に温和で柔らかく均質。陽に当たると赤身を増し濃色に変わるので「ヒガツラ」。「青桂」は青白く、黴などの変色を起こし木肌木理が綺麗でなく、鉄砲虫が入りやすいなど「陰質」で敬遠される。明らかに「ひがつら」と「青」には材の資質違いが明確。静温・柔和。大人しく、派手で個性的な樹木ではありませんが、日本の自然風土を映し顕すような雰囲気のある素質。専門書では、赤青樹皮の色違いとしていますので、固有材質の違いを内科からレポ。雄木の花芽の赤身は芯央材色に蓄積され、雌木は、白く蒼身がかかります。蓄積製材所で丸太に取り憑くのは、小職と昆虫コレクターだけでした。 
カツラ原木(岩手県宮古市産出)元口テッポウ虫ダメージへ芯央から抗体出動の色変が見えます。
トレーサビリティー記録:2007年11月伐採木 三本口:A 元口72 cm ~ 末口66 cm x 2.4m L ¥71,800 – B 元口 60cm 末口58cm x 4.4m L ¥101,380 – C元口22cm -34cm 2.2m L ¥13,289 – 盛岡木材流通センター 20071115 AQ
特優材質:日本固有単一樹種「カツラ科カツラ屬」
冬・春材と夏期生育ギャップが少なく、均等な材質で加工し易く、安定し狂いにくい。彫刻、洗濯張り板、製図定規、箱・抽斗、漆器木地、碁盤・玩具・生活用品、計装 等 実に多用途でした。大径木良材を切り尽くし枯渇。家具など用材はプラスチック・アルミに代わりました。塗装性は最上のランク、桜に比べると刃物が痛みません。木口には、てっぽう虫の孔や伐採後のセルフキュアー・芯材色素の放射移動がでており、樹体内の組織・材質見立ての手掛かりとします。製材過程で、白太へ芯材からの色突出がみえます。今まで「商材」として扱ってきたために、木目・物性・利用価値等で評価しているだけでした。
ヒ桂 太陽光で赤身が拡がる 製材:安曇木材 20080323-28 MT: 20080401-02 ABE
通常の見立てでは、オニグルミ・黄蘗と同様、樹皮が厚いほうが材質は優れている。落葉広葉樹種の中で最も枝下が直長で大径木になり、水辺近く日当たりを好む樹。連続したハート葉は芳香を発散し、樹の下に来ると気分が良くなります。山里では、この葉を乾燥粉にしてから練って線香にしたので「線香の木」と呼ばれました。(美麻村他)

盛岡木材流通センター土場 木口年輪や幹の形状から中身を判断する原木検太 20071115 ABE
木材市場に並ぶ原木丸太の木口は、伐採から時間が経つと黒く変色してくるので原木内部の読み・判断が難しい。この時期、プロでも雨雪模様では判りません。綺麗にカットし室内保管すれば評価も上がるのですが。実際に木取り・自然乾燥後に削らないと外見からの材質見立てが違うことがあり、丸太買いはリスクが大きいようです。伐期が一番影響しますので、紅葉の後、冬の新月伐採、出材が望ましい。切削加工・材質バリエーション・色素・物性の検証はこれからです。道材大径木は切り尽くして、保護地・演習林からの産出が稀少になりました。桂の巨木自然林 / 菅名岳二又沢、連続周辺のブナ林は、まだ残っているのでしょうか。
青桂 製材:安曇木材 20080323-28 MT: 20080401-02 ABE
青桂 鉄砲虫入り
桂材対比 「ヒ桂」と「青桂」
佛壇欄間彫刻作品(緋桂)・ミシン挽き抜き 13代國政作
木部は均質で年輪がはっきり出ないので、さくさく刃物当たりが良く、導管は微細、品のよい材質感。軽くて綺麗で加工し易い日本固有の貴重樹種。桐には真似の出来ない表面塗装、彫刻造形性が賞揚されました。煌びやかな葉・プロポーションの良い樹形は芳香とともに心身を爽快にしますので、一本植えればヒィーリングツリー、メディカルオブジェクトに。
桂若木ピンク黄葉 20101022ABE TREE 樹形は、遠くからも森林内で識別できる独特の風貌です。
カツラ巨樹洞 シンボル遊具:新小岩 あすなろ幼稚園 20100521AQ 樹高24m 胸高径2.4m 推定樹齢 240年 希にみる大木の空洞木の株立 ¥ 1,557,000- 産出地:大内宿中山地区・国有林 平成8年11月オグラ木材伐採/立木販売
松本市中心部・住宅庭木の桂大木 一年後に樹冠をちょん切られる。林地に泉池あり、桂好みの地質。ここは古代湖でした。桂葉地下水脈の在処。
市内美術館の景観植木 コンクリ・石・アスファルト固めで葉の先まで根張り出来ず、
土壌に有機栄養分なく樹勢弱まり病班葉
重篤桂並木
桂樹皮科のダメージ:樹皮にイエロー苔衰弱サイン・黴菌取り憑き。枝過剪り・水分不足・不適地でだいぶ弱ってきています。枯れ死近し市役所城堀端通り 20150625 ABE
過剪定枝切り・コンクリ締め水不足 真夏の枯れ瀕死 20160825AQ
桂群林の芽吹き色 樹形 樹皮( 緋桂と蒼桂の差 )上空からの識別 20160417
雄の木の材色:緋桂は脂気・光沢があり、雄木の花芽は赤身が強く材色に赤身緋色が入るようです。
ピンクは上空から識別ハッキリ、下からはわかりにくい。20160427
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木の総合学研究 2015 – 2019 「カツラ内科」「桂製材」「桂」の空洞木利用・景観 「桂並木の衰弱サイン」「Hard Wood – Insight」
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