「木」とともに生きる「木」と健康「木」と医療「木」と環境「木」と食「木」の文化「木の力」恩恵日本の自然色木と人間の関わり木の内科木の総合学木花・木の実樹木調査薬用樹木

ホウの木・日本象徴樹のユニークな樹性と実力 | 刃物が錆びない鞘材、食物を包む朴葉巻き|ブロック材マテリアルトリートメント-04  Insight 木の内科-19

阿部蔵之|木とジョイントの専門家

日本の風土を表す木のイメージカラーを選ぶと言われて、真っ先に朴の芯生材色・鶯色を選びたい。葉枝樹皮には抗菌駆虫の薬理成分があり、虫黴びを抑制。刃物当たりや木味よく、自然乾燥早く安定し形崩れしにくい。

成長伸び繁殖力は順当で、芳香・清潔感あり、防菌収納保存性能も高い。優れた素材力、収蔵保存・遮蔽性能、ダメージ修復、医療作用も発揮する日本象徴樹としてあらためて再評価、再認識することになりました。

林地では存在感溢れ、健やかで衛生抗菌、滑らかなテクスチャーで優れた物性をもつ有用自然循環樹であり、鶯緑材色は他に同類はない特異な材質です。緻密な抗菌材質は、湿気の多い日本の風土に最も適応した国産ネイティブツリーの代表格です。

真っ直ぐにのび、桐についで大きなユニークな葉形ですので林内で際立ちます。葉は爽やかなアロマ芳香を蒸散し、動けない植物の自己防衛機能を備え、バランスのよい枝張り。おとなしい優れた質質、他に類のない鶯グリーンの材色、虫黴びを防ぐ薬理成分を含む樹皮など、多くの特長を持つ日本有用樹木の典型です。

陽光あふれ、水気のある斜面を好み葉を沢山拡げドンドン大きくなります。あまり群がらず、ほど良く離れて点在。地面の独占排除はしないで生態圏エリアを他の樹種と共生し棲み分けます。徒党を組まなくても生きていける強靱さがある、穏やかで平和な落ち着いたノーブルツリー。立木は、クリーンで親しみを感じる健やかな装い。春はパックリヒンジで芽吹きです。

P1070103

朴花 会津西方沢地 20100610 AQ

①日本固有種で成長が穏やか 陽光を浴びる水気のある肥沃な地質に育つ植生範囲が広い陽樹
②健やかな成長で大規模に群生せず点在、周りを被圧したり排除しない 林床がクリーン
③芯央材色は、固有の鶯色褐色(世界でも固有のグリーン材色で、Ho Green,Uguisu Green としたい)
自然乾燥酸化に伴い蒼灰褐色へ変わる 蒼紫の芯材色素が芯央部だけで無く中間部にも階層蓄積分泌され、蓄積し消えない

④均質に肥大成長し、秋冬年輪層は特に薄く、木目は目立ず、冬目は微細線状で硬くない年輪層となる 微細な放射組織は年輪層を貫通し、細幅で整列柾目状に見える 密度は高いわりに重くなく、しっかりした木部となる
⑤白太辺材が小幅、芯央部が張り樹体維持の自律活性度が高く、疾病・損傷・劣化が少ない
⑥抗菌成分を含有し包装保存性があり、衛生的な材質
⑦材質が緻密で刃当たりがよく、刃を傷めず切削性が良いわりに切端材面はしっかりしている
⑧接着・塗装性に優れているので下地ベースに好適
⑨木肌が平滑・綺麗で素木のままで箱物に使える 木型モデリングに適している
⑩素速く水分を吸収し濡れ、手に馴染みホールド感が良く、木肌が人の皮膚面に近い
⑩自然乾燥で十分に平衡含水率へ下がる 収縮変形・反り捩れが少ない安定した素材
⑪葉や枝幹に含まれる木香精油成分に殺菌・抗菌作用があり包材や医薬に使われている 香感 Hou – leaf oil
⑫樹形枝振り整い、花弁は優雅で蓮のように大きく立派 初夏に目立つ姿はおおらかで上品な雰囲気がある。

原木からの製材カット・トリミング・シーズニング・MTマテリアルトリートメント 木歴・木録

ⓐ 朴  115 yrs. 原木丸太  元口径 520mm x 4.1 m L  芯央部鶯濃色・目詰り良材

P1210701-1P1210702-1 P1210703-1P1210707-1

生材は、フレッシュ鶯カラーですが、空気に晒されると酸化し次第に蒼身が褪色。芯央部が張り、白太辺材幅は狭い。乾燥により芯材色は、くすんだ緑灰褐色が濃くなるもの灰蒼褐色系と紫系茶褐色に変る赤茶系に識別されます。損傷ダメージ部位を治癒して色素が集積、バリアー包囲。

P1050308-1P1180572-1

佐久地方産出 20031124 三郷中信木材市場落札 2004031223製材 20040319 – 0410 木口カット MT 板材30mm – 46mmT ダラ挽き   元玉に小節・入り節あり

P1050288-1P1050291-1 P1050174-1P1050166-1

ピスフレックへ蒼紫色素集積・ダメージ治癒変色部あり 空気に触れ乾燥で芯材色は薄れる   自然乾燥・オガコ屑内乾燥 空気に触れなければ芯材色の褪色は逓減       市場出品で伐期・産出地不明 芯央部からのダメージ部感知による色素移動セルフケアー浸潤が起きています。

樹皮の濡色模様は、湿潤な環境で生育した日当たりが少なく成長速度が遅い塲所を物語ります。 200312 – 200404 AQ CLE + FM2

ⓑ 朴 芯持ちブロック材の自然乾燥マテリアルトリートメント17年 割れ・捩れ反り褪色比較

枕木用丸太製材ラインでピン角材良材を選別し、木口柿渋・割れ止め3回、桟木積み天乾17年。
P1060435-1P1060430-1 P1060428-1P1010659-1P1060420-1

P1010667-1P1010675-1P1010681-1

朴 55 – 45 yrs.  2-3番玉 枕木製材ライン選木 産出地 岐阜県白鳥町近域 製材:小林三之助商店白鳥工場 90129 – 0310 – 20160317 AQ
白太、辺材部がほとんどない芯持ちピン角 干割れ・大割れあり 虫くい黴び入り変色は少なく 重い密度の高い材は芯部色が濃色、軽量・目粗材は芯材色は薄く芯割れ変形が起きる。MT マテリアルトリートメント17年 (密度比重軽量目粗材・芯割れ11.9 -13.4%  芯割り重い目詰材・芯割り 13.4 – 17.3% )

ⓒ 朴 大径木 90yrs. 700W x 3,200 Lmm 1983年以前の伐採長期ストック厚板 95 -55Tmm MT  20080607 – 0930

P1210698-1P1210699-1P1210695-1P1210694-1

トリミング2,100 L 奥会津地方産出 芯央部紫系色 クラック無し ピスフレック2ケ所 製材所内ストック中に2ケ所ピン虫入り 株元腐れ部から鉄砲虫、白太辺材部にピン虫 自然乾燥含水率13 -14% 優良サンプル材 MTマテリアルトリートメント 通常、虫入りが少ない朴に虫入りがある稀少例の木歴です。

ⓓ 朴 101 yrs.  20111006 福島県三島町淺岐前の沢 伐採:五十嵐林業 20111119 製材:会津坂下町堀木材

P1010449-1 P1010597-1 P1010456-1 P1010457

元口 570mm x 末口400mm x 8.2m L  伐採から一ヶ月経過  芯央グリーンからのダメージ個所へ色素突出移動痕跡、辺材部への浸透拡散が観られる。板目木理を製材挽き板材順で二本口木録

A

P1010584-1P1010585-1 P1010587-1 P1010588-1 P1010589-1 P1010590-1

B

P1010593-1 P1010594-1  P1010604 -1

・下段B:上層捩れあり、木理変曲が観られますが、木味材質色調は良上。 原木挽材ストック:工房ふるやぁん  古谷昭治 大田原市加治屋95 – 257

芯央からのピスフレックセルフキュアー損傷部セルフキュアー生体反応

打撲、切傷、虫黴び類の侵入で樹皮内皮層がダメージを受け、破壊されると感応してガード抗体分泌、治癒を始めます。年輪層細胞壁を貫通して浸透拡がり、患部を囲み抑えこむ。外側からは見えない生理現象ですが、芯部は損傷を感知すると蓄積している有色含有成分を送り出します。この材色・抗体分泌源は、株下から揚がっていますので、伐り下げて究明することにします。

セルフキュアーの発動は、伐採直後に激しく起き、次第に拡がって波状、突起形が現れます。どこから感知され出現するのか識別できないのですが、この芯央部からの生体保護分泌は、針葉樹や樹芯を作らない広葉樹では目立たず、芯材赤身、青、黒木が濃色であるほど鮮明な痕跡です。さらに究明します。

柿の分泌はタンニン成分が主体ですが、ターゲットを防御したり嫌避、防衛抗体作用を受け持つ分泌成分は、これからの興味深い課題です。

侵入微生物によるダメージ患部へ集まる色素は芯央色の他、コンデンス紫紺の色相もあり、木もじっとしてはいないのです。レジスト抗菌して治癒するもダメージは消えず、樹体内に色濃く残り刻まれる。材木屋は欠点材と呼び、パルプ・薪にします。

P1010197-1P1030841-1 P1030863-1
割止め塗布濡れ木口から内部の状態変化が読める。虫入り、胴打ち、損傷、目回りは大きく表れる。辺材境界へ色素移動集積、微細な放射組織に蒼色色素の染み出し部分が見えます。

朴の木は、伐採後木取りした後 数年間は芯央部から辺材白太にセルフキュアー色素集積を続けます。水分が十分に在る内は、芯央部は活動をしているのです。
20010509 田島町荒海チップ原木から選別 20010507 小椋木材製材柾目挽き 200110 – 20111116自然乾燥MT 木口カットトリミング割止め塗布濡れで内部状態を観察

紫から緑へ樹芯央の色素変化 木のカラートーン

昭和30年代までの朴芯央部の色は紫系でしたが、近年は緑色系に変化。現在では、紫色は希にみることがあります。落葉寸前の葉色は紫灰色ですから、この生成分タンニンを樹体内の取り込み芯央部に蓄積すると紫系になり、芯材に反映します。山の紅葉時に、高貴な感じの紫色を映します。

樹木は地面の成分を吸収して成長しますから、火山灰地に蓄積した腐葉土が多い日本では、くすんだ褐色の芯材色が多く、鮮明な濃色が少ない。国産樹木の色調は、この土壌の成分色に大きく影響を受け、褐色や中間色になります。赤色は日本では少なく、地面の酸化鉄分が反映している東南アジア材銘木にはこの赤茶濃色が多くあるのです。

湿気の多い空気のため空もくっきりせず、景観はかすみぼやける。中間色が多い自然環境では、自ずと樹木も同じ傾向を帯びてくすんだ色合いとなります。
朴の木色は、黄緑のような鶯色ですが、ダメージを受けると薄蒼い紺色素がにじむ樹芯で色素の集積がみられます。

会津地方では、昭和30年頃まで朴材芯が紫でしたが、近年の産出材は緑色がほとんどです。この材色変化は、生育地環境・土壌によるものと個体差があります。丸太製材を観ていると、水流近くに生える樹体には鮮明な明るい緑色の樹芯部が多いような印象を受けます。岩盤に生えた朴は材面が「梨地」となり、艶有り狂いにくいのでハイクラスの漆木地に。高地や峰、谷筋の地質違いか、酸性雨や気象環境の変化によるものと推察、色素成分の変化は生態環境の激変を示唆しており、地質による木材色への影響はまだ未知の領域です。

文化文政期の歌人橘曙覧は、鶯を「黄色(うぐいす)」と書いていますので、鶯さんも黄色系のカラーイメージでした。色相イメージや色観も時代とともにずれていきます。

刃当たりがベスト 刃物鞘・型板の最適素材

刃物当たりがほど良く痛めず、適度の材硬さがあり形崩れ少なく、抗菌吸湿性は黴び錆の防止にもつながる。銀杏・桂とともに布紙の張り板に使われた時代もありました。日本刀には朴の白鞘はツキモノです。

柄木には手触りホールド感触がよく抗菌性があり、庖丁柄や刃こぼれがないので俎板にも重用されます。刃物との相性、抗菌性繊維質、長期保存、水分吸収力は、「食」と近縁で共通するものがあります。

自然乾燥時芯材の色素移動集積 鞘師の専門的知見から再現テスト

P1060438-1P1060437-1 P1060440

芯材 – 白太辺材境界に色素移動セルフキュアー  朴101yrs. 三島町浅岐前之沢谷木20111006 伐採:五十嵐林業 五十嵐 馨  20110019 製材:堀木材

挽割り16 x (47)45 x 940 Lmm   合わせ自然乾燥テスト20111124   MT テントハウス内ストック 20160317 計測撮影 含水率 外側9.2 -9.5  内側7.2 – 8.4 %

P1010754-1P1060443-1 P1060446-1

芯材のみならば色素は動かない  22.5(21) x 80 x 950 Lmm  含水率 外側11.6 – 12.1 内側11.3 – 12.1%

鞘材の場合、ピッタリ合わせ縛ればれば狂いにくく、安定して水分が抜けていきます。二つ割りした木取り材を合わせ自然乾燥すると、芯材色が分離して濃い筋がでるため白鞘には使えないので、離して乾燥させるか、白太芯材だけにすればよい。自然素材は、芯張りですので白太幅が広いものを選別することも難しい。鞘用大径木は市場でも見かけなくなり、幅広厚板は貴重材となりました。

軽くしっかりした材質、切削刃物当たりが良く加工し易く、木肌がほど良い硬度で刃を痛めない黴びや虫が付かないなどから重要な品物の収納に使わない時にしまう白鞘は常備品で、拵え正装は外出・儀礼飾り、外歩き戦場用でした。

挿入刃擦り研磨効果もあり、刀装下地に具合がよく、良好な接着、塗装象嵌、金具保持力など、日本の刀剣刃物との相性がピッタリです。

朴材は、室内自然乾燥でゆっくり水分をさげて安定させ、クオリティを高めます。水を揚げていない秋冬伐採材のみを使用。朴の木は、伐採後木取りした後 数年間は芯央部から辺材白太にセルフキュアー色素集積を続けます。平衡含水率に下がるまで、十分な水分が残る内は、芯央部は静かに活動し材色が動きます。

P1020917-1P1020899-1

鞘師:三瓶宏夫  福島県本宮市長屋字稲多利52  工房訪問 20091115 ABE

鞘材について

芯材蒼身が張った丸太を購入、柾挽き蜜柑割り製材。一寸二分から一寸三分厚、ヤニはないが一年間風雨晒し、渋アク抜きすると芯材は色変化で白くなる。天乾は3- 4ヶ月。シーズニングは挽き割らないで室内乾燥。二つ割りあわせ乾燥すると鞘に接着線がでてしまう。(色素移動・集積がおきる)
白太部は、茶色がかるので使わない。辺材に比べ蒼身の芯材部は堅め。東北産に比べ北海道材は白身、出来上がりが白鞘となる。古墳の出土品刀劍に朴の木の鞘が使われており、古代からの用材が適していたということがわかる。

材質地域差

南会津地方の朴の木は、材質が優れており、佛具・漆木工品産業では品質上の高い定評があります。曲面の回転切削でバリ毛羽立ちがなく、木口曲面でも平滑な仕上がりになるので下地処理研磨が軽減される。(佛具制作 会津若松市鈴木木工所取材による)
(盛岡・岩手産出材は、繊維斷面方向切削で毛羽立ちがあり、サンディングが必要)多雪地域で強風ヨレが少ないため、成長がゆっくりで緻密な組織になるといわれるブナ赤も同じ傾向です。

形くずれしにくく味を損なわず朴自身も煮物も崩れない 自然循環系の素材相性

P1210692-1P1210689-1 P1210690-1P1210691-1
朴杓子は、野菜煮物を掬うとき崩れないので飛騨高山地方(久々野有道)と盛岡雫石地区では朴の杓文字作りが続いてきました。金属製お玉では煮物がくずれますが、朴の木ならば料理が傷まない。

ブナ、栗、梨材の杓子は、主に鍋汁物用ですが、朴の木には抗菌性があり調理器具にベスト。因みに、夏伐採木は、黴びで黒ずみます。*南部朴杓子制作:岩手県雫石町米澤邦夫 別稿で記載予定 20060624 – 1115 ABE

「朴研ぎ」適度の刃物当たりざらつきを研磨材利用に

P1060410-1P1060417-1
切れ足が止まった鉋刃鑿を朴の材面でこすると、またしばらくは切れる。研ぎ直す時間が無いときの木工職人の知恵です。朴の材質は、均質緻密でも繊維組織はさほど硬くはないので、木口切断面は、微少なざらつきがあります。

刃物当たりがよいことの特性は、逆に返り砥ぎ程度の研磨効果があり、庖丁研ぎも新聞紙で刃かえりをとることができる。因みに、普通の手のひら皮膚のこすりは 研磨紙#1200 – #1500 程度。職人の手は#1000アンダーぐらい。緻密な目詰り材の精密チップソー切断面では#2000手前ぐらい。生材でも表面の汚れ除去、下地調整に使えます。

朴木の葉包み 木曽・飛騨地方の食文化

P1080775P1080784

初夏の訪れとともに爽やかなあん餅を朴の葉でくるみ、蒸した郷土菓子や寿司飯を包む朴葉鮨が名物です。葉に含まれる抗菌成分・香りを活かしたもの。さらに、枯れ葉を塩蔵し、朴葉焼きの七輪炭火クッキング皿に使います。塩分で燃えない葉の香ばしい味わいが郷土料理に。

朴葉プロペラ遊び

P1210781-1P1210782-1 P1210783-1P1210784-1

葉をカットして軸先を作り差し込みます。勢いよく走りだして葉形バランスが良ければ回転。
コツを学び、ひたすら前進のみの身体記憶を刻みます。遊びの中に航空力学・工芸デザイン科目が潜む南会津地方山里の野遊びでした。

木工材料から離れ、新しいサニタリー医療領域・食・バイオ素材へのスコープ

朴には、セルロースについで繊維質ペントザンPentosansが多く含まれる。この繊維質は強い水吸収力があり、小麦粉に含まれ「ざらざらした食感、脂肪分離、ぬめり解消しっとり、長期保存を可能にする」などの作用が製パンで利用されています。

朴の木は、水近き塲所で抗菌性を持ち、水分を吸収発散して成長がよく、細胞レベルで緑(紫蒼)色素が生体ガードを発揮しているので高いセルフキュアー・生存能力を感じさせる。同時に、抽出成分や繊維質の水分吸収や抗菌保存性能、研磨摩擦刺激、香感整体治癒作用などは、これからの研究領域です。

虫除け抗菌性を身につけている樹木自身の自然セルフガード、キュアー作用は、人にもメリットや生体への穏やかな影響があるはず。貴重な樹種をさらに深く考究していきます。

色素・精油抽出成分は、香料・医療ケアー・保健衛生にマルチ効用を発揮

P1070168-1

朴精油(HO YU)の薬用成分は、樹皮・葉の抽出成分。抗菌、医薬に使われ、微量でも濃厚で強い揮発性でユーカリオイルやハッカ油に似ています。

この芳香は、気分を安定させ医療効果があるので藥剤に使われます。(*高砂香料株式会社精製品・業務用抽出油による)抗菌・駆虫作用があり、更に神経弛緩、安定作用も備えるとはたいした樹体です。

樹皮の漢方生薬「和厚朴」などの薬効は、立木そのものが抗菌清浄を保続する生きている装置、親蜜共生樹木として観ることができます。また、薬学分野の専門知識は豊富に公開されており、色のある物は何らかのケミカル成分が関与し、香りがあればことさら有効成分が含まれます。

朴枝葉樹皮抽出成分の薬理作用

抗菌、殺虫、鎮静、筋弛緩、血糖降下、殺虫歯菌、健胃、利尿、去痰、腹痛、喘咳、抗パーキンソンなど臨床応用。不安、精神緊張にも適応。大型葉形が対生で拡がり面積ボリュームが大きいので、薬理物質を健康医療に応用出来れば、新しい保健メディカルユースに繫がる。朴の木は、人間の生命維持リソースとしてもっと大事にされるでしょう。

立ち木から葉をむしり、飯餅を包み、樹皮を剥ぎ、木部を削り道具を制作。医薬・素材まで日本の山里の暮らしに欠かせない生活資材、財産樹として大切にされてきました。山中で枯れ木を観ることは希、ほぼ大木になる前に伐られてしまう。里に近いベスト生命維持資源ということが出来ます。古代から山国の生活樹でしたが、自然木のミクロ・内科的なアプローチを進め広げたい。

関連コンテンツ:

http://kurayuki.abeshoten.jp/blog/27812

・誰も見たことがないホウの木の分泌中枢| Nobody knows the secretion core  of HO tree_wood, amazing the vital bio-chemical reaction.  |株伐り下げで見えてきた抗体生成・分泌機能の仕組み_地下で生成されるバイタルケミカル 木の内科ー112

http://kurayuki.abeshoten.jp/blog/38291

木の内科ー112続

 http://kurayuki.abeshoten.jp/blog/38291

楢ぶな朴コシアブラ桜栗シデ 自然更新林相フィールドワーク 哲学の森・美麻村荒山林業北山

P1000140-1P1000236-1

同行作業:柏木工房 柏木 圭  (ブルーオレンジテープ巻きは、スイス森林官と荒山林業の森林管理選木マーキング)朴ノ落葉 清々しい自然林地 20111016 ABE

朴「ホウの木」 樹名考

飛鳥・天平時代は、「保寶之木」 太刀・劔の鞘材でした。樹名は、用途が変わり、時代を超えるものもありますので、現在の名称のルーツを調べました。

室町後期の新撰類聚往来 中巻 「具木名」108種に「朴ホウ」記載があり、日本個有のユニークな樹木の由来がハッキリしました。

具木名  文献:「新撰類聚往来 中巻」 丹峯和尚 作 慶安元年 1648   敦賀屋休兵衛板/ 京都 室町時代中期        三次市立図書館蔵・デジタルアーカイブス   2021/07/01  追記

*「厚朴」こうぼく ほゝの木  和漢三才圖會 巻八十三 喬木類   (江戸後期 正徳二年1712)

*「保寶(ほほ)」万葉集 巻十九 4204に「保寶葉(ほほがしは)」

*浮爛羅馗勒 (ホオノキ)明治31年5月 普通木工術」文部省編纂 文部省專門學務局 樹名表記

*ほゝのき    明治45年3月 「木材之工藝的利用」農商務省山林局編集

*朴材の性質化学的組成「セルロース・ペントザン」平井信二 「木の事典」 かなえ書房刊1979 -1982 木の大学講座講師 第六期 1991 「木」の材料学・木材学「日本の木 〜その物性と用途〜」

ⓒ 2016-2018-2023  , Kurayuki, ABE

All Rights Reserved. No Business Uses.

複製・変形・模造・引用・転載・画像転用・ロボット、Ai無用、業務利用を禁じます。

木の総合学研究 2016 – 2019 – 2023  「朴の木抗菌材質特性、衛生薬理作用」「ブロック材の自然乾燥マテリアルトリートメント」「木と香り」「Medical HoWood  」「生命資源樹・象徴樹」「鶯グリーン色の木材」

 

 

▼ お気軽に一言コメントをどうぞ

次の記事: