工芸木工

ウインザーチェアー ベストブック (追補2) ウインザーのマーケットで売られていた 轆轤・曲げ木部材の安い量産モデルは、機械加工・工場生産へのイニシエーションとなり、素朴なFolk handicrafts 民藝作品とは別物。様式家具の分類・識別は専問研究に依拠して。

阿部蔵之|木とジョイントの専門家

先日からWindsor Chairに関するコンテンツにアクセスが増えてきましたので、さらに関心を増幅するためにWindsor Style ・地方家具,カントリーファニチャーに関する名著・原書資料を追補しました。

Windsor Style は、他の地方で製作された意匠のうまいところや造形的な発展要素を取り込み量産デザインを発展させていますが、カントリーファーニチャー様式分類に関する既往の研究は多く、年代やルーツなど厳密な識別が必要です。

http://kurayuki.abeshoten.jp/blog/15119

Windsor Chair は、量産手仕事の工房家具からマスプロダクションへのシフト、デザインリソースとして近代工業量産家具デザインに大きな影響を与えてきました。

この地域名で語られてきたイスのクラシックスタイルは、初期アメリカ移民に受け継がれ、Colonial Style(植民地様式家具)、Country Furniture(田園カントリー家具), Shaker Furniture(シェーカー教団家具)へと造形デザインが洗練され、シンプルモダーンの源流となります。北欧デンマークの家具産業はウインザークラシックスタイルやドイツ家具の構造・製造技術手法を取り入れ、多くの優れたデザイナー作品が登場しました。スエーデンやフィンランドの量産モデルもリファインされてきました。

2005年を境にスカンジナビアデザインは勢いを失い低迷、数年前からはビンテージ中古家具市場が賑わい、最近では環境資源重視・エコロジーの浸透から、ソリッド Danish Modernへの回帰再興トレンドも目立つようになりました。

創作オリジナルデザインや革新は、長い時間を経て到達した輝かしい伝統の中から現れます。デジタル化された情報イメージでは実作感覚も育たず、記憶にも刻まれません。実物モデルにふれ、名著を手にすることから、次世代のフレッシュなデザイン感覚も磨かれていきます。様式家具の類形は多く、オリジナル真性を見極めるには、本物を数多く観ることが重要です。

ウインザーチェアーは、Beech 欧州ブナ・Ashトネリコ、Elm欧州楡材を用い、曲げ木・轆轤加工を含む手仕事で仕上げ、手工業、工場生産のイニシエーションとなりました。近隣地域で製作され、ウインザーのマーケットで売られていたので、そう呼ばれます。量産されていた安いものでした。日本では、大正期に民藝運動が起きると、この素朴な手仕事を職人藝とみてウインザー風として蒐集され、古い装飾のない削りもの、Primitive やカントリー農民家具まで「ウインザーチェアー」と呼びます。由来と様式の違いを知らないとはっきり識別できません。素朴な手仕事の民藝家具ではないのです。

専問研究図書も多く、High Wycombeには当時のイスを集めて展示する「Chair Museum」があります。

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木の総合学研究 2017   「Windsor and Country  Chair Making / Classic and Modern」

「 Windsor Chairmaker and Shaker Design」「Workshop Methods」「伝統クラシックスタイルからシンプルモダンデザインへのシフト」

 

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