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木竹新月闇夜の伐採 2018 「竹と暮らす」 クラフト孟宗竹収穫のフィールドワーク出動から 抗菌性オーガニッククラフト素材のベストハーベストシーズン 高地急斜面のガレ場竹林でキコルABE

阿部蔵之|木とジョイントの専門家

朔日、10月9日は月齢新月。良質材を収穫する竹工人竹取姫は忙しい一日でした。竹林は、高温・多雨の夏の成長時期に十分な栄養分を蓄積して越冬し、春に備えています。月が地球の反対側から引力で引っ張るので、地表の立ち木・植物は影響をうけ、水分を下げ生命活動周期や成長のスイッチ細胞の動きが変わります。

満月の夜は狂い易いが、闇夜は次の活動準備でスタチック。樹体は落ち着き安定。

秋冬が始まる新年度というこのタイミングで、樹体内細胞には防衛機能に有効な物質を生成して抗菌・防虫防衛機能やダメージ治癒物質を生み出す越年の準備ができます。建築・工芸素材では、材質がもつとも安定して耐久性が高まるだけでなく、艶やしなやかさ・強度も増す。択伐する事により竹林のリフレッシュ更新にもなり、林相の片付け手入れが進みます

闇夜の伐採は、人間の都合で延期出来ない自然の生物時計。

真夜中に伐るのではとても危ないから、実際は闇夜の当日ですが、夕方日没前が望ましい。伝統技能を継承してきた杣・木樵、竹匠の厳格なコモンセンスでしたが、現代では人間の都合で水を揚げている時も伐り倒してしまうので腐り易く材質は劣化します。一日ずらせばもう細胞は動いて変質します。

春先や雨期に伐採した原木を夏を超えて山積みして腐らせ、そのまま産廃処分している山奥土場を目撃するようになりました。効率優先で自然の姿や性質を無視しています。

竹は天然の傾斜組織材料。生物素材は、鮮魚・野菜と同様に旬・適期、熟性があるのです。

生命素材本来の魅力や品質はシーズン性で動きます。同じく、地上に立っている人も月齢で生理機能・精神作用が大きく影響しています。人間も同じように僅か一日で体内細胞の動きは変ります。ミクロでは、微生物も同様に動いていているのでしょう。

高地の森林竹林内の空気は清々しく、肺機能を高め、斜面は足腰腕筋・運動神経を鍛え、健康な汗をかき湧酸素労働。危険と隣合わせで雑念ストレスフリー、空腹にして内臓を丈夫にするキコリン労働は頭脳も活性化しました。野山は秋の自然素材収穫シーズン、頼まれなくても出掛けてキコルのが精神上もよいのです。古代ギリシャ時代の医学祖ヒポクラテスさんは「筋肉を十分使っている人は病気にかかりにくい。いつまでも若々しい」と。人里離れた自然林の中なら一層効果的でしょう。自賛ですが、鉈刃が使えず、この根元ギリ切り口はよか。

天然オーガニッククラフト素材の新月伐採・マテリアルトリートメント

竹細工職人(ざるや籠を編む人)は竹の伐採と材料の質について語ると
「木喰い虫は、切り口・節間から入り穴明け。いつの間にか貴重な素材がやられてしまう。とにかく、10月の新月伐採したものがベストで、それ以外に努力のしようがない。」という話を耳にします。

木竹喰い虫は、嗅覚・味覚が鋭く、ターゲットにとりつく方向感知能力は愕くほど。完全な防虫はかなり難しい。

新月伐採後、室内自然乾燥して春先まで水分を落とし、半年から 二年ほど材質を落ち着かせ熟成。伐口は柿古渋を塗布したり、殺菌効果と防虫性能のある生漆を塗り、更に材質変化を観察していきます。新しいトリートメント工房手法が有りそう。

オーガニック食材は野生の昆虫も大好きですが、食卓の食器やカトラリーがプラスチックとかステンレス・ニッケルシルバーメッキでは少しバランスが崩れます。

 

G重力の逆相・新月伐採木の特質 オーストリア山間部に伝わる産業用材知識の共通性

Erwin Thoma 著:「…dich sah ich wachsen」  1996   (…私はお前が成長するのを観てきた)

St.Johann/Pg. Austria  Edition Grüne Erde  ISBN3 – 90172700-0

日本誤訳「木とつきあう知惠」宮下智恵子訳 2003   地湧社  東京神田    ISBN 4 – 88503 – 173 -1   ¥2.500-

森林国オーストリア山村でも新月伐採の知惠が伝統的に残されています。「木材」の本質を解説したベストブックがあります。

新月伐採木は、木喰い虫や腐蝕菌が着かず、狂いがほとんどなく、艶や着火耐性、耐候・耐久材質が優れているというキコリ製材業者の知見が実証され注目を集めました。新月伐採の木竹は、工芸用材としても優れた使い方です。日本国内では、彼岸をすぎれば水揚げがとまり、厳寒期の新月に伐採するのが木の材質がベストとされています。魚類も月齢による生態系にあわせた漁撈手法があり、地表層の生き物は月の動き、重力とともに生きてきました。

月が地球の裏側へ回り、根元が月とダブルで引力の影響を受けるのは同じ現象で職人の伝承知惠でした。現在では、採り旬・シーズンを無視して伐りまくります。

「虫黴とりつき、腐りやすい」のではなく、採り旬伐期・材料管理は間違いだらけ

竹は表皮にダメージ損傷を防衛する層があり、強靱で油分と抗菌性があります。炭火で炙ると遠赤外線で軟化し曲げ加工ができ、十分に白焼きすると黴びにくい材質になります。内皮から芯空洞部へ徐々に細胞が大きく肥大し、節で締まり、倒れたり折れにくい傾斜材料なのです。

私の治験例ですが、材種では奥会津ブナ赤(原木丸太製材10本)は、伐期が8月末でも問題はなく、その後のナチュラルシーズニングの材質は安定しています。ブナは腐り易いというのは大変な間違い。雪解け春先伐採、梅雨原木搬出、夏土場積み、秋口市場出品、取引・冬塲製材という素材管理・流通に大きな問題がありました。いつの間にかブナは腐り安いというイメージになり、震央部の赤身擬芯模様(牡丹)を腐りとみえ、単価を安くする口実にされ、更には製材乾燥すると消えることが伏せられ、安物材とされて乱伐し、資源枯渇で伐採禁止の歴史があります。欧州ブナは良質の堅木材として高い評価を得てきました。本来、国産ブナ材(赤)は最上の優れた材質なのです。

蕎麦食と囲炉裏火伏せ

余談ですが、Erwin Thoma 氏を迎えた懇親会の席では、興味深い山里の生活技能の話題がひろがりました。

オーストリアの木樵は、森林伐採に入るとき、小屋掛け野営して塩漬け豚脂身と蕎麦粉だけで食事をして過ごしました。囲炉裏天井に火伏せの男根模型を飾るなど、南会津地方の習俗・生活文化とよく似ているそうです。(小職が司会をした「Erwin Thome 新月伐採講演」にて 2003年9月23日 主催:福島県舘岩村オグラ木材)

■孟宗竹の新月伐採 2018年10月9日  ( 高地急斜面ガレ場の細石混じりで、山側元口に手鋸が入りませんでしたのでカービングミニチェーンソーを使用し突っ込み伐り)

■伐採地:竹林の多い富士川流域 山梨県巨摩郡平林村内 (旧増穂町平林地区 現在の富士川町)

■工房 竹と暮らす 沖原 紗耶 ■暮らしの工芸 上田 裕之(鍛造)

「竹のカトラリー」クラフト作品の創作を広げている有能な次世代工房制作者です。天然素材のオーガニッククラフトは。環境・資源や人体への影響度では資源金属やプラスチック製品を凌ぎます。有機食材にふさわしい食卓のアートクラフトを手がけています。

http://kurayuki.abeshoten.jp/blog/22364

■虫喰入り予防のため、 伐り口に生漆、節間に柿渋(古渋)を塗布しました。20181015 ABE

竹喰い蟲の記述がありましたので追補します。

孟宗竹の心くい蟲・竹材の被害甚多く、「とび」心喰い蟲は梅雨期に入る(苦竹・京都)

「がっとう虫」(竹の紅カマキリ) 八十八夜まで屋外に置いているととりつく

東京の孟宗竹には心喰い蟲・緑天牛が発生する

予防法は記載無し

S;「木材之工藝的利用  p.139 農商務省山林局編纂 明治45年 1912発行

竹細工の現場で被害はひどく、匂いで飛んでくるのか、ピン蟲のように跳ねるのか、確かめます。

ⓒ2018 , Kurayuki Abe

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木の総合学研究 2018  「オーガニッククラフト素材・孟宗竹の新月伐採」 「木竹新月収穫の生活民俗知識」

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