「木」と産業デザイン木材品質表示・仕様産業イノベーション

家具の品質評価 Möbelfakta マーキングシステム | スウェーデン家具の基礎研究・性能評価、推奨制度は1950年代からはじまり、北欧家具の品質デザインを高め、ISO世界標準化機構TC-136テクニカルコミッティーを主導する主幹国となる | 参画のための準備作業「家具設計のための開閉機構とハードウエアインフォメーション」箱物家具の基本構造分類 ヒンジ+ キャッチ編作成 1981 – 1982

阿部蔵之|木とジョイントの専門家

寸法・仕様・性能試験による家具の品質デザイン選定、消費者への解説と推奨制度は、1950年代スウェーデンから始まり各国へ浸透。安全な製造物責任、環境保護、社会的・倫理的責任まで行動規範が求められるようになります。

次世代の家具デザイン・製作者は、基準品質として多くの重要な知見が集積したこの世界レベルの規範を学びとり、時代の要請へ高度のインテリジェンスでプロフェッショナルワークに活かしていただきたい。

möbelfakta deklarations-anvisningar 1978

メーベルファクタ「家具の事実」申告表示の解説

möbelinstitutet Stockholm スエーデン家具研究所公布

目次(見出し項目)

1 インフォメーション
2. 通則
3. レビュー 再調査
4. 家具のカテゴリー 座る家具
5. 休息用のイス
6. 寝る家具
7. ソファベット
8. テーブル
9. 住宅収納家具
10. 住宅ユニット家具
11. 子供用ハイチェアー
12. 幼児用ベット
13.事務用家具・イス
14. デスク
15. オフイス収納家具

A4 バインダー  (15項目別の規約解説)

 

möbelfakta ー The Swedish Quality Marking Scheme

メーベルファクタ スウェーデン品質マーキングスキーム

スウェーデン家具研究所 発行

Contents;

Easy chair / Sofa / Bed setteeBed  / Bed base / MattressDining table / Desk / Sofa table /Occasional tableShel / Chest of drawers / CupboardChildren’s cots / High chairs

1982 /  A4  p.16  möbelinstitutet  – The Swedish Furniture Research Institute , Stockholm

■「möbelfakta 」試験評価と解説に反映されたスウェーデン家具研究の基本、先行重要出版

■「Möbelråd」1961

家具のインストラクション(助言・アドバイス)

 

av Arkitekt Erik Berglund /Arkitekt Sten Engdal / Arkitekt Lia Gottfarb / Arkitekt Åke H. Huldt / directör C.M, Heigard

Svenska Slöjdföreningen ・form スウェーデンアートクラフツ協会 発行

150 x 210 x 10(mm) p.221   Pris kr 8.75

■「MÖBLER」家具  1968

SVENSAKA SLÖJDFÖRENINGEN
スエーデンアートクラフツ協会 発行
300 x 170 x 13mmT  p.226  Pris kr 25
スエーデン国内メーカー98社掲載
15,000の製品モデルから1,000点を選定
Appelbergs Boktryckeri AB, Uppsala 印刷

■「Svenska stolar」スウェーデンチェアー 1981

 

av Tore Adler/ Erik Berglund/ Sten Engdal/ Hans von Matérn

möbelinstitutet Stockholm スウェーデン家具研究所 発行

105 x 240 x 10(mm) p. 162

www.mobelfakta.se

möbelfakta 家具の品質試験・製品表示 スウェーデン家具の知名度・信頼性アップ

試験結果から評価されるので公正なパブリック認証ともなります。テスト結果が優れていない塲合には、直ぐに改良されますから、実際には低い評価が並ぶことはない。

家具研究、執筆、審査専門委員は、住まいの福祉を深く考究している建築家の専門領域。

こうして業界全体のレベルアップ、スウェー デン製家具の信頼性が高くなりました。歴史的にみると、当初から住まいの福祉を深く考究している建築家の専門領域であり、リアリティ・信頼性も高いものでした。研究主幹、執筆、審査専門委員はArkitekt 建築家です。家具は、住宅設備なのです。

公正な審査評価する選任される専門家は、短期で交代し、留任することはしない。マーケットでは、北欧家具のプレゼンスは高まり、カタログにはスウェー デン品質試験・表示が必ず使われています。ロゴやラベルのデザインイメージは、日の丸マークですね。

■ 特別講演 1969 「スウェー デンにおける家具研究」 Sten Engdal

 1940年代、ベットの研究からスウェーデン規格ができた。座面としてのベッド高さは、スウェーデンでは重視される。1950年代、家庭用テーブルの類別、サイズ、品質を調査し、テーブル脚も重要であること、テーブル高さは座面高によって決まる。1960年代後半には、格納ユニットを扱い、学校用学童イス・机、老人用家具にも考究を拡げ、休息用イスの寸法・傾斜・形状なども明らかにされた。イス・机の解析推奨値なども勧告内容に反映されている。

第10回日本人間工学会 1969年 広島  人間工学的研究のパイオニア Dr. B.Åkerblomとの講演(第一生命保険姿勢研究所招聘)人間工学Vo.5 No.3 1969

■ 1981年 5月スウェーデン家具研究所 訪問 / 専門資料の提供 、Tore Adler 氏からの書面 

 1978年、ISO-TC136 家具部会の構成は70ヶ国、日本への参画要請の働きかけは、製品科学研究所や日本消費者協会にありましたが、国内の家具産業界はビジネスには結びつかないとして関心がなく不参加。関係者では審議されましたが、メーカーサイドは、ビジネスに結びつかない推奨認定制度にはタッチしない。国際的基盤となるプラットホーム構築に公的な寄与貢献を果たすことはありませんでした。

メンバーにならないということは、産業振興の共通のワーキングプロセスを見失うだけでなく、耐久強度、安全試験、品質性能表示の仕組みは置き去りとされ、先進のデザイン開発や技術研究、デザイン登録・PAT.知的財産権を尊重する新しい取り組みもなおざりになりました。

当時は、まだ環境・資源問題がさほどクローズアップされていない時代。経済不況だけでなく、外資による国内市場参入など、深刻な状況がせまるとは知り得ませんでした。環境汚染、資源枯渇、ゴミ廃棄トラブルがニュースになり、資源リサイクルが始まる時代でしたが、気象変動はまだ一部の科学者の警告レポートが出て明らかになり、既に地球規模の温暖化が始まっています。

品質試験と推奨表示制度は、実際に査定されランクづけられるのでメーカー側が困る。品質保証、製造物責任はさけたい下請け構造の業界事情、販売流通システムがあったのです。

 1980年代、家具産業は、既に主要輸出品目ではなく、ハイテクへ国の重点政策シフトで大学の専門学科、研究試験場、工芸指導所は統合移管されたり、業務変更で組織の名称も消滅。教育審議会や授業で高度工業化社会に「木材の名称がついている学科や研究機関は時代遅れ」とまで言明することもありました。木材工芸学科を専攻した小職にとって衝撃的でしたが、そんなこと未来がないじゃん。

木材は、人類の発生から歴史そのもの。本質を見失うような教授には納得できませんでした。人体の工学的研究Ergonomics ・Human Engineering が家具への応用から進めば、快適さや木の香り、樹木のキュア・メディカル作用や健康維持機能、環境装置としてのウッドワーク、遮蔽保存、ファーニッシングにも考究が進むと考えたのです。

■「北欧家具の品質とスウェーデン家具研究所の役割」1977

このスウェーデン家具研究所の活動の拡がりとISO主幹国としての研究業績、及び、国内事情は、工業技術院製品科学研究所の家具標準規格化作業にタッチしていた吉永レポートに詳しい。

・日本と北欧の家具の品質、日本の木製家具の品質

・スウェーデンの住宅設備、スウェーデンの家具研究所 Möbelinstitutet、家具研究所が果たす役割

・スウェーデンの家具の品質表示  家庭用家具の特性調査要求性能の概要

Möbelfakataの基準概要の一例、要求性能、Mobelsyn(G マーク選定) について

(雑誌「家具産業  1977年 3回連載 執筆:工業技術院製品科学研究所 吉永 淳)

 

■ ISO TC-136 参画準備のためのデザイン技術資料の作成  1981-1982  公開提供

 小職は、ジョイントシステムの研究開発を業務にしてきましたので、ISOTC-136への提案として既存製品と実際の市販実物モデルを調査、構造を視覚的にわかりやすくグラフィックデザイン処理をしてまとめ技術資料にしました。テクニカルイラストは、1990年代から製品イノベーションがないので現在でも同じです。

当時は、精密作図、トレース、撮影・ネガフルム紙焼きから合成、写植・版下作成、製版、印刷へと、多くの作業工程と時間がかかりました。(原版の版下:イラストトレース墨入れ、印刷は外注協力)

「家具設計技術資料・開閉機構と家具金物 ヒンジ編・キャッチ編」

製品ガイダンスとテクニカルイラスト、分類資料の作成(画像は、原版・版下)

家具設計技術資料〈家具金物:丁番・ヒンジ編〉
A4/13ページ PDFダウンロード >

家具設計技術資料〈家具金物:キャッチステー編〉

A4/8ページ PDFダウンロード >

SIS スウェーデン規格とISO TC-136 世界標準化機構テクニカルコミッティー136  メンバー国

家具の品質試験研究と工業規格、製品表示制度の実情と在り方

 1978年 ISO-TC136 家具部会に日本の参画要請の働きかけは、製品科学研究所や日本消費者協会にありましたが、国内の家具産業界はビジネスには結びつかないとして関心がなく不参加。関係者で審議されましたが、メーカーサイドはビジネスに結びつかない推奨認定制度にはタッチしない。国際的な基盤となるプラットホーム構築に寄与貢献することがありませんでした。

当時。構成メンバー国は70ヶ国、日本は不参加。製品技術の向上につながるプラットホーム構築に寄与貢献することなく世界トレンドから取り残され、しわじわ産業基盤の衰退が起おきると気がつかないまま。現在は、ISOメンバー国です。Partcipating members (26)Observing members(37)活動実態はわかりません。

学校教育現場では、学習課目にはないので大型の生活用品に関する基礎知識は、ほとんどありません。プロのデザイナー・建築設計家、製材技術・木材販売、マスコミ・TVプロデューサーもあまり知らないのです。木材の性質についていえば、樹種が多く、性質もよくわかりません。

使いものにならない、実際の仕事に必要ではない「家具のJIS 日本工業規格 」「JAS木材の農林規格」時代の変化が反映されない古いままのバージョン。規格外をつくり収益をあげる商材ビジネス Japan Grade

 木材関連では家具・建築材の注文、住宅建築設計、工事発注でJIS/JAS規格を参照することはなく、家具製品はカタログで選ぶ塲合には、品質表示法では、外観寸法と仕上材、手入れ方法のみ表示するラベルやタグをつけます。グッドデザインGマークをとる企業がJIS認定工場ではないということもあるのです。

現在普及した2×4規格住宅建築では、構造強度を確実にするために様々な材質基準、接合金具、工法に関する規格が定められています。木造建築用の木材は重要な基幹部材で規格品を使わねばなりませんが、価格は一定水準にあり下がらない。規格外の材料を安く入れるために業者が現地法人を設立して規格外の「Japan Grade 日本グレード」商材を現地から輸出販売するようになりました。違反しても建築後は検査できないし、わからない。カナダ・アメリカの品質規格は、長い時間と専門職が試験研究を重ねた工法として完成したもの。規格に外れた低い材質を使うと違反となる 2 x 4 建築施工ルールの根幹なのです。

家具の詳しい構造や製造になるとメーカー、デザイナー・販売担当者もわからない。

 業界の規格推進、取りまとめはメーカー委員が主体で、學歴のない現場職が加わることはできない。学識経験を尊重するだけでなく、原案策定作業を指導教官の指示で実務経験がまだない卒論生や修士課程が担当していましたから、リアリティがないわけです。更に、JIS/JAS規格はありますが、継続的な追跡や修正を伴う分野で、しかも断続する作業をする豊富な知識と実務経験がある専門スタッフはいないために、更新・改訂作業は止ったまま。

メーカー製品は類似競合し、品質試験・製品保証や業界全体の反映。レベルアップを考えることはしない。

 日本経済は高度工業化社会へシフトすると、しだいにバブル期へ近づき、輸出した楢・ブナ・栓・樺等の国内良材がすっかり無くなり、森林資源の枯渇から輸入材への転換に向かいました。統制され規約に縛られることを嫌い、家具製造現場の負担や販売の商業ビジネス慣習上の様々な障害になる違和感が拭えないこともまとまらない背景にあります。「デザイン」と同じように、完成すれば参考にして造り変えればよいと。

品質試験と推奨表示制度は、査定されランクづけられるのでメーカー側が困る。品質保証、製造物責任はさけたい下請け構造、複雑な販売流通の業界事情もありました。

使われる合成化学材料は、劣化すると放散して食材・衣服に付着して人体にとりこむ

 樹木や環境への関心が高まり、自然素材の良さを評価することは重要ですが、擬木偽イメージを被せた工業製品は住宅・インテリア・家具製品マーケットにあふれ、合成化学物質が蔓延するようになりました。時間が経つと人工ボードや化学繊維、建材が消耗崩壊をはじめ、空気中に放散していき、食物や衣服に付着しますからジワジワ人体に取り込むことになります。

ほとんどの合成化学材には、自然界にはない毒性があり、体内蓄積すると影響が出る。近年、シックハウス、擬木がアレルギーを激増させてきました。新造から、廃棄ゴミになる物質終末の処理も品質責任範囲ではないでしょうか?(天然木材自体は無害が定性ですが、例外的にカブレを起こす樹種があります。)

「メディカルウッドワーク」新しい「医食住同源」の視点 見た事が無いものを、知らないことを明らかに。

 規模の小さい工場製造や手仕事とは異なり、工業製品の生産と大量消費は、環境ダメージへの配慮、無害再生、後始末・ゴミ廃棄まで無限責任が問われる時代になりました。ウッドワークは、住まいの生活装置をつくる基幹産業ですが、環境資源、健康・メディカルにも精通し、医療健康素材として有用なメディカルウッドの取り込み、家具から建築領域までを総合的に仕事ができる次世代プロフェショナルを育成する高等専門学科がありません。

自然の食材も木材も同じオーガニックであり、抗菌作用やキュア医療効果のある材種は多いのです。木の総合学研究「木の内科」では、多領域の実務を身につけ、高度の専門的な技能の身体記憶が重要であると考えています。

ⓒ2020 , Kurayuki Abe

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木の総合学研究 2020     「家具の品質試験と表示・推奨制度」「家具デザイン・製品のための国際基準」「ISO TC-136 」「家具の設計技術資料:箱物家具開閉機構とヒンジ・キャッチ金具類の分類・取り付け構造」

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