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気品と温厚な性質で好感度が高く、緻密材質感も良いコシアブラの樹性|KOSHIABURA _An antiblastic and non-ascendant,moderately firm and favorable, an edible tree_wood in Japan.|有用樹木で若葉から木部まで美味しいイメージ_豊饒な自然林に存立する貴公子の優れた素性 木の内科 -106  

阿部蔵之|木とジョイントの専門家

際立つ特長はなく、穏やかで気品があり_秋早めに落葉して静眠する冬目は 薄く、目立たず邪魔しない。清潔な木肌は優しく、落ち着いた材質感。

刃物アタリ良く光沢あり。抗菌力を備え、湿潤な風土に適応した存立_暮らしに役だってきた資源植物の優れた資質と樹体内の抗体分泌・自己治癒の動きを明らかに。

■ コンテンツ

① 自然林の樹相_葉形・幹・林床
② 良材質木理・枝元入節・分泌端末細部
③ 水木・コシアブラの木口比較
④ 樹名方言と由来_歴史資料
⑤ コシアブラの樹性_総合的評価レーダーチャート

自然林の樹種・周景林相 北安曇郡北山

檜・杉・赤松、ブナ・栗・水楢・ホウの木・山桜、瓜肌・楓・シデの混交自然林_近くに群生しているブナ・ホウの木の樹肌に地衣類も付着して似ています。湿潤な深い谷筋の緩傾斜面。

❶ 自然林の樹相_葉形・幹・林床

❷ 良質材木理・枝元入節・端末分泌細部

立木生材では鮮明なカット面を直ぐに識別出来ませんが、伐ってから10年ぐらいの長期自然乾燥で組織の様態を診ることができます。

抗体分泌端末

❸ 水木・コシアブラの木口比較

水木・コシアブラの材質比較 2002年伐採、長期自然乾燥 2015年サンプル材木口

 生材では芯央材色はハッキリでません。別名イモの木・人参の木・大根・とうふの木というのもぴったし_清浄で無垢の材質感、木香は微細芳香あり。林内を汚さず、綺麗にしている重要な樹木群落であることも気づきました。重要な役務を果たし存立しているものと考えます。この若芽を好み、ぱくぱく食べてしまうだけでなく、内部までガリガリ喰いつく本能的な習性なのでしょう。

周縁のホウの木 幹肌

早秋、他より早めに葉を一面に落とし、冬はぐっすり眠る。冬目は、ほとんど動かず細く、均質で緻密な材組織を肥大形成します。

 春先は、葉形も目立ちますから、人間は見つけると天ぷら具にして太くなれず。抗体の挙動を診ることができる芯央材色は淡く、ダメージ治癒力は強く枝元入節をしっかり塞ぎます。芯央に髄が走り、水木や桐に似て、冬目が極く細く均質なホウの木に近い材質感です。

❹ 樹名方言と由来_歴史資料

コシアブラの方言

アブラキ イヌホボウ ウソボウ ニセホウ うさぎくい 人参の木 にんじんぎり だいこんの木 イモの木 こせだら ゴンゼツ(金漆) おんなゴンゼツ おしょのき とうふの木 なまとうふ しらは しろき ヤマギリ ろうの木 など 119種

日本各地に生育し、地方樹名はご番目に多く、暮らしに利用されてきた身近な樹木です。樹木名が古書にもハッキリしないので、「具木名」108 種を熟考して突きとめることができました。

「具木名 新撰類聚往来 中巻」 室町時代後期の樹名列挙 「メキリ」が古語でした。

「メキリ」字体:木編に「名」国囲い 国字

 葉形類似では、別名「たかのつめ」があり、棘のある樹肌の「ハリ桐」栓の木は、白木材質で桐に類似しますが、若葉を食用にならず、「メキリ」が相当します。桐は、「梧」と筆記されています。樹木方言の「にんじんぎり」「ヤマギリ」は「メギリ」につながります。古語のほうが上品で相応しい感じですが、具木名では、「椿 榎 楸 柊」夏秋冬秋フォーシーズンも揃いならびました。

■ コシアブラ樹名に関する資料:

木の大学講座 第3期/1988年 「木」とあかり   講師:深津 正 照明文化研究会主宰

「燈用植物」ものと人間の文化史-50    p.111  ツケ木、p.195 金漆 法政大学出版局 1986  /「木の名の由来」 p.107 – p.110  越コシの国アブラ説  1993  東京書籍刊

❺ コシアブラの樹性_総合的評価レーダーチャート

The overall assessment radar chart of KOSHIABURA

 

際立つ特徴はなく、薄い樹皮は抗菌防御力の顕れであり、全体にバランスよく整っている好感度も高い樹性_整序安定した資質であることが読み取れます。

 本稿に記載した樹体内の動きは、カット生材状態では芯央色は鮮明ではなく、含水率が下がり、切削後の長期自然乾燥で顕れる経時変化が多くあります。 10年後にふと気がつく「き」の長い綿密な作業です。

立木樹体内では、抗体分泌、吸収が常に行われています。針葉樹は、枝元から入節に吸収され、バルブ細胞で分泌を調節し、広葉樹では、根元中枢部から抗体を作り出し、中間で増幅する端節ハブシや節元の端末で分泌し、逆方向の動きが明らかになりました、細部の挙動は対照的で次稿へ続きます。

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■ 刃物が錆びない木「保寶(ほほ)の木」 古代から木工鞘職が継承してきた自然素材の力 その抗菌作用・防錆性をつきとめる。Insight 木の内−48   http://kurayuki.abeshoten.jp/blog/24049

ご注意:森林法違反(山菜窃盗)書類送検

「4月6日午後 那珂川市内の私有林で山菜のコシアブラを二十数本採取した疑い。山菜を持ち去ろうとしているところを森林の所有者が発見し、県警に相談_福岡県警が森林法違反(森林窃盗)の疑いで同市の市議を書類送検 」東京新聞報道 2023/09/04

 

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木の総合学研究 2023  「コシアブラの樹性と好感度自然素材の材質感」「コシアブラの樹名由来考_メキリ女梧のみたて」「好印象樹木の視覚デザインキャラクター」「針葉樹と広葉樹の抗体分泌の違い逆性」

 

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