「木識・木学」木の内科木界木香生命構造と機能

針葉樹と広葉樹では逆の抗体・材色の分泌_材質を造りだす生命維持の仕組みを究明|分泌源・取り込み・吸収_冬目年輪肥大に現れる上下逆方向|地表出現から200万年、見えない樹体内の異質の動きを明らかに Insight 木の内科-77

阿部蔵之|木とジョイントの専門家

枝元・入り節から取り込み芯央へ下げる針葉樹_ 株根元基底部の中枢から集中分泌し上へ送る広葉樹_全く異質な逆の生命維持戦略をもって地表に立ち続けます。

 成長肥大や抗菌防衛機能を分散して枝元上層へ置く針葉樹と株根元に中枢部を形成する広葉樹では、対照的で進化の違いを観ることができます。地面の冷温に耐性を獲得し氷河期を超えてきた樹体は、上層に分散して重要な器官を造り、氷河期が終わり地面が凍てつかない氷河期後の出現した広葉樹は、株根元に中枢を構築。地上の微生物の寄りつきや虫喰いダメージを受けやすい。木理・材色の特徴も木本と上枝に現れます。

常緑針葉樹ヒノキの枝元・入り節から吸収される抗体・材色養分は、鮮明な赤身です。幹芯部への取り込みを調節するバルブ細胞を備えた見事なミクロの内分泌。落葉冬眠する広葉樹オニグルミでは株根元にある中枢に抗体・年輪材色を集中的に分泌する器官と生命維持指令するコマンド細胞組織を造り出します。立ち木の内部で起きている、見事な美しい命の輝きです。

外部からの気温シーズン変動、菌類・損傷ダメージに素速く反応して、内部分泌を高め、抗菌・治癒オペレーションを始めます。ダメージ治癒反応は、かなり説明がつくように成りました。

針葉樹ヒノキ科と広葉樹オニグルミ・キハダの「抗体分泌源」_「材色・冬目養分の取り込み方・送り込み」逆方向の違い

A.ヒノキの抗体・材色・冬目養分の取り込み吸収とバルブ細胞

木の内科的に診ると、バルブ細胞(Valve cell)は、枝元・入り節に取り込む抗体・材色のボリュームを調節する役割を果たし、同時に、 外気温度も感じるセンサーとして働いているようです。擬年輪・ダブル冬目が肥大している部位は、外気温が下がると冬の到来と感違いして造り出した「フライインググ冬目(False start grain)」(暫定ネーミング)です。

枝元から取り込まれる鮮明な抗体成分赤身芯央色

 

入り節の赤身・樹脂分はヒノキ独特の芳香はほとんどなく、芯央に取り込まれてから木香を放散します。

分散系統的分泌下げ

上層に抗体源・防衛ガードを造る分散型分泌のメリットは、常緑通年成長で寒冷期にも休まず、黴・昆虫によるダメージを防ぎ、冬目肥大を大きくすることで芯央の耐久強度をアップしていると考えます。全体に含まれる脂分は、高樹齢木になると樹脂化して殘存します。

基底部芯央には抗体・赤身が蓄積されない

因みに、ヒノキの木香は枝下部分が強く、辺材白太や基底部はほとんど匂いません。抗体・材色も薄くなるだけではなさそうですが、中枢がないので養分は要らない。従って根元から虫喰い入りにくいことにも繋がります。上枝が伸び止まり、枝葉も拡がらないと抗体源の分泌総量は増えませんが成長肥大は続きます。

B.オニグルミ・キハダの抗体・材色・冬目養分の内分泌とコマンド細胞組織

冬目年輪・芯央材色を分泌する指令統制コマンド細胞(Command cell 小職の暫定ネーミング)の動きに注目しています。針葉樹姫子松・樅・栂にも現れ、脂ツボも共通しています。

(針葉樹入節内部に出来る吸収調節バルブ細胞 Valve Cell とは違い、抗体の生成分泌を促す「小堰セキ 」Weir 分泌腺というイメージです。2024/06/27加筆修正)

枝分岐部の抗体・材色第二分泌源  株根元・芯央基低部から高い枝へ送り届けるのは無理がありますから、途中の入り皮やサテライト的に脂溜まりや分泌補給組織を造り、さらに枝分岐では枝先へサプライ量が多くなります。枝分岐にあわせて第二分泌源ができ、抗体・冬目材色養分の十分な供給が行われている様子が鮮明です。

分泌中枢・芯央基底部

分泌源の経時変化

コマンド細胞からは、根系へも送り込まれています。

C.その他の針葉樹 入り節部の動き

「ネズミサシ・ムロの木」「杉」「姫子松」「栂」「樅」「槇」「トウヒ」「イチイ」「唐松」の抗体取り込み_冬目年輪材色の吸収

「ネズミサシ・ムロの木」

 

「杉」

「姫子松」

「栂」

「樅」

「槇」

「トウヒ」

「イチイ」

「唐松」

この他、針葉樹種「ネズコ」「ヒバ」「榧」「ビャクシン」は、追補します。また、広葉樹「シナ」「桂」「ブナ」「樫・」「樺類」には、同様の抗体治癒成分の分泌・送り込みが観られます。

芯央無地の樹種では、芯割れ等による僅かな材色の違いが出現するものがあり、日本産針葉樹の多くが香木類に分類されています。

木の内科的所見から

 このように、木の内科から診る抗体分泌と材色の現われ方は、代表的な針葉樹と広葉樹では全く逆方向のダイナミックな動きが観られます。抗体・材色、冬目養分の取り込みの動きから生命維持の仕組みの違いもハッキリ分かります。樹木は語りはじめ、200万年の生命維持・進化の仕組みを観ることができるでしょう。

針葉樹では、枝元・入り節に抗体・養分の分泌源・取り込み組織を設け、重要機能を分散してダメージや天候気象・環境に対応でき、かつ、部分的な回復がはやまり、樹勢を維持しやすい。 一方、広葉樹では株根元_地面の下に中枢があるので風折れ・寒冷や外部からの総ダメージは受けにくい。重要な機能を集中させ、安全な位置におくことになります。冬前に落葉・休眠し、エネルギーを温存でき、樹勢は強いまま春の芽吹きを迎えます。肥大成長は速く、効率的で大木化も進みます。

天然林の塲合、優勢な広葉樹群に被圧され、針葉樹種は山の端、谷奥、もしくは急峻な北面に逃れます。抗体防衛の出動は目に見得ませんが、木の力は生態系では大きなバランスを動かすものとなり、広葉樹の拡がりは続きます。その優勢には、抗体治癒活動のメカニズムが少なからず影響しており、樹体を護る仕組みと生存競争せめぎ合いに反映しているのです。

地表に出現して氷河期をくぐり、200万年以上も生存する針葉樹と、およそ100万年後に進化して現れきた広葉樹の本源的な生命維持の仕組みの違いが明らかになりました。植物学上で分類されてきた葉っぱだけの特徴や外観の違いではく、全く逆の生命維持活動の特徴が現れてきました。

根元中枢部は根切り鋸やチェーンソーで傷をつけず、正確に伐り出します。微細な組織の経時変化を診るのは、鮮やかで感動を味わいますが、伐採から株周辺の根掘り、組織の切削まで、繊細で大胆な杣木樵・土木、素速い木工作業を伴うフィールドワークの連続です。

自然界のものには、分類に外れ、カテゴリーに仕分けできない例外や中間体があります。微妙な地域差があり、仕分けできないもの、説明がつかないものが出てきます。

木の内科は人任せにはできませんから、実際に伐採しながら産出地の違いや多様性も把握して考究していきます。

■ 連続コンテンツ:

針葉樹と広葉樹の分泌逆違い_枝元・吸収分泌と株元中枢から節元・端末への逆方向|The fundamental differences in secretion of the conifers and the broad-leaved trees,  produced in-take valves and export terminals.|根本的に異なる生命維持の動きを明らかに。Insight  木の内科 -107

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木の総合学研究2020  「針葉樹と広葉樹の抗体分泌_取り込み 吸収_材色冬目の現れ方、及び生命維持戦略の違い」「入り節バルブ細胞 Valve cell_抗体分泌コマンド(指令統制細胞) Command cell of secretory organ」

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