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阿部蔵之|木とジョイントの専門家

道具箱には住めず、店頭・ミュージアムでは並ばない別註・特注「千代鶴貞秀、も作、碓氷健吾、貞時、宮本雅夫」世紀末名作の見返り。さらば確かな削り手のもとへ。

「千代鶴貞秀」と碓氷健吾「真紀」

宮本雅夫「雲海」と神田規久夫「も作」

宮本雅夫「雲海」と碓氷健吾「華甲」

宮本雅夫「雲海」と碓氷健吾「真紀」

碓氷健吾 「華甲」と真紀

碓氷健吾「無量寿」鉋表馴染み銑がけ

宮本雅夫「雲海」と碓氷健吾「建明」

宮本三兄弟  雲海・宝泉・銀河龍

「痺れるほどの切れ味、正調播州はチビルまで存分に削れる」牧野弘樹蔵

(雲海以外は、宮本雅夫作を印す鏨刻はない。牧野弘樹:木工藝二代目、一枚板削り経験豊富。)

木工芸 牧野弘樹氏の判りやすい現職の所見を引用し、鉋談義を補足します。(20200107 承認)

Q:「削り作業途中で鉋刃が緩む」ことがあるのは、コバの勾配がゆるいのでは?

「千代鶴貞秀」、宮本雅夫「雲海」碓氷「真紀」それぞれ刃身コバの傾斜は、2°。
目方は390g、329g /裏スキは、o.25 、0.15 でした。青山鉋に緩むと指摘された播州系鍛冶職のものがありました。

A:牧野

宮本さんの鉋は裏の鋼と地金の境が、鋼の方が微妙に高くなっており、ここまで砥石に乗せると同じ平面で寿命まで、使いきることができます。「雲海」もやはりそうなってますね。

確かに鉋身の勾配に違いがあります。昔は鉋の出番が多く研ぎ減って短くなるのも早かったため鉋の楔が厚くなってゆくのも早いことになり、現代であれば
勾配をきつくした方が緩みは少ないでしょうね。

私が、家業に入ったころは表馴染みを攫うのはしょっちゅうでした。
それ専用にグラインダーで研ぎっぱなしの鑿がありました。
さらい過ぎて緩くなっても、裏出しにより、すぐにキツイ仕込みになっていきます。
昔の研ぎ減る速さと薄い鉋身のゆるい勾配は、丁度いい加減だったのかも。

台鉋は、打たれた地域と気候条件の違う所で使うと、台はかならず動きます。
また同じ場所でも、お天気により動きます。他の木工製品と同じですね。
長野から静岡に移った時には鉋はゆるくなりました。

しかし、職人にとっては鉋が緩むことなどさしたる問題ではありません。
緩んだらだら、その場で紙や鉋くずを挟んできつくすれば済むことで、もたもたしてると「いいからはやく削れ!」と怒られそうですよ。
こんな事をご丁寧に道具屋に伝えるのは口ばっかりの半端職人か日曜大工の人でしょう。(御意)

宮本鉋の表馴染みは’銑’による削り跡です。

銑の刃の「びりつき」によるもので、陶器の飛び鉋みたいなもの。
仕上げると同時に台への食いつきを良くしようという意図が感じられます。
三条の永弘系の鉋は食いつきを良くするための模様が意図的に付けてあります。

実際は、刃と台に抵抗を付けるよりも鉋身の精度が大切で、へこんだり出っ張っていては、良い仕込みができません。

これについてはまた今度 —–

A:牧野

その後の雲海

切れますよ!引きが軽い!しょっぱなからこの切れ味、さすがです。刃先が整うのが大変早く、研ぎ時間が短くて済みます。台の仕込みほとんど手つかずで良い調子です、これまたさすがです。(台打ち:青山鉋店 青山駿一)

裏金の仕込みは大変きつく入ってます、これは青山流ですかね。押さえのきつさは鉋刃の先端に結構影響あるように思います。

押さえはなるべくゆるくとの教えがありますが、裏金が刃先のしなりや振動を抑える働きがあるようにも思います。

自分が使った限りでは硬木には押さえがきつい方が良い削りが出来ます。とにかく、逆目も良く止まり完成度の高い道具です。

 

以下、続きます。

鉋は木工のシンボルですから、プロの鉋談義は一家言が飛び交う。

 存分に削り、研ぎ進み、切れ味にシビレル頃には相当の歳月でちびるまで使い続け、長い歳月がかかります。それまで実削評価は待機、暢気なものですが、更に、高価な台鉋を揃えるには財布がもたない。多くの樹種木理を削り、勾配・刃口を調整し、性能を明らかにするには、研ぎベテランの身体記憶と講釈を求めたい と思います。次世代には、見たことも無いし語る人もいない。これじゃーさびしい情けない。

名工品を所持すると、技能は引っ張られ、腕が上がり、仕事への情熱を掻き立てる。

 意欲が涌き、自信がつき、削りものが苦にならず、ウレシイ。仕事は捗り、使う動作も映える。使いこなす歓びがたまらない。身体記憶は洗練され、メンタルは高揚し、眺めてウットリ。職人冥利につきるのでした。きっと、家計を預かる家人は厳しい顔ツキになります。

サンダーで済ますと、活きた自然素材は目詰まり、窒息してしまう。人乾で殺され、抗菌抗体キュアー、人体によい微細放散物質は化学塗料で有害に。鉋仕上げは、自然素材本来の良さを活かします。

既に、名匠達人が雲客となり久しいのですが、世界鍛造史に耀く20世紀後半最高峰の鉋・鑿・鋸のストックもあり、順次、次世代へ引き継いでいきます。

ⓒ2019 , Kurayuki Abe

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木の総合学研究 2020 「世紀末名工鉋の評価」「鍛造史に耀く世紀末名工作品の詳細記録」

 

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