「木」の道具・工具ジョイントシステムハンドツールコネクション工具・刃物木工

「平台鉋新考」続 世紀末・初頭に現れた名工サミット作品「も作 貞時ハイライト+貞秀 石堂 他 秀作絶品」 鉋刃押さえ溝楔嵌合プラス裏金おさえ簪ジョイント ハンドツールコネクション-13

阿部蔵之|木とジョイントの専門家

有史以来、日本の木工人は、良く切れる刃物と絶妙な砥石、豊富で優良な材料に恵まれてきました。木の国・木の文化を育み、美しく使う楽しみがある最高級の道具を大切に扱い、賞揚する気風があります。歴史に残るほどの名作と評価される工人は多く、明治後期から昭和初期までは、問屋支配で表にはでない無名のベテラン達人が活躍しました。木造建築や木工家具産業が大きく発展した時期に重なります。

至高の鍛造作品は、それを包み装着する台打ち職の第一人者がふさわしい。名工のコラボ・ベストマッチング。鉋は、刃物と樫台の協奏です。

20世紀後半から世紀末には、伝統を引く優れた不出世の才能が輩出。実用機能オンリーから美装をこらし、洗練された格好作品となりました。専問特化により、品質の違いを競い合う、一層上質の商品価値を高める方向に進みます。同時に、使う側の高度な要求に応えて収益を増やし、経済成長期のよい世相が続いたことも幸いでした。反面、高度な工房技法は手間を惜しまず、手仕事の魅力をふんだんにつぎ込みますので、利潤を度外視した工人が目立ち、涙を誘うほどの困窮が続く時代もありました。個性の強い、うるさい、恐い存在が静かになった現在でも、その残影余韻がまだ漂います。もう破格の高貴な姿に出会うことはできませんが、選び抜かれた完品・絶品は使いこなせる次世代に渡したい。

平台鉋   二寸、寸八、寸六・寸五・寸四  刃先角度 24° 25°    26°    27° 28° 29°   1970 – 1986 – 1993 – 1999 – 2010

ベテラン名工による丁寧な火造りと台打ち第一人者による制作です。

1993年から1997年、2010年の別注・特注でしたが、鋼地金も落ち着き、樫台に馴染んでいます。長切れ、杉材でも逆目を気にしないで削れ、腕が上がった様に感じるほどの逸品です。

鉋の「呼び寸」について(名古屋市金山 青山鉋店 青山駿一談)

鉋の形や刃寸法には標準規格サイズというものはなく、鍛冶職により実際の仕上がり寸法にズレがあります。

呼び寸は刃幅ではなく全国的に統一する動きはあったのですが、職人の長年の寸法感覚は動かせず、上方と名古屋、関東の違いは続きます。呼び寸法と刃幅実寸が一致しないのは不可解ですが、伝統的な手仕事からくる定寸と商業的呼称の流れです。

刃幅寸法で台打ちが決まり、職人の感覚で制作してきた歴史があるので、後世のものがいじり標準規格化するの均質化してしまい歪めます。それぞれの専門職は先代・親方筋をもち身体記憶で技能を磨いてきましたので尊重していきます。

言い替えれば、伝承は引きずるのが正調で、規格統一するのは間違いです。一方、小鉋は刃幅の実寸で呼び、ほぼ標準的な寸法です。型抜き下職へ出すので定寸に決めていた分業化によるもの。一代で使う鉋は十数丁で厳密な寸法は気にしてきませんでした。鍛冶職、刃付け・研ぎにより刃幅は動きます。

貞時  2010

 

⑯寸八・8分勾配  刃先角27°   「貞時無銘」椛澤貞雄作  特注

刃幅 72mm x 丈116mm x 厚み9mmT ( 刃先65mm)スエーデン鋼鍛造二枚刃  白樫台 / 板目、追柾極上・良上材 台打ち:青山鉋店 青山駿一  台尻青山刻印   4丁    305mmL x 89mmW x 36mmH   1,229G   G重心位置:刃口切り縁から 4mm 他 刃口位置比率 4 : 6  押さえ溝嵌め固定 制作2010

⑰寸四・8分勾配  刃先角27°   貞時無銘 椛澤貞雄作  特注

 刃幅 55mm x 丈113.5mm x 厚み7.6mmT ( 刃先48mm)スエーデン鋼鍛造二枚刃  白樫台 / 板目、追柾良上材 台打ち:青山鉋店 青山駿一   台尻青山刻印 4丁    271mmL x 72mmW x 36mmH   894 – 907g   G重心位置:刃口切り縁から2.5mm 他 刃口位置比率 4 : 6  押さえ溝嵌め固定 制作2010

⑱   寸二・8分勾配  刃先角27°   貞時無銘 椛澤貞雄作  特注

 

刃幅49mm x 丈81.5mm x 厚み7mmT ( 刃先45.5mm)スエーデン鋼鍛造二枚刃  白樫台 / 追柾、板目良上材 台打ち:青山鉋店 青山駿一   台尻青山刻印 4丁    232mmL x 64mmW x 32mmH   565 – 9575g   G重心位置:刃口切り縁から6mm 他 刃口位置比率 4 : 6  押さえ溝嵌め固定 制作2010

20100702 撮影:柏木工房 柏木 圭

神田も作  1993 – 2001

■⑲二寸・8分勾配  刃先角26°   「も作」 神田規久夫作  別注(刃表面に和鉄 鏨切刻)

刃幅80mm x 丈112.5mm x 厚み10.5mmT ( 刃先70mm)炭素鋼鍛造二枚刃 共裏付き  白樫台 / 板目細目詰極上材 台打ち:青山鉋店 青山駿一   台尻青山刻印

 304mmL x 95.5mmW x 36.7mmH   1,500g  G重心位置:刃口切り縁から4mm  刃口位置比率 4 : 6  押さえ溝嵌め固定 制作1993

⑳寸八・8分勾配  刃先角26°   「も作」 神田規久夫作  別注

刃幅73mm x 丈116.5mm x 厚み9mmT ( 刃先63mm)炭素鋼鍛造二枚刃 共裏付き  白樫台 / 板目極上材 台打ち:青山鉋店 青山駿一   台尻青山刻印 台尻頭割れ止め塗布

 290mmL x 90mmW x 35.8mmH   1,266g   G重心位置:刃口切り縁から3mm  刃口位置比率 4 : 6  押さえ溝嵌め固定 制作1993

刃幅80mm x 丈112.5mm x 厚み10.5mmT ( 刃先70mm)炭素鋼鍛造二枚刃 共裏付き  白樫台 / 板目細目詰極上材 台打ち:青山鉋店 青山駿一   台尻青山刻印

 304mmL x 95.5mmW x 36.7mmH   1,500g  G重心位置:刃口切り縁から4mm  刃口位置比率 4 : 6  押さえ溝嵌め固定 制作1993  *

㉑寸八・8分勾配  刃先角24°  包み彫り 「も作」 神田規久夫作  別注

刃幅71mm x 丈116mm x 厚み8mmT ( 刃先63mm)和鉄 鍛造二枚刃 共裏付き  赤樫台 / 板目極上材  台打ち:青山鉋店 青山駿一     台尻青山刻印

  290mmL x 90mmW x 37.2mmH   1,263g   G重心位置:刃口切り縁から6mm  刃口位置比率 4 : 6  押さえ溝嵌め固定  制作1993

㉒寸四・8分勾配  刃先角29°   「も作」 神田規久夫作  別注

刃幅60mm x 丈113.5mm x 厚み8.6mmT ( 刃先51mm)炭素鋼鍛造二枚刃 共裏付き  赤樫台 / 板目極上材  台打ち:青山鉋店 青山駿一  台尻青山刻印   

263mmL x 77mmW x 37mmH   1,037g   G重心位置:刃口切り縁から 2mm  刃口位置比率 4 : 6  押さえ溝嵌め固定  制作1993  *

㉓ 寸六・8分勾配  刃先角27°   「も作冨士」 神田規久夫作  白一号鏨切り刻 別注

 

刃幅65mm x 丈115mm x 厚み9mmT ( 刃先65.5mm) 安来鋼白1号鍛造二枚刃 共裏付き  赤樫台 / 板目優良材  台打ち:青山鉋店 青山駿一  台尻青山刻印   288mmL x 84mmW x 37mmH   1,220g   G重心位置:刃口切り縁から 3.5mm  刃口位置比率 4 : 6  押さえ溝嵌め固定  制作1993

㉔寸四・8分勾配  刃先角28°   「も作冨士」 神田規久夫作    別注

刃幅60mm x 丈113.5mm x 厚み8mmT ( 刃先52mm) 炭素鋼鍛造二枚刃 共裏付き  赤樫台 / 柾目優良材  台打ち:青山鉋店 青山駿一  台尻青山刻印    266mmL x 77.5mmW x 36.6mmH   982g   G重心位置:刃口切り縁から先 2mm  刃口位置比率 4 : 6  押さえ溝嵌め固定  制作1993

千代鶴貞秀 作

㉖寸八・8分勾配  刃先角24°包み彫り   「千代鶴貞秀」鏨切り銘(裏に角貞、表に丸刻印、1970年 黒田清右衛門商店ストック品)

  

刃幅72mm x 丈117mm x 厚み9mmT ( 刃先64mm) 白樫台 / 追柾極上材  台打ち:青山鉋店 青山駿一     台尻青山刻印   290mmL x 90mmW x 37.2mmH   1,268g   G重心位置:刃口切り縁    刃口位置比率 4 : 6  押さえ溝嵌め固定 台入れ1993

*自然光反射で表情が微妙の変化します。名工手練れの見事な造りは、勢い気品があり、ノーブルな雰囲気が漂う存在感は別格です。1960年代、上昇期の作品。

㉗寸八・8分勾配  刃先角24°   「是秀」銘偽作・参考品

  

刃幅72mm x 丈113mm x 厚み10mmT ( 刃先64mm) 白樫台 / 板目ネバリ 包み彫り  273mmL x 88mmW x 36.5mmH   1,193g   G重心位置:刃口切り縁    刃口位置比率 4 : 6  押さえ溝嵌め固定    購入 1993

石堂輝秀 作

㉘寸八・8分勾配  刃先角24° 「無双」  石堂輝秀 作 (二代目) 鏨銘切り/ 釜地 労働大臣賞受賞刻印

 

刃幅72mm x 丈116mm x 厚み8mmT ( 刃先63mm) 白樫台 / 板目ネバリ 細目極上台 台打ち:青山鉋店 青山駿一   台表に青山丸朱印   290mmL x 89.8mmW x 37.2mmH   1,245g   G重心位置:刃口切り縁から5mm    刃口位置比率 4 : 6  押さえ溝嵌め固定    制作1993

㉙寸八・8分勾配  刃先角24° 包み彫り「時空」鏨銘切り  石堂輝秀 作 表に「明治百二十周年記念 平成四年二月作」鏨刻 / 釜地

刃幅72mm x 丈116mm x 厚み8mmT ( 刃先62mm) 釜地(1850年代アメリカ。ヨーロッパで精錬されたボイラー用厚鋼板で不純物が少なく、表面が黒い。錆が出ない良材。昭和26 – 30年ごろスクラップ材で鋼材屋から入手しストック)を使用。

白樫割台 / 板目細目極上台  台打ち:青山鉋店 青山駿一  台尻青山刻印  290mmL x 89.8mmW x 37.2mmH   1,245g   G重心位置:刃口切り縁から1.5mm    刃口位置比率 4 : 6  押さえ溝嵌め固定    制作1993

㉚寸四・8分勾配  刃先角25°   「石堂輝秀」 石堂秀雄 作 刻印/ 釜地

 

刃幅62mm x 丈117mm x 厚み9mmT ( 刃先52mm)赤樫台 / 追柾優上材  台打ち:青山鉋店 青山駿一  台尻青山刻印

275mmL x 79mmW x 37mmH   1.042g   G重心位置:刃口切り縁から1mm    刃口位置比率 4 : 6  押さえ溝嵌め固定    1993

長弘 作

㉛寸四・8.5分勾配  刃先角26°   「宝龍斉 長弘」刻印  田中一郎 作

刃幅61mm x 丈114mm x 厚み9mmT ( 刃先49mm)白樫台 / 板目極上材 台打ち:井上刃物(本所)別注 台尻頭割れ止めクリアー塗布

273mmL x 76mmW x 34mmH   917g   G重心位置:刃口切り縁から0.8mm    刃口位置比率 4 : 6  押さえ溝嵌め固定    直ぐ使い、頭角落とし・面取り・刃口両脇攫い 制作1993

㉜寸四・9分勾配  刃先角26°   「宝龍斉 長弘」刻印  田中一郎 作

刃幅61mm x 丈114mm x 厚み9mmT ( 刃先50mm)白樫台 / 板目細目詰極上材 台打ち:井上刃物(本所)別注 台尻頭割れ止めクリアー塗布

273mmL x 76mmW x 34mmH   620g   G重心位置:刃口切り縁から2mm    刃口位置比率 4 : 6  押さえ溝嵌め固定   直ぐ使い、頭角落とし・面取り・刃口両脇攫い 制作1993

山口房一作

⑮寸六 ・8分勾配  刃先角24°  「刃三代」山口房一作

刃幅 66mm x 丈117mm x 厚み 10mmT ( 刃先58.5mm)炭素鋼鍛造二枚刃  白樫台 / 板目細目極上材 台打ち:青山鉋店 青山駿一  台尻青山刻印 (台裏スキ刃上0.25mm – 刃口下 0.14mm   堅仕込み)

288mmL x 83.8mmW x 37 mmH   1,160g   G重心位置:刃口切り縁   刃口位置比率 4 : 6  押さえ溝嵌め固定 (削ろう会第二回武生直売品1997)

㉝寸八・8分勾配  刃先角25° 包み彫り   「天一目」山口房一 作

刃幅72mm x 丈117mm x 厚み8.5mmT ( 刃先66mm)白樫台 / 板目良上材  台打ち:青山鉋店 青山駿一  台尻青山刻印

289mmL x 87mmW x 38mmH   1,332g   G重心位置:刃口切り縁から2mm    刃口位置比率 4 : 6  押さえ溝嵌め固定  1998

伊藤宗一郎 作

㉞寸六 ・8分勾配  刃先角24°  包み彫り 「真紀」やまあさ

刃幅 66mm x 丈117mm x 厚み 10mmT ( 刃先60mm)炭素鋼鍛造二枚刃  白樫台 / 追柾良上材 台打ち: 伊藤宗一郎 作(三鷹) 280mmL x 82mmW x 35mmH   1,148g   G重心位置:刃口切り縁から3mm    刃口位置比率 3.86 : 6.14  押さえ溝嵌め固定 制作1986

㉟寸八 ・8分勾配  刃先角24°  包み彫り 「真紀」やまあさ

 

刃幅 72mm x 丈114mm x 厚み 8.9mmT ( 刃先65mm)炭素鋼鍛造二枚刃  白樫台 / 追柾細目良上材 台打ち: 伊藤宗一郎 作(三鷹)

278mmL x 68.4mmW x 35.6mmH   1,191g   G重心位置:刃口切り縁から1mm    刃口位置比率 4 : 6   押さえ溝嵌め固定 制作19861

宮本雅夫 作

㊲寸八 ・8分勾配  刃先角25°   「雲海」 鍜治三郎  宮本雅夫 作 

刃幅 72mm x 丈116mm x 厚み9mmT ( 刃先63mm)炭素鋼鍛造二枚刃 共裏   白樫台 / 板目ネバリ堅良上材 台打ち:青山鉋店 青山駿一  台尻青山刻印

290mmL x 90mmW x 36mmH   1,285g   G重心位置:刃口切り縁1mm    刃口位置比率 4 : 6   押さえ溝嵌め固定 制作1994

㊱寸八 ・8分勾配  刃先角24°   「千代春」(田中邦男作)

刃幅 72mm x 丈116mm x 厚み10mmT ( 刃先63mm)特殊鋼鍛造二枚刃  白樫台 / 板目良上材 台打ち:青山鉋店 青山駿一  台尻青山刻印

285mmL x 90mmW x 36.5mmH   1,193g   G重心位置:刃口切り縁    刃口位置比率 4 : 6   押さえ溝嵌め固定 制作1993

㊳寸八 ・8分勾配  刃先角24°   「上高地」

(江戸屋特製・新潟・森平卸)刃幅 73mm x 丈116mm x 厚み9.8mmT ( 刃先63mm)炭素鋼鍛造二枚刃    白樫台 / 追柾目詰み並材 台打ち:青山鉋店 青山駿一  台尻青山刻印  二丁 275mmL x 89.6mmW x 37mmH   1,285g  (ロック調で重量あり) G重心位置:刃口切り縁1mm    刃口位置比率 4 : 6   押さえ溝嵌め固定 制作1999

尚、個別来歴、詳細内容は、お問い合わせください。

*写真画像は総て自然光で撮影。201003ABE

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木の総合学研究2017-2018  「日本の台鉋考」「鉋刃名工・台打ち名人のコラボレーション」「楔ジョイント・嵌合圧締」 「仕上鉋と台鉋取り扱いの要点」

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