クラフトフェアまつもとアーカイブス 1985 -2022 |参加出展シーン / 出品ベストプロダクト17撰 | An archives of selective entry and exhibition in Crafts Fair Matsumoto 1985 -2022
小さな個展の集合体であり、作品発表の塲として、才能の出会いやクラフトマンの交流をはかることを願い、参加出展者が楽しみつつ、情報交換や仕事の拡がりを求めました。
クラフトフェア開催会場の使用許可を取りつけるまで
1985年、松本でのクラフトフェア開催には、県アガタの森公園の使用を申請しても許可されないため、危ぶまれました。活動していた友人から依頼され、小職が市役所担当課へ足を運び、説明と折衝を引き受けた次第です。前例や活動実績もなく、許可されることはないという状況でした。
開催の目的や社会的なニーズをアピールする堤案書や海外事例資料と日本デザイン学会家具木工部会会員の推挙署名も添え、若い人達のもの造りが高度工業化社会的に有意義なもとなることや、民芸運動や伝統工芸産業への波及効果なども強調しました。
当初は、木工職が主力メンバーとして動きました。展示器材の準備や建て込み運搬など、いつもの手仕事の延長で機動力があったのです。普段の作業では、寡黙カモクな時間が流れています。これから活躍する人々との交流にも関心がありましたから、出会いも楽しみな出展参加となりました。
「市民は関心はないし、県外_遠方から参加するというのは有り得ない」という市職の反応から
旧制松本高等学校を経て信州大学が移転した校舎跡地であり、重要文化財指定建造物と公園緑地を整備し、ヒマラヤ松の並木や欅の大木が残ります。多くの樹木の植栽、芝生広場が使える最適な塲所です。市内中心部にも隣接し、文教地区で交通アクセスはバツグンです。
営利行為や迷惑騒乱は一切しない_工芸作品のオープン展示と来訪者の見学や行楽を意図しているので松本地方のもの造り産業文化にも反映していく可能性を力説しました。
産業課と公園緑地管理担当職員の方は、始めは「クラフトフェアなんて聞いた事は無いし、市民は関心はないし、県外_遠方から参加するというのは疑問」という反応でしたが、「一年やってみるか?」初めてのケースなので、実際の様子をみて再考するという意向を示されました。こうしてクラフトフェアの会場が使えるようになったのです。
2000年には、県外からの参加出展者200人を上回り、来訪者は数万人の規模となりました。
以来、37年間の開催ができ、その参加展示シーンを撮影し、文書・印刷物とともに、数年分は閲覧ファイルにまとめ、アーカイブスを作成しました。写真記録及び資料の一部を記載しましたが、検索したり、図書た関連資料の保管と閲覧出来る塲所も新たな課題となるでしょう。
年間休止した今年の37回クラフトフェアーまつもとでは、前夜から表門ゲートで並ぶ人が現れました。作品を買い付け、取引継続のためとの様子。体を張って並ぶフェアプレイですね、(当初からの参画メンバーから聞いた話題です。)
CFM 2003年、松本市長と教育長の公務来訪があり、事務局長 柏木 圭がご案内しました。「クラフトフェアーまつもと」写真ファイルを教育員会・市議会へ提出し、閲覧していただきました。開催記録レポートは、市側のトップにも理解していただけるタイミングがあるので、随時提出できるように、前もって用意していたのです。
写真撮影記録
□1985 – 2008 ネガフィルム、リバーサルフィルムスライド撮影期
CFM1986
CFM 1988
CFM 1989
CFM 2000
CFM 2007
□2009 – 2022 デジタルカメラ撮影期
CFM 2009
CFM 2010
CFM2013
CFM 2018
CFM2019
CFM2022
■ CFMアーカイブスの用途について
文書や画像記録_関連資料は、クラフトカウンシル運営継続のための重要で基礎的なものです。申し込み・選考から参加出展かでの作品の記録と会場シーンですので、いろいろな使われ方ができます。
個々の作品の観賞から傾向、類似事例の検索、造形デザインの感覚や優れた技法、プレゼン展示構成_展示器材のアイデアまで、多くの情報が集積しています。
土曜日午前中、参加者は応対に追われ、忙しい時間帶です。自分で撮影できませんから、展示シーンの画像を提供できるでしょう。関係する公的な部門へも適時に告知し、理解が深まりました。
撮影記録により、類似品や剽窃ヒョウセツをチェックでき、記録されていることで似たモノが出てくることを防止します。また、クラフトフェアーに来訪される人々の持ち物やファッションの変化にも気がつきます。
会場シーンは、各ブースの様子を素速く数カットを撮影しています。
初日の午前中は作品が揃っていますが、接客応対中で言葉かけも無理なことも多く、映り込む人も迷惑そうな塲合は、展示をクローズアップしています。
来訪ゲストがドンドン立ち寄りますから混み合い、シャッターチヤンスを待っていると、次の展示小間へ動けませんし、立ち話もしていると夕方になってしまいました。ほぼ全部の展示を撮影してきました。
公園でのパブリックシーンは、作品の発表で見られることを目的にして参集しているのですから、原則フリーです。
35年間の展示小間作品撮影で禁止されたのは2人、撮影目的と名乗り、全ての出展者はOKでした。
会場の撮影は、多くの来訪者が行き交い、動いていますからスナップ撮影しているということに気づかれても止められることはなく_出で立ちや持ち物が目を引く方には、お声をかけて挨拶をします。クラフトに関心が高い人たちですから、身につけてきた装いは、世界トップブランドの練り歩きも目に入ります。さながら、ヒューマンウオッチの時間でした。
さらに、大型カメラでは警戒されますが、普通の小型カメラでバチバチ撮影すると、不審な動きや盗難も起きにくいようです。実際、撮影されると困るような人も、目立ちたい人もいました。
個展の集まりである会場をかき乱したり、汚す人は来ないのです。ゴミはほとんど出ない_ゆったりと時間が流れ、整然とした観覧が行われる塲は、ずうーと続いてきました。良識が伝わり、よい伝統が根付いています。信州大学跡地の市民文化施設と公園という塲所も代えがたい。有り難いものです。
ネガフィルム・プリント・リバーサルフィルムスライドからデジタル撮影へ
当初は、ネガフィルムプリント・スライド用の撮影でした。会場展示数も少なく、大がかりにはなりませんでしたが、2009年からは、デジタルカメラで撮影して、閲覧出来るような仕組みを立ち上げたいと考えています。
展示内容が御粗末だったもの以外、ほぼ全体の撮影をしましたので、約 60.000カットほどになりました。クラフトピクニックの撮影記録も毎回収録しています。
会場シーンの撮影記録は、継続して運営上必要なものですが、堤案して2003年だけ予算がでて、公式記録を作成することができました。1985年^2008年のネガフィルム・リバーサルフィルムのスキャニングは、費用と時間がさらにかかります。。
■ クラフトフェアーまつもと_ベストプロダクト17撰 ABEコンテンツのまとめ
クラフトフェア ベストプロダクト17撰 1985 −2022 ABE Selection
① クラフトフェアベストプロダクト-1. 東 敦史の南京鉋(棒鉋 Spoke Shave)を次世代へ
http://kurayuki.abeshoten.jp/blog/2951
クラフトフェア ベストプロダクト・AZUMA Spoke Shave −2. ハンドツールコネクション
http://kurayuki.abeshoten.jp/blog/2983
クラフトフェアベストプロダクト・柏木 圭の東モデル南京棒鉋 AUZUMA Spoke Shaves
http://kurayuki.abeshoten.jp/blog/3028
② クラフトフェアベストプロダクト−2.柏木 圭の「箸入れ」+「製本手締め器」
http://kurayuki.abeshoten.jp/blog/3086
③ クラフトフェアベストプロダクト−3.酒井邦芳の漆匙
http://kurayuki.abeshoten.jp/blog/3212
④クラフトフェアベストプロダクト− 4.小林佐恵子の「創作くつべら」貴重材木肌の削り出し
http://kurayuki.abeshoten.jp/blog/4060
⑤ 大山エリナ マルケッタ 北欧の染織 クラフトフェア ベストプロダクト- 5.
http://kurayuki.abeshoten.jp/blog/5609
⑥ 西田健二 青白磁型打ち九谷モダーン クラフトフェア・ベストプロダクト- 6.
http://kurayuki.abeshoten.jp/blog/5689
⑦ 蒔田卓坪 マリアスツール クラフトフェアベストプロダクト- 7
http://kurayuki.abeshoten.jp/blog/5881
⑧ ウインザーチェアー・シェーカーモダーンを拓く日高英夫・ 木の手仕事 クラフトフェアベストプロダクト- 8.
http://kurayuki.abeshoten.jp/blog/8251
⑨ シンプルフォルムに量感と光の繊細な表情を融合する 木村 明のガラスアートクラフト クラフトフェアベストプロダクト – 9.
http://kurayuki.abeshoten.jp/blog/8451
⑩「京都シンプルモダーン 和の器」クラフトヌーボー 伊藤五美の作陶 クラフトフェア ベストプロダクト- 10.
⑪ 佐藤阡朗漆工芸作品_別格セレクション1996 – 2007 _クラフトフェア ベストプロダクト- 11.
http://kurayuki.abeshoten.jp/blog/17306
⑫ 柏木千繪 小高窯・美麻Pottery クラフトフェアベストプロダクト- 12 .|_ 正調の果報・端正な作陶は、ゆるぎない評価を集めて。
http://kurayuki.abeshoten.jp/blog/17385
⑬ 縁起もの玩物から「 ウイット・エスプリ・パロディ・ユーモアクラフト_清水俊行の手仕事 クラフトフェアベストプロダクト- 13,
http://kurayuki.abeshoten.jp/blog/17306
⑭ 「竹と暮らす」 沖原沙耶のカトラリー 「竹」の新しいクラフトデザインカテゴリーを拓く クラフトフェアベストプロダクト- 14.
http://kurayuki.abeshoten.jp/blog/22364
⑮ クラシックスタイルを超える次世代刃物鍛造ヌーボ_上田裕之の鍛造と木工一体手仕事_クラフトフェアーベストプロダクト-15.
http://kurayuki.abeshoten.jp/blog/22399
⑯ 詩情溢れる紙箱工房の道具箱「Akane BonBon」_ 箱オブジェ| メルヘンクラフト茜箱|クラフトフェアーベストプロダクト-16.
http://kurayuki.abeshoten.jp/blog/28525
⑰ 手で動かし遊びの中に構造を学習する_知惠を育む創作玩具_工房童 若林孝典のめざましい活躍|クラフトフェアーベストプロダクト-17.
http://kurayuki.abeshoten.jp/blog/33891
優れた作品とともに、制作活動や普段の工房作業も評価されるものです。小職は、デザイン研究開発業務を続け、数千人以上の造り手を見てきましたので、特に優れた技倆や造形センスを身につけ、才能を感じさせる作品をブログ上で取り上げてきました。閲覧されて肯かれるものがありましたでしょうか?
過日、出来のよい作品の選考やクラフトフェアの褒賞を事務局へ堤案しましたが、いずれもボツになり、実現しませんでした。評価された形を記憶することも、始まる道を開けた者の役務と考えていますから、良い作品をマークして伝えることも必須の仕事です。
めざましい活躍が続くとアクセスが多くなり、作品の魅力を再認識することも多くなりました。各地から作品発表と才能が「出会う塲」として継続して行くことを願っています。このアーカイブスを公共のプロジェクトへ繋げるためには、付随する実務作業や若干の運営費用も必要です。
例年、各地より多くの来訪者があり、市内の宿泊施設がフルブッキングになるほど。遠方からの来訪は途中泊_滞在費用はかなりの費用です。その経済波及効果は非常に大きく、知名度はバツグンです。松本市のイメージにクラフトフェアが寄与してきたと実感するようになりました。
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